ネットショップに必要不可欠な商品写真。この写真を美しく撮影できるかどうかで、ショップのコンバージョン率は大きく変わってくると思ってもらってもよい。
机の上に商品をおいてスマートフォンで撮影ではいけない。インスタグラムやTwitterといったSNSに投稿する写真であれば問題ないが、ECサイトの商品ページに載せるための写真はしっかりとした機材を用いて撮影しよう。
それでは商品写真を美しく撮影するための機材をご紹介していく。
カメラ
カメラが無ければ何も始まらない。ただしカメラの種類もさまざまだ。
一眼レフカメラ
商品撮影に使用するカメラは、一眼レフカメラが最適だ。近年のカメラブームも手伝って、趣味で利用する人も多くなった。
スマートフォンに付いているカメラの質も非常に高くなってきたが、一眼レフと比較するとまだまだ劣る。
一眼レフはイメージセンサーという機能によって、より多くの光を取り込めるため、仕上がりも高画質だ。またピント調整によって背景をぼかした写真にしたり、レンズを切り替えることで多様な見せ方をすることができる。
表現力という点で一眼レフに勝るものは他にはない。
デジタルカメラ
一眼レフが用意できないのなら、せめてデジタルカメラぐらいは用意したい。一眼レフの場合はレンズまでこだわると数十万円の費用がかかってしまうが、デジタルカメラであれば2,3万円で購入することができる。
使い方も複雑ではないため、デジタル機器に弱い人でも容易に使える。
スマートフォンカメラ
先にも述べたが、スマートフォンのカメラで撮影した写真を商品写真に利用することはおすすめできない。
ただしスマホの写真が全く使えないというわけではなく、画像加工アプリを併用することでユニークな写真に加工することができるため、SNSの投稿に使うと面白い反応を得ることができる。
どうしてもスマホで商品撮影をしたいという方は「スマートフォンで商品写真を美しく撮影する8つのポイント」を参考にしてほしい。
三脚
近年のデジカメには手ぶれ補正機能が備わっているが、やはり三脚を使ってしっかりとカメラを固定した状態で撮影しよう。三脚を使って商品の位置とカメラの位置を決めておくことで、毎回定位置で撮影することができる。
商品によって撮影位置がバラバラになるよりも、定位置で撮影されている方が、商品サイズが把握しやすくなりユーザーも混乱しない。
照明
ネットショップの商品撮影において光は重要だ。光量が足りずに薄暗い写真になってしまえば、それだけで商品の魅力度も下がってしまう。そして光を取り入れるには、自然光を利用する場合と照明を利用する場合の2通りがある。
自然光を利用
自然光とは太陽の光のこと。商品をナチュラルに見せるには、照明器具を使った人工的な光よりも、太陽の光が一番だ。健康食品やヘルスケアグッズを扱う場合には、より商品の魅力が増した写真になる。
しかし自然光を利用する場合、外部環境に大きく左右されるところが大きい。撮影予定日の天候が悪ければ撮影はできないし、晴れの日でも太陽が雲に隠れてしまっては撮影中断となる。もっと言えば夏と冬でも光の加減は微妙に異なる。撮影にベストな日を調整することが難しい。
照明器具を利用
照明器具を使った撮影は、外部環境に左右されることがない。いつも同じ環境での商品撮影が可能になる。
撮影のコツとしては、照明を一方から当てるのではなく、斜め45度の角度から左右両方に照明器具を配置して撮影するのが理想だ。こうすることで双方の影を打ち消すことができ、美しい写真になる。
レフ版
光の加減をコントロールするには、レフ版を用意しよう。レフ版とは光を反射させるための白い板のこと。逆光時の撮影で光を反射させたり、光の加減を優しくしたりするなど、撮影時には欠かせないアイテムだ。
千円程度で購入することもできるが、段ボールと白の画用紙さえあれば自作できてしまう。
自作するなら表は白色の画用紙、裏は銀のアルミホイルを貼り付ける。白は光をマイルドにして被写体を優しく包み込むような感じを演出し、銀色は反射が強くなるため、光を多く必要とする逆光のときに使える。状況によって使い分けよう。
背景紙
必ずしも必要というわけではないが、商品の背景を白やグレーなどの単色やグラデーションにしたいのなら、背景紙を設置しよう。
そのときに重要なのが、背景紙の設置の仕方。言葉では説明が少々難しいので下の図を見てほしい。
壁と床に垂直になるように背景紙を並べてはいけない。なだらかなカーブができるように、背景紙をセットする。
こうすることで床と壁の境目が分からなくなり、より商品にフォーカスの当たる写真となる。
マネキン(トルソー)
※頭からつま先まで一体になっているものをマネキン、部分的な模型をトルソーという。
アパレルを扱うネットショップの場合、モデルを起用する予算がなければ、せめてマネキン(トルソー)だけでも用意しておきたい。実際の着用イメージが伝わりやすくなる。またマネキンのサイズを商品ページに記載しておくことも忘れてはいけない。
洋服だけでなくネックレスや指輪などの服飾雑貨の場合も、トルソーを用意することで着用イメージを伝えやすくなる。
撮影キットを利用する
ひとつづつ撮影機材を用意するのが面倒なら、撮影キットとしてボックスや背景紙などをセットとして販売している業者を利用する手もある。※たいていの場合カメラは別
値段的には数千円から数万円のものまでピンキリだ。
高いものがよいということではないが、安いものを購入してみたら全然使えなかったという失敗例も多いため、購入前には第三者によるレビューなどをしっかりと確認するようにしてほしい。
撮影時の不備は画像処理ソフトで補正
自然光を利用した撮影をしていると、どうしてもその日の天候具合で光量が足りなくなることがある。また室内で商品撮影を行うときも、照明の具合で実際とは少々色味が変わってしまうこともある。
そうしたときは画像処理ソフトを利用して、画像の補正をする方法もある。
これは当サイトで何回も言っていることだが、あまりにも過度な画像加工は控えるようにしよう。商品写真はポスターや販促写真のようなイメージ画像とは違い、実際の商品の造形や雰囲気を理解してもらうために用意するものである。
そのためあまりにも実物とかけ離れ過ぎてしまうと、クレームのもとになるので気を付けよう。画像加工処理ソフトについては無料で利用できるものを「商品写真の加工に使える無料画像加工ソフト7選」にまとめているので、参考にしてほしい。
おわりに 商品撮影は手を抜かずに
最後に画像加工ソフトについて紹介したが、商品撮影に手を抜いてよいということではない。しっかりと機材を用意して、万全の環境で撮影を行おう。
商品写真が美しいとコンバージョンにもつながりやすい。そしてさまざまなアングルから撮影したり、使用するシチュエーションを思い浮かべられるようなカットを撮るなど、工夫していこう。商品写真の構図については「ネットショップの商品写真を魅力的に見せるアングルや構図」を参考にしてほしい。
素敵な写真と考え抜かれた商品説明文章があれば、商品の魅力は必ずユーザーに伝わる。逆に言えば商品詳細ページで使用する写真と文章に手を抜いてしまえば、どんなに魅力的な商品であろうとも購入者は現れないだろう。だから商品撮影には手を抜くことなく、より商品が魅力的に見える写真を追及していこう。
【著者からの一言】
鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-
当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!
ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!