ネット通販を利用すれば家から一歩も外に出ることなくお買い物ができる時代。缶詰や冷凍食品などの加工食品から、海鮮物や野菜などの生鮮食品といった食材を購入するのも、近所のスーパーに足を運ぶ必要がなくなった。それに近年では、生産者自身が仲介業者を介さずにネットで商品を販売する例も多い。
今回は食材をメインにしたネットショップで売上げを上げていくための施策についてご説明していく。
デザインについて
まずはネットショップのデザインについて。ただ商品を並べるだけではお客様の購買欲求を刺激することはできない。売れるサイトはデザインにも気を配っているのだ。
寒色系の色味を使用しない
青に近い色は寒色と呼ばれ「サイトのメインカラーを決める際に役立つ色の印象について」でも説明しているように、誠実さや冷静さをアピールするには効果的だが、食欲を減退させる効果も持ち合わせている。
青色の食べ物を思い浮かべてほしい。思いついたとしてもかき氷にかけるシロップや、ソーダ味のアイスキャンディーぐらいではないだろうか。それらは人工的に作られたものであり、自然界には青色の食べ物はほとんど存在しないのである。青りんごだって実際は緑色であるし、ブルーベリーも紫色だ。
食材を扱っているネットショップに青色を多用するのはNGだ。せっかく買う気満々のお客様も、そっと画面を閉じてしまうことだろう。
商品アピールについて
もしネットでお米を売ろうとするなら、そのショップで購入するメリットを提示してあげるとよい。消費者としてはいくらでも他商店の商品で代替できるので、そのお米はどんなところが優れているのか、他の商店とはどんな違いがあるのかなど、商品アピールを徹底的にしていこう。
食材を販売する上でのアピールポイントは以下の通り。
生産者の情報を載せる
日本は世界的に見ても食への安全に過敏な国だ。生産者をお知らせすることは、お客様へ安心感を与える施策として有効だ。スーパーで販売している野菜にも、生産者の名前や顔写真が貼り付けられているのもこのため。
さらにウェブ上のコンテンツとして作りこんでいくなら、生産者へのインタビューページなどを用意しても面白い。その食材を作る際の苦労話や美味しく育てるためのコツをご紹介することで、さらに食材の魅力度が増す。
その他にも「この土地で、こんな肥料を与えて育てています」という情報を公開できるなら、どんどん公開しよう。生産者にとってはどうでもよい情報も、消費者にとってみれば価値のある情報もあるのだ。
商品写真にはこだわる
食材関係は商品写真がとっても大事。美味しそうな写真を撮れるかどうかは、ショップの売上げにも大きく影響する問題だ。だからできることなら商品撮影はプロのカメラマンにお願いするとよい。
もし自分たちで撮影するなら「ネットショップの商品写真を魅力的に見せるアングルや構図」も参考にしてほしい。お皿に盛り付けるならS字のカーブを意識したり、上から見下ろすようなハイアングルのカットにすることで、より魅力的な写真に仕上がる。
また食材系の商品写真は”シズル感”を上手に表現することが大切。シズル感については「グルメ系ネットショップはシズル感の演出で購買意欲を高めよ」の記事を参考にしてほしい。
調理後のイメージ写真も載せる
加工食品ではなく玉ねぎやジャガイモのような生の食品を扱っている場合でも、調理後の写真を用意してほしい。お客様に実際の食卓をイメージしてもらうことで、より購入に至りやすくなる。
湯気がもんもんと立ち上がっているような、思わずよだれが出てしまいそうな写真が撮影できれば上出来。資金的にも余裕があればスタジオを借りて撮影するとさらに魅力的な写真に仕上がる。
料理レシピを掲載する
その食材をどのように調理したらよいのか、うまみを引き出すには何の料理に用いるのがベストなのか、オリジナルの料理レシピを掲載しておくとよい。生産者ならではの美味しい食べ方が載っていたら、それを見たユーザーは自分でも試してみたくなるに違いない。
オリジナルレシピを用意することで、ショップの個性も表現することにもつながる。
アレルゲン表示をする
「商品の魅力を伝える説明文章で訴求力を高める3つの要素とは」の記事でも説明しているのだが、重大なアレルギー疾患を引き起こす恐れのある7品目の食材を使用している商品を販売する場合には、表示の義務が課せられている。
その対象とは以下に挙げる品目。
- 卵
- 小麦
- えび
- かに
- そば
- 落花生
- 牛乳
何か問題があってからでは遅いし、お客様としてもネット上で確認できることで、安心してお買い物ができる。お客様思いのショップを実現するには、これらの表記を忘れてはいけない。
ショップシステムについて
食材を扱うECサイトだからこそ利用できるショップシステムもある。
定期購買便を用意する
日々消費する食材は、もし使い切ってしまったら、再びスーパーに買い出しに行くのが普通だ。お気に入りのメーカーの食材を定期的に購入することが多い。
食材は定期購入することが多い商材のため、定期購買便システムを用意してはいかがだろう。月に一度、一定量の食材が送られてくるシステムで、支払いは自動引き落としにする。毎回毎回注文するというお客様の手間を軽減させることができる。
さらに定期便の利用者には特別割引をつけることで、お得感が増していく。リピーターをつくる観点でも非常に優れたシステムである。
おわりに 食材を活かした戦略を
食材という商材ジャンルならではの戦略を立てることで、数ある食材系ショップの中でも優位に立つことができる。今回ご紹介した施策を取り入れながら、売れるショップを作り上げてほしい。
サイト自体のコンバージョンを上げる仕組みについては、下記の記事も参考にしてほしい。
【著者からの一言】
鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-
当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!
ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!