いきなりだが言葉の力は偉大だ。人生を変えた一言というものがあるように、たった一言で人の気持ちをコントロールすることだってできる。
一言の重みをネットショップに置き換えて考えるなら、商品のキャッチコピーになる。たった一文でお客様の購買欲求を高めてあげることができる。繁盛しているECサイトでは必ずといってよいほど、人の心を揺さぶるコピーが用意されている。
今回は上手なキャッチコピーの作り方について、事例を交えながらご説明していく。
流行っていることを強調する
多くの人は自分だけが周りと違うことを嫌う。流行のアイテムがあれば、周りの人たちが持っているのに自分が持っていないことに不安を覚えるものだ。だからその商品がいかに流行っているかを強調することで、ユーザーの心の中の不安を煽ることにつながり、購買に結びつきやすくなる。
- 累計1万人に選ばれたシフォンケーキ
- 明日の話題に乗り遅れないためのトレンドアイテム
- 今年絶対流行るネイビーカラーのロングスカート
特にファッション関係は流行に敏感なユーザーも多く、その年のトレンドも明確なため効果的に使えるテクニックだ。
ターゲットを具体的にする
ECサイトを運営しているからにはターゲット層を想定していると思うが、キャッチコピーにもより具体的なターゲット層を盛り込むことで、ユーザーに刺さるコピーとなる。パッと見て「これ私のことじゃん」と思ってもらえれば、その商品についてもっと知りたいという欲求がわいてくる。
- 40代女性に最も効果が期待できる基礎化粧品
- 1日5時間以上座り続けるオフィスワーカーに効くマッサージ器
- 東京都在住者に味わってほしい無農薬の有機野菜
「40代女性」という年齢や性別を具体的にすることは基本だ。「52歳からのスキンケア」のように、もう少し具体的にしてもよいだろう。それに加えて「東京都在住」という住居に関することや「オフィスワーカー」という職業的なことも盛り込んでいこう。
ベネフィットを提示する
その商品を購入することでお客様がどのような利益を享受できるのか、ベネフィットを全面に出すことで、商品購入の先にあるイメージを思い浮かべてもらうことにつながる。
- 体重減で異性からの見る目が変わるダイエットサプリ
- ハウスダストをもれなく吸い込む高機能掃除機で、赤ちゃんの健康も損ねません
- 日常のふとした笑いでストレスフリーな生活を送れるユニーク雑貨
「体重減」という商品のメリットに対し、「異性からの見る目が変わる」というベネフィットを提示することで、より具体的に商品の魅力が伝わらないだろうか。そこまでの利益が得られるのなら、お金を出す価値がありそうだとユーザーも納得してくれる。
購入しないことで受ける損失を提示する
ベネフィットも大事だが、人は利益を得ることよりも損失を回避することを重要視する傾向がある。その商品を購入しないことでおとずれるマイナス要素を提示するのもよい。
- もし使わなければ5万円の損失に!ガソリンの燃費を上げるタイヤ
- 朝の貴重な時間を無駄にしないための調理補助アイテム
- これが無ければ楽しさ半減!その場を盛り上げるパーティグッズ
「使うことで5万円得するアイテム」と「使わないことで5万円損するアイテム」なら、後者の方が商品の訴求力が高くなる。しかし損失ばかりを述べてしまうと、ネットショップ全体の印象が悪くなってしまうので、使いどころには気を付けよう。
権威ある者からの推薦を用いる
有名人が「この本いいですよ!」と推薦している本の帯を見たことがあるだろう。これはこの人が推薦するなら本当に良いものだろうなと思ってしまう心理を利用してるのだ。有名人でなくても大学教授や弁護士などのその道の権威の推薦でもよい。
- この道30年のベテランバイヤーがすすめるイチオシ石鹸
- 全米で活躍する釣りプロが絶賛する究極のルアー
- 東京大学に通う学生に最も多く選ばれたボールペン
もし肩書が無い場合は「この道30年のベテランバイヤー」のように、経歴自体をアピールしても効果はある。一般の人よりもその分野に精通している人が推薦しているということが大事だ。
簡単であることを示す
家電商品やPC機器などは、システムやコンピュータに弱い人でも簡単に使えることを示してあげると、お客様の中のハードルを下げることができ、購入してもらいやすくなる。特に年配層はデジタル機器の購入を敬遠しがちなので、効果の出やすいキャッチコピーとなる。
- 初心者必見!50代でも容易に使いこなせるノートパソコン
- レシピ通りに料理するだけでプロ並みの味付けになるレシピブック
- 一日わずか10分で強靭な肉体を手に入れられる筋トレグッズ
もし操作が難しかったり、専門性の高いアイテムなら「初心者必見」という一言をつけるだけで、容易に使えることをお伝えできる。時間的な手間を表現する場合には「わずか」という言葉もよいだろう。
インパクトのある言葉を使う
ユーザーに「おっ!なんだこれは」と思わせるような、商品についてもう少し知りたいという欲求をたきつけるために、インパクトのある言葉を用いるのもよい。キャッチコピーで商品の魅力を伝えるというよりも、商品ページをもっと見たくなる衝動を与える効果がある。
- これはやばい!圧倒的なおいしさを提供するコーヒー豆
- これ以上の閲覧禁止!見たら絶対に欲しくなるブレスレット
- 日本中が震撼!今までの常識を覆す新時代の歯ブラシ
鶴の恩返しに登場するおじいさんのように「これ以上の閲覧禁止」と言われると、その先を見たくなってしまわないだろうか。たとえ閲覧禁止とうたっても、ネットショップの閲覧は誰かに監視されているわけでもないので、先が気になるユーザーは商品ページをしっかりと読んでくれる。
商品ページには閲覧禁止と書いた理由もしっかりと説明し、ユーザーをがっかりさせないようにしよう。
体験談風にする
人は何かの意思決定をする際には、第三者の意見を尊重する。商品を購入するかどうかの決断を迫られるネットショップでは、体験談のようなコピーは、”購入してもいいんだ”という安心感をユーザーに与える。
- 「私はこれで救われた」夜道を歩くときに携帯したい防犯グッズ
- 「今までの人生の中で一番の感動」今年の甲州ワインは一味違うぞ
- これだけは伝えたい「改良に改良を重ねた結果、最高品質の逸品が出来上がりました」
体験談はお客様の声、生産者の声、ショップオーナーの声などバリエーションはさまざま。体験談風にすることでキャッチコピーに感情が生まれ、想像力の豊かな人なら実際に言葉を発した場面まで思い描いてくれる。
具体的な数字を使う
具体的な数字を使うことで、信頼性を高めることができる。お客様と顔を合わせることのないネットショップでは信頼は重要。ウェブ上に記載していることは嘘ではありません、本当の良いものなんです、ということを強調する意味でも、具体的な数字を使ったコピーを用意しよう。
- 99.8%の除菌力を誇る食器用洗剤
- 100人中97人が美味しいと回答したおはぎ
- 前バージョンと比較して120%の性能に改善されたハードウェア
「99.8%」や「100人中97人が」といったように、その数字は具体的であればあるほどよい。アイテムの堅牢度やユーザーの満足度など、事前調査したデータがあるならば惜しみなく出していこう。
おわりに テクニックを組み合わせてキャッチコピーを作ろう
ここまでいくつかキャッチコピーをつくる上でのポイントをご紹介してきたが、数あるテクニックを組み合わせながら一つのキャッチコピーを組み立てるようにしよう。そしてお客様の心を掴むためには心理的なテクニックも重要になるため「13個の心理学をネットショップに応用して販売力を高めよう」の記事も是非参考にしてほしい。
キャッチコピーはたった一文だが、それを考えるのに時間をかけすぎるということはない。たった一つのコピーが企業を救うこともあり得るので、手を抜くことなく練りに練った、ユーザーの心に刺さるキャッチコピーを考えていこう。
【著者からの一言】
鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-
当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!
ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!