ネットショップの売上げを増加させていくには、「集客力アップ」「客単価の向上」「コンバージョン率を高める」「リピーターを増やす」という要素が非常に大切になってくる。ショップをオープン後は、これらを数値化することで、どれだけ成長しているかを計測することができる。またそれぞれの数値から自店の弱みを知ることで、それに応じた対策を打つことも可能になる。
今回はこれら4つの観点から、ネットショップの売上げをアップさせるのに効果的な35の施策をご紹介していくので、御社のECサイトで取り入れられるものは是非取り入れてほしい。
集客力アップ
リスティング広告
もはやインターネット上にショップをオープンすれば、何もしなくてもお客様が集まる時代ではない。即効性のある集客を求めているなら、広告を出稿するのが一番手っ取り早い。
インターネット広告の中でも最もメジャーなのが、クリック課金型のリスティング広告。低予算から始めることができ、好きなときに止められるのも魅力的。リスティング広告については「リスティング広告の基本と効果的な運用方法について」を参考にしてほしい。
バナー広告
他企業の運営するブログサイトやメディアサイトにバナー広告を掲載してもらう。広告掲載先のPVが高ければよいわけではなく、掲載先サイトに集まるユーザー層が、自社ショップのお客様層とマッチしているかが重要。ここを意識することで、費用対効果の高いバナー広告を出稿できる。バナー広告については「他サイトにバナー広告を出稿する前に確認すべき8つのこと」を参考にしてほしい。
記事広告
記事広告とはネイティブアドと呼ばれるタイプの広告の一種であり、メディアサイトのコンテンツとして、広告記事を掲載させること。そのメディアを普段から愛読しているユーザーに、自然な形で訴求することができる。
年々ネットユーザーのITリテラシーは高まっており、一般ユーザーでもリスティング広告やバナー広告を広告だと判断できるようになってきている。そして人の心理は広告を避けるようにできているため、一見すると広告だと感じさせない記事広告は現在最も注目を集めている広告手法。
記事広告の出稿については「記事広告で従来型広告よりも高パフォーマンスの運用を目指せ」を参考にしてほしい。
ディスプレイネットワーク
ディスプレイネットワークの中でも、最も一般的なのが画像タイプの広告。ユーザーの興味や関心事に合わせて表示する画像を切り替えてくれる優れもの。ディスプレイネットワークの大手サービスはグーグルアドセンスで、グーグルアドセンスの掲載を許可しているウェブサイトに表示される。
先に説明したリスティング広告と同じように、クリック課金型のため、小規模ECサイトでも運用がしやすい。
Youtube広告
Youtubeの動画再生前に流れる広告や、画面上に表示される広告。動画コンテンツの増加とともに、今後はより一層注目度が高くなっていくであろう広告。しかしYoutubeの利用者は若年層が多いため、広告を閲覧しているユーザーと、自社サイトのターゲット層とのアンマッチがおきると、せっかくの広告費が無駄になってしまう。
テレビコマーシャル
最も訴求効果は高いが、費用も数千万~数億円と高額。大手企業が運営するECサイトなら、認知度の向上や集客に効果的に使えるだろうが、中小企業のECサイトでは資金的にも難しく、現実的ではない。
SEO対策
外部業者からSEO対策のセールス電話がかかってくることがあると思うが、その大半はブラックな手法で検索順位を上げる方法のため、弊社では推奨していない。検索エンジンの質は10年前と比較しても格段に向上しており、もはや悪質なテクニックは通用しない。
それに少しの知識があれば、自身でSEO対策は行える。「ネットショップのSEO対策で検索順位の上位表示を狙う方法」の記事を参考にしてほしい。
自然検索で流入してくるユーザーは購買意欲も高いため、地道にSEO対策を行いながら質の高いユーザーを捕まえていきたい。
メディア運用
弊社でも推奨しているECサイトのメディア化対応。コンテンツマーケティングという手法を用いる、現在最も注目を浴びている集客手法。広告費をかけることなく、見込み客を集めることができる。広告出稿と比較すると結果が出るまでに時間はかかるが、成長したメディアは企業としての資産となり、必要がなくなれば売却することも可能。
メディア化対応については「ECサイト(ネットショップ)がメディア化を進める6つの理由」を参考にしてほしい。
ショップスタッフの友人知人へ宣伝
地道な対策だが、ショップオーナーはじめスタッフの友人知人へ宣伝することも忘れてはいけない。それに見ず知らずのユーザーよりも、身内の方がお客様になってくれやすい。
特にネットショップをオープンしてすぐは、新規顧客を集めるのが困難なので、必ず身の回りの人へのアピールを忘れずに。
客単価の向上
付加価値を高める
中小規模のネットショップは絶対に安売り競争に参加してはいけない。いかに付加価値をプラスして商品の価値を高められるかに注力したほうがよい。商品単価を上げることは、販売にかかる人的コストを削減することにもつながる。
付加価値の高め方については「商品の付加価値を高めて販売単価、魅力度の底上げを行おう」を参考にしてほしい。
一定額以上で送料を無料に
「1万円以上のお買い上げで送料が無料になります」というショップを見たことはないだろうか。このような送料設定になっていると、ユーザー心理としては「あともう少しで送料が無料になるな…」という思いから、ついつい当初の予定にはなかった余分なものを購入してしまう。
実際お得になっているかは人それぞれの価値観によるが、ユーザーの「お得にお買い物をしたい」という心理を上手についた販売手法である。
セット商品の展開
例えば単品のマグカップと小皿の2つを、ティータイムセットとして販売することでも客単価を上げる施策となる。
不人気なものを目玉商品と一緒に販売する抱き合わせ商法は禁止されているが、お客様にとって「これも一緒にあったら便利だな」と思ってもらえるようアイテムを提案する形でのセット販売は、EC企業としての戦略でもある。
富裕層を狙っていく
富裕層を狙ったECサイトも世の中には数多く存在する。自然と商品単価は高くなるため、販売時の利益も大きくなる。だが富裕層を相手に商売をするなら、その心を掴むテクニックを覚えておきたい。
富裕層ビジネスをしていくなら「高額商品を販売したいなら2種類の富裕層がいることを知ろう」を読んで、富裕層のタイプを理解しておこう。
ギフトに対応
お歳暮やお中元といった従来の形式的なギフトだけなく、友人の誕生日や両親の還暦祝いなど、カジュアルギフトの市場が伸びている傾向にある。プレゼントの品をECサイトで購入するユーザーも多いため、ショップ側としてもラッピング対応が可能だと、カジュアルギフト需要を取り込める。
それに贈答用の買い物は客単価も高くなる。カジュアルギフトについては「カジュアルギフト需要の概要と売上増につなげる6つの施策」を参考にしてほしい。
自社オリジナル商品を生産する
メーカーや卸業者から商品を仕入れると、どうしても販売価格が既に決められていることが多い。販売価格が決まっていると、高い利益率を確保するためには仕入れ値を抑えるしかない。ただし取引が短かったり、仕入れる品の数量が少ないとそれも難しい。
そうした場合は自社で製品を開発することで、自由に価格設定ができるようになる。製品を開発できるような体制がなければ、OEM開発を請け負っている企業を頼りにしてみよう。
自社商品の開発については、以下の記事を参考にしてほしい。
コンバージョン率を高める
商品写真を美しく撮影
ネットショップでユーザーが唯一商品の外観を視覚的に知る手段は商品写真である。商品写真が美しく撮影できていると、ユーザーの購買欲求も高くなる。逆に商品写真がぼんやりしていたり、全体的に暗かったりすると魅力も半減してしまう。
商品を魅力的に撮影するなら以下の記事を参考にしてほしい。
- ネットショップの商品写真を魅力的に見せるアングルや構図
- ネットショップの商品を美しく撮影するために必要な機材
- スマートフォンで商品写真を美しく撮影する8つのポイント
- 商品撮影前に覚えておきたい基本的なカメラ用語11選
商品説明文章をしっかりと書く
商品説明の文章も魅力を伝える上で、写真と同様に重要な役割を担っている。基本は「スペック」「メリット」「ベネフィット」の三点を意識して文章を組み立てていくと、魅力を伝えやすくなる。
お客様をその気にさせる商品説明については「商品の魅力を伝える説明文章で訴求力を高める3つの要素とは」を参考にしてほしい。
ユーザーレビューを載せる
商品ページにはユーザーレビューを掲載しよう。ショップスタッフの推薦文章だけではなく、第三者の意見を知ることで、お客様の商品に対する信用度は高くなる。10人のショップスタッフからおすすめ品を提示されるよりも、1人の友人からおすすめされた商品の方が信用できないだろうか。
お客様の声を集めるには「商品ページに記載したいレビュー・お客様の声の集め方」を参考にしてほしい。
心に響くキャッチコピー
キャッチコピーひとつでその商品の売り上げが大きく変わる、ということも往々にしてある。秀逸なコピーはお客様の購買欲求を刺激するのだ。言葉の力は偉大である。
キャッチコピーの作り方については「ネットショップの売上を増加させるキャッチコピーのつくり方」を参考にしてほしい。
カゴ落ちを防止する
ネット通販は商品をカートに入れたものの決済を完了せずに離脱するカゴ落ち率が非常に高く、その率は世界平均で70%前後とも言われている。カゴ落ちを防止するためには以下に挙げるような対策を行いたい。
- 決済方法を複数用意する
- 配送方法を複数用意する
- ユーザーにとって不要な項目は隠す
- 予想外の追加費用をいきなり表示しない
- ギフトラッピングに対応できる
この他にもカゴ落ちを防止する施策はまだまだある。詳細は「損失を防ぐ!カゴ落ち率を改善するための13個の対策」を参考にしてほしい。
EC事業者の連絡先は目立つ部分に公開
ネット通販と言えども、在庫の確認や到着までの日数など、電話で問い合わせをしてくるユーザーもいる。もしサイト上でEC事業者の連絡先電話番号を知ることができなければ、そうしたユーザーを取りこぼしてしまう。
ECサイトのヘッダー部分など、目立つ場所にメールアドレスや電話番号を公開しておくようにしよう。
クーポンを利用する
お客様の立場になって考えると、もし手元にクーポンがあれば、どうせならそのクーポンを利用できるお店でお得にお買い物しようと思うはずだ。クーポンを上手に使うことでも、コンバージョンしやすい環境を作り上げることができる。
クーポンを発行する対象や割引額などは、ショップの方針で独自に決めていけばよい。
カートに入れるボタンを目立たせる
カートに入れるボタンを目立たせることでも、お客様は購入という行動に至りやすくなる。そんな単純なこと…と思うかもしれないが、ネットショップではこうした小さな施策の積み重ねが大事なのだ。
少しボタンを大きくしたり、周りとは違う配色にすることで目立たせてみよう。
動画を利用する
近年は動画を利用した商品のプロモーションが活発になってきている。Youtubeに動画をアップロードして、その動画を商品ページに埋め込む。
動画は再生ボタンを押すだけなので、ユーザーにとっても負担が少なく、音声と動画によってより多くの情報を伝えることが可能になる。動画を利用した販促については「Youtube × ECサイト 動画を利用したビデオコマースの幕開け」を参考にしてほしい。
モバイル対応する
スマートフォンの普及とともに、ネット通販もスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末で操作することが多くなった。それにGoogleもモバイル端末に対応しているウェブサイトは、検索結果で上位表示させることを明言している。
PC環境での操作性しか考えておらず、モバイルでの操作が使いづらいものになっていないだろうか。もしユーザーに若年層が多ければ、ECサイトのモバイル対応も考えていきたい。モバイルファーストに関する情報は「ECサイトもモバイルファーストの対応を意識する時代に」も参考にしてほしい。
お届けまでの日数を短くする
商品の到着が早ければ早いほど、お客様の満足度は向上する。中には緊急のお客様もいるので、もし即日配送を行っているECサイトなら、アピールポイントとして商品ページの目立つ部分に「即日配送可能」と記載しておいてもよいだろう。
送料無料
送料無料はお客様にとってもインパクトの大きい訴求効果となる。ある商品を購入するお客様がいたとして、500円の送料が発生するショップと送料無料のショップがあれば、後者でお買い物をするだろう。
ただし送料はショップ側の負担となるため、利益率は下がってしまう。もし常に送料無料を実現するのが難しいのなら、期間限定での対応でもよい。ユーザーの反応を見てから今後の対応について考えていこう。
無償返品
アパレル関係を扱うECサイトではよくあることだが、商品が手元に届いて試着したらイメージと違ったとか、サイズが合わないという問題が発生する。そうしたときに返品対応が有償だと、購入時に「もし似合わなかったらどうしよう…」というためらいが生まれてしまい、商品購入のハードルが高くなる。
無償返品をお知らせしておくことで、そのハードルが下がり、お客様も購入ボタンを押しやすくなる。
無料お試しセット
ドモホルンリンクルが無料お試しセットを提供していることは有名だが、特定の商品で勝負しているECサイトなら、サンプル品をお試しセットとして提供するのもよいだろう。
人には返報性の原理といって、施しを受けたら何かを返さないといけないと思ってしまう心理を持ち合わせている。無料お試しセットを受け取ることで、購入というお返しをしてくれるユーザーも少なくない。
リピーターを増やす
SNS運用
ネットショップとFacebookやTwitterなどのSNSツールを連携させることは、もはや当たり前。お客様との心の距離が近くなり、接点が増えることでリピートにつなげやすくなる。
どのSNSを利用するかお悩みなら「ECサイトの販促には無料で使える6つのSNSをフル活用しよう」を参考にしてほしい。また上手なSNS運用については「ユーザーに愛されるソーシャルメディア運用をする6つのコツ」を参考に。
イベント開催
母の日にはギフト特集を組んだり、ハロウィンの時期が近づけば仮装イベントを開催したり、季節ごとのイベントを催すことは、固定客を飽きさせない仕組みにもなるし、新規のお客様にとっても、探しているものを見つけやすくなる施策となる。
イベントの開催には「ネットショップの集客で使える季節柄のイベントごと12ヵ月分」を参考にしてほしい。
キャンペーン開催
セールやバーゲンといった通常よりもお値打ち価格でお買い物ができたり、送料無料のようなキャンペーンを定期的に開催するのもリピート購入を促す仕組み。Twitterを利用した今どきのキャンペーンもある。
キャンペーンについては「ネットショップの賑わい感を演出するキャンペーン企画9選」を参考にしてほしい。
メルマガ配信
LINEのようなチャットツールが普及した現在でも、メールマガジンはリピート購入の施策として一定の効果がある。ただしメールマガジンを送付するには、ユーザーの事前同意を得ることが必要。やみくもにメール配信すると迷惑メール防止法に抵触するので気を付けてほしい。
効果的なメルマガ配信の仕方については「120%の効果を発揮するメールマガジン活用術」を参考にしてほしい。
商品と一緒にお客様が喜ぶものを同梱
例えば注文した商品と一緒に、ショップオーナー直筆の感謝の手紙が同梱されていたら、なんとなく利用したECサイトだったとしても、そのショップへの信頼度や愛着度は高まるだろう。
お客様が商品と初のご対面をする、その瞬間をさらに印象的なものにするアイテムは「リピート購入を狙うための商品発送時に同梱したい7つのもの」を参考にしてほしい。
会員制度を導入
会員になることでお買い物の度にショップポイントが貯まり、次回のお買い物で現金値引きできる仕組みがあれば、リピート購入のきっかけになる。楽天市場を定期的に利用しているユーザーは、楽天ポイントの存在が大きいのではないだろうか。
その他にも会員限定価格でお買い物できるようにしたり、会員だけにゲリラ的にクーポンを発行したりと、何かしらの優遇措置をとることでリピートする機会を与えよう。
会員機能の運用については「リピーターや固定客を増やす会員機能の上手な使い方」を参考にしてほしい。
おわりに さまざまな施策を試していこう
ネットショップの売上げアップのための施策はいかがだったろうか。これらの中でいくつかの施策を組み合わせながら、御社のサイトにも取り入れてほしい。
また内容については重複することもあるが「集客力アップ」「客単価の向上」「コンバージョン率を高く」「リピーターを増やす」という観点なら下記の記事でも詳しく説明してるので、参考にしてほしい。
- ネットショップの集客に効果的な方法【有料・無料別に紹介】
- ネットショップの客単価を効果的に上げるための7つの方法
- コンバージョン率の高いECサイトにするための13の施策
- ネットショップで効果的にリピーターを増やす8つの方法
【著者からの一言】
鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-
当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!
ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!