カジュアルギフト需要の概要と売上増につなげる6つの施策

カジュアルギフトという言葉をご存知だろうか? カジュアルギフトとは、身内や友人に贈る気軽なプレゼントを指す言葉で、マーケティング業界でも使用される頻度が多くなってきた。

確実に今カジュアルギフト需要は伸びている。この需要をうまいこと取り込むことができれば、売上増につながる。そのためにカジュアルギフトの本質を理解し、ネットショップで打てる施策についてご説明していこう。

 

ギフト需要の変化

日本ではお世話になった人や、身近な人への感謝の気持ちとして”贈り物”をする文化がかねてより存在したが、その傾向に若干の変化がみられるようになってきた。従来は形式的なギフトが重要視されてきたのに対し、近年ではカジュアルギフトの需要が伸びている。

 

従来型ギフトとは

お歳暮やお中元、これらを今の若者世代がどれだけ贈っているだろうか。会社でお世話になっている上司に贈り物をしたり、会社間で円滑な取引をするための土産物を用意したりと、従来は形式的なギフトを送ることが多かった。

しかし、矢野経済研究所が2015年に公表したギフト市場に関する調査結果によると、こうした形式的なギフト市場は減少傾向にあるという。

 

近年のギフトとは

近年では友人の誕生日、知人の出産祝い、両親の還暦祝い、結婚記念日など、より身近な人に対して贈り物をする習慣が広まっている。これが今回ご説明しているカジュアルギフトに該当する。

こちらも矢野経済研究所の発表によるものだが、2014年の国内ギフト市場は前年比100.6%の9兆7,400億円のプラス成長をしているそうだ。形式的なギフト市場が減少しているのに対し、ギフト市場全体はプラスになっているということは、カジュアルギフト市場が伸びていることを意味する。

 

カジュアルギフトが優れていること

これほどまでにカジュアルギフトを推している理由としては、以下のような優れた点を持ち合わせているからだ。

 

季節に左右されない

お中元やお歳暮であれば夏と冬に一大ギフト商戦が繰り広げられていたが、カジュアルギフトの場合は別だ。もちろんクリスマスやバレンタインなどのイベントごとに影響される部分はあるが、友人の誕生日や出産などは年間を通してタイミングが分散されることだろう。

年間を通して需要のかげりがなく、安定した経営にもつながる。ギフトを検討している人に対しては、恒久的に訴求できるキャンペーンであると考えてもよいだろう。

 

客単価が上がる

自分で使用するものとは違い、大切な人に贈る品物にはある程度の価格帯のものを選ぶ。友人へのプレゼントであれば3000円~5000円程度のアイテムが好んで選ばれている。
平均客単価を上げるための施策としても、優等生なのだ。

 

中小規模の小売店でも展開が容易

かつてのお歳暮やお中元は、大手百貨店で購入することが多かっただろうが、カジュアルギフトの場合は違う。家の近くの雑貨屋さんやお菓子屋さんで選ぶことも多い。企業間の取引であればどこで選ぶかも重要だったかもしれないが、親密な個人間のやり取りであれば、何を選ぶかが重要になってくる。

中小規模の小売店でも、お客様の要望をピンポイントで突くような展開ができれば、ギフト購入に選ばれる店となりえるのだ。

 

ネットショップのカジュアルギフト施策

マーケティングを考えていく上で、カジュアルギフト需要の伸びは無視できない。特にネットショップなどの小売業の場合は、売上げを左右する意味でも大きな役割を果たす。

この章では、ネットショップの運営で実施しておくべき策についてご紹介していく。

 

キャンペーンを用意する

まずはギフト需要を促すようなキャンペーンを用意することが大切だ。
母の日が近づいてきたら母の日特集と称したイベントを開催するべきだし、プレゼントで貰って嬉しいアイテム企画など、お客様の心の中にあるギフト需要を喚起するためにも、定期的にイベントやキャンペーンは開催したい。

イベントやキャンペーンの立案は「ネットショップの集客で使える季節柄のイベントごと12ヵ月分」や「ネットショップの賑わい感を演出するキャンペーン企画9選」の記事を参考にしてほしい。

 

ラッピングを用意

ギフト用ラッピングも用意しておこう。気持ちのこもった贈り物なのだから、通常の包装紙よりも特別なラッピングでお届けしたいと思うのが普通だ。

リボンやシール、包装紙の種類など、多数ある中からチョイスできるとなおよい。

 

名入れ対応

名入れが可能なサービスを展開するのも、上手にギフト需要を取り込む施策の一つ。名入れするだけで特別感も増し、たった一つだけの品物ができあがる。

出産祝いや結婚記念日など、日付や名前を刻みたい贈り物には最適だ。

 

熨斗の用意

結婚の内祝いの品など、ちょっとかしこまった贈り物の際には熨斗(のし)の対応が喜ばれる。ただし熨斗には弔辞の際や魚介類の贈り物には付けてはいけないというマナーがあるので、ショップオーナーも熨斗についての知識を身につけておきたい。

 

メッセージカードの用意

親しい中で贈りあう品だからこそ、メッセージカードを一緒に添えてほしいという要望も多い。そんなときにショップ側が代行してメッセージカードを用意するサービスがあれば利用したくもなる。
メッセージ内容は商品の購入時、送付先の住所情報と一緒に入力してもらい、ショップスタッフが代行してプリントすればよい。

 

自分へのご褒美対策も意識する

ギフトと言うと通常は誰かに贈るものだが、それと似たような感覚で自分のために購入することもある。俗に言うご褒美ギフトというものだ。ご褒美ギフトの需要も近年では伸びており、カジュアルギフトと同じように単価も高く季節も選ばない。

ギフト需要はもはや贈る相手さえ必要としなくなっており、時代とともに進化を続けているようだ。

 

おわりに ギフト対策は簡単

カジュアルギフト需要についてご説明してきたが、ネットショップの施策としてもたいした準備が必要ないため、現在ギフト展開を行っていないのであれば、すぐにでも施策を打っていこう。

まずはラッピングを用意するところから始め、次第に御社のネットショップの商品ラインの中で、お客様がどのような品をギフトとして選択するのか傾向を把握することができる。そうしたらセット商品をそろえてみるなど、もう少し踏み込んだギフト戦略を立てて実践していこう。


【著者からの一言】

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鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-

当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!

ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!