「ネットショップ 売れない」と嘆いているショップオーナーの皆さま、売れるお店へと改善していくためには、ダメな点を見つけていくことが大切。ダメな点については自社で運営するショップだけではなく、他社運営のショップにも目を配ることで、売れないショップに共通している残念な点を見つけていくことができる。
そうした売れないショップに共通するポイントを見つめながら、改善点を見つけていこう。
人の気配が感じられない
リアル社会に置き換えて考えれば、人の気配を感じないシーンと静まり返ったお店には入る気もおきないだろう。逆にいつもお客さんで込み合っているお店を見ると、”そんなにも多くの人が欲しくなる商品があるのなら、今度自分も行ってみようかな”という気持ちになるはずだ。
しかしECサイトは実店舗と違い、ユーザーはそのお店にどれだけお客さんがいるのかを確認することができない。そのため繁盛したお店であることを理解してもらうには、ちょっとした工夫が必要になる。
キャッチコピーで人の気配を演出
良質なキャッチコピーはショップの売上げに多大な恩恵をもたらしてくれる。それほど言葉の持つ力は強い。
例えば「10分に1個売れている○○」とか「年間で5000個を販売した○○」というコピーを見かけることがあるが、それらを見るだけでいかにその商品が人気であり、多くの人が購入しているかが分かる。
ネットショップでも「年間利用者数1万人突破」や「在庫が尽きる前にお早めに!」などのキャッチコピーを用意しておくことで、繁盛店であることを伝えられる。
良質なキャッチコピーを作りたいなら「ネットショップの売上を増加させるキャッチコピーのつくり方」の記事を参考にしてほしい。
リアルタイム注文状況
楽天市場でよく見かけるリアルタイムに注文状況をお知らせする機能。下図のようなイメージで表示されるやつ。
購入があるたびにどんどん新しい情報が流れてくる。人の気配やショップの賑わい感を演出するにはぴったりの機能だ。
ただし技術的な問題もあるので、よほどプログラムに精通していない限り簡単には導入できないと思う。もし自作できないのであれば、当機能を販売提供している会社もあるので、外部委託するとよい。
モール系ショップだけでなく、ショップサーブやカラーミーショップといったASP利用のECサイトでも導入可能だ。
スタッフ紹介ページを用意する
人の気配という観点では、スタッフの気配という点も重要だ。
ネット通販のデメリットとして”しっかりとした取引ができるか不安を覚える”という人もいるので、PCやスマホ画面の先にどのような企業や運営者がいるのかを知らせることも、安心感を与えるポイントとなる。
もし「About us」や「当ショップについて」のようなページを用意しているなら、そこにスタッフの顔写真とともに紹介ページを設けてみてはいかがだろう。
全然更新されない
ECサイトを立ち上げてから全く更新の無いサイトも見受けれられるが、これではお客様としても営業中なのかどうか判断しがたい。クレジットで決済したけど注文の品が届かないのでは…と不安に思うお客様もいることだろう。
ネットショップであっても更新は忘れずに、サイトとしての鮮度を保つということは大事だ。
キャンペーンを行う
期間限定の送料無料週間やクリアランスセールなど、キャンペーンを行うことでサイトの新鮮さを保つことができる。それに固定客を飽きさせない仕組みにもつながるので、こうした取り組みは是非行ってほしい。
とは言っても、どのようなキャンペーンを打ち出していこうかお悩みなら「ネットショップの賑わい感を演出するキャンペーン企画9選」の記事を参考にしてほしい。
特集ページを用意
ショップにとって目玉商品となるような、絶賛売り出し中の商材を抱えているなら、特集ページを用意しておくことで、サイトの更新にもつながる販促活動ができる。
季節のイベントに合わせて冬には「クリスマスにおうちの中を飾るインテリア特集」や、春先には「新生活で使いたいステーショナリー一覧」などの特集ページを用意して、新しい企画をどんどん打ち出していこう。
特集ページの立案には「ネットショップの集客で使える季節柄のイベントごと12ヵ月分」も参考にしてほしい。
連絡先を公開していない
個人で運営しているEC事業者に多いのだが、連絡先を公開していないパターン。これでは誰だってお店を信頼することができない。実店舗で考えても、連絡先すら公表できないお店は敬遠して当然だと思う。
非公開にしている理由としては、個人情報を出したくないという理由だろうが、ネットショップも立派な商売なのだから、やはり事業者の情報は公開するべきである。
それに「ECサイトに絶対に必要なページと設置するとよい項目や機能」の記事でも説明しているように、ネット通販は事業者と消費者間でトラブルが発生しやすいため”特定商取引法に基づく表記”ページの用意は必須であり、そこには事業者の情報を公開しなければならないという定めがある。
トップページに連絡先を表記
トップページの目立つ部分に「連絡先電話番号」「連絡先メールアドレス」「営業時間」を記載しておくことで、ショップへの信頼度はグッと高まる。それに在庫や仕様の確認のために、電話で連絡を取りたいという方もいる。
そうしたお客様は連絡先の表記が無いことで離脱してしまうことも多いため、連絡先を目立つ部分に載せておくだけで、せっかくご来店いただいたお客様を逃してしまうことも少なくなる。
IP電話の導入という手も
個人の固定電話や携帯電話の番号を公開するのはどうしても嫌という方なら、IP電話を導入してはいかがだろうか。
IP電話とは通常の電話網を利用した回線ではなく、インターネット技術を利用した新しい通信の形だ。固定電話や携帯電話からの接続も問題なくできる。電話番号が050から始まること以外は、使い勝手においても従来型の電話と遜色ない。
設置料金や通話料金も固定電話と比較すると安く済むため、ビジネス用にIP電話を用意するというのも一つの手だろう。
決済手段が少ない
決済手段の少なさはユーザーの離脱につながる。
もしJCBのクレジットカードしか持っていないユーザーがいたとして、ショップで利用可能な決済手段が銀行振込とクレジットカード(VISAとMasterCardのみ)だったら、JCBユーザーにとっては銀行振込を選択するしかない。それだったら別の店舗で購入しようと思ううかもしれない。
お客様のことを考えるとウォレット決済やネットバンク決済など、あらゆる決済手段を用意しておいた方が利便性は高まる。しかし導入するにも費用が発生するので、サイトの規模やショップの方針で「ネットショップに導入したい決済方法を重要度順にランキング」の記事を参考に、どの決済手段を導入するかを決めていってほしい。
商品説明が不十分
インターネット上で商品を購入してもらうのは決して簡単なことではない。実店舗なら商品を並べておくだけで、お客様がそれを見て触って、暮らしの中でどのように利用していくかを想像してくれ、ショップ定員がセールストークを繰り広げることも可能だ。
しかしネット通販の場合は商品を手に取って確かめることもできなければ、店員が横について魅力を語ることもない。だから商品ページを充実させることは、お客様をその気にさせることにつながる。
ショップオーナーはどれだけ自社で取扱いの商品が素晴らしいかを理解していると思うが、お客様には写真と文章を駆使してしっかりと説明しない限り、その魅力は伝わらない。
商品写真は美しく
実物を見ることができないネット通販では、商品写真はお客様が購入を決める意思決定に重要な役割を果たす。
売れないショップでは商品写真一枚だけ載せて終わりということもあるが、さまざまなアングルから撮影して、できるだけ多く写真は掲載しておくべきである。そしてただの物撮りだけでなく、以下のような見せ方をすることも大事。
実際に手に取って撮影
雑貨などの小物の場合は、ショップスタッフが実際に手に持っている写真を掲載しよう。こうすることで、その商品のだいたいの大きさを把握することができる。
もちろん商品説明文には縦・横・奥行のサイズを記載するべきだが、文字から伝わる情報よりも画像で見る情報の方が感覚的に理解しやすくなる。
利用シーンを撮影
ファッション関係のショップであれば実際にモデルを起用して着用しているシーンを撮影する。家具であれば実際のインテリア例を掲載したり、食材関係なら食卓の風景を写真に収める。
写真を通して利用シーンを提示することで、よりお客様の購入衝動を高めてあげる。
写真はきれいに補正する
たまに全体的に暗い感じの残念な写真を掲載しているショップがあるが、撮影時には自然光の向きを気にしたり、照明やレフ版を用意するなどして、少しでも魅力的な写真を撮影することに努力するべきである。
もし撮影時にどうしても光の量が足りなかったり、実物とは色味が少し変わってしまう場合は、画像加工ソフトを利用して補正を加えよう。今では高機能ながら無料で使えるソフトが多数あるので、「商品写真の加工に使える無料画像加工ソフト7選」の記事を参考にしながら対応しよう。
説明文章は丁寧に
先にも述べたが、ネットショップの場合は店員がお客様に商品の魅力について直接説明することができない。セールストークの役割を果たすのは、商品紹介ページに記載する説明文章だ。
そのため説明文章はおろそかにしてはいけない。何度も言うが、お客様は商品の魅力について店主の思うように理解してはいただけない。しっかりとした説明が必要だ。
素材やサイズといった仕様から、他の商品と比較して優れている部分、商品を利用することでお客様の暮らしがどれだけ充実するのか、これらを説明文章として手を抜くことなく組み立てていく。メーカーが用意した販促用の文章だけでなく、実際に仕入れた担当者や店主がその商品に対してどこに魅力を感じているのか、生の声を交えながら商品説明を行おう。
商品説明文章の上手な組み立て方については「商品の魅力を伝える説明文章で訴求力を高める3つの要素とは」の記事も参考にしてほしい。
動画を利用する
近年では商品ページに動画を埋め込むショップも多くなっていきた。動画は写真や文章よりも、圧倒的に膨大な情報量を伝達できるツールである。ユーザーにとっても再生ボタンを押すだけで済むので非常に使いやすい。
とあるショップでは商品ページに動画を挿入することで、コンバージョン率が30%も高くなったというデータもある。上手な動画の利用については「Youtube × ECサイト 動画を利用したビデオコマースの幕開け」を参考にしてほしい。
おわりに 売れるネットショップへの改善は見直しから
「売れないネットショップ」を「売れるネットショップ」に変えていくには、まずは自身のショップを見つめ直すことが大事。そして他の売れるショップを研究しながら、自分のサイトには何が足りないのかを見つけていく。
そして改善を加えたら検証することも忘れてはいけない。「GoogleアナリティクスでECサイトをデータ分析する基本の4点」でご説明しているポイントを気にしながら、しっかりと改善に対して効果があったのかを見極めて、コツコツと売れるショップを目指していこう。
【著者からの一言】
鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-
当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!
ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!