大切な商品をお客様の元へお届けする際に、しっかりと心配りができているだろうか。到着して段ボールを開封したら商品が破損していたなんてもってのほか。配送業者のせいかもしれないが、お客様にとってはそんなこと関係ない。ショップへの信頼度も下がり、もうそのショップの利用は控えようと思うかもしれない。
逆に商品が丁寧に梱包されており、プラスアルファの心配りが伝われば、そのショップを今後も定期的に利用しようと思ってくれるだろう。今回は商品を梱包・配送時に気を付けてほしい点についてご説明していく。
緩衝材を忘れない
商品の破損を防止するための緩衝材を忘れてはいけない。緩衝材を入れておくことで、配送中に受ける衝撃を吸収してくれる。商品の破損を防止することはクレームの減少にもつながり、ひいてはクレーム対応にかかる人的コストの削減にもなるのだ。
「クレームをチャンスに変えるネットショップ的処理対応」でも説明しているように、クレーム自体は業務改善のために有効活用する術はあるが、事前にクレームを頂かない対策を打てるなら打っておきたい。
段ボールに梱包しての配送なら、上下左右を緩衝材で包むことが理想の形。陶器やガラスなどの割れやすいものは、プチプチと呼ばれるエアークッションでくるむなど、特に注意して梱包したい。
緩衝材にはエアーシートや発砲シート、まき段ボールなどさまざまな種類があるので、取り扱う商材と梱包するケースに一番フィットするものを選ぶようにしよう。
特に注意が必要な荷物は荷札シールを
上下逆さまにしてはいけなかったり、衝撃に弱い精密機器など、特に取り扱いに注意が必要な荷物は、荷札シールを貼ってアピールしておくとよい。そうすると配送ドライバーの方も丁寧に扱ってくれる。
“割れ物注意や”天地無用”、”下積厳禁”などのシールは、配送業者が独自で用意していることもあるので、出荷の際に依頼してみよう。
越境ECなら日本の新聞紙もあり
新聞紙もクシャっと丸めることで、緩衝材の役割を果たしてくれる。外国人を対象にネット通販を行っている越境EC事業者なら、日本の新聞を緩衝材として利用するのもあり。
外国人にとっては日本語や日本の写真が掲載されている日本の新聞は、現地では手に入れるのが難しい珍しいものであり、なかなか目にする機会もない。外国人が日本の新聞を読むわけではないが、異国の文化に触れるという意味で面白味がある。
日本人が英字新聞をみて「ちょっとお洒落だな」と思う感覚と同じだろう。
きれいな段ボールを使用する
梱包に段ボールを利用するなら、きれいなものを使用したい。何かの商品が入っていた段ボールの使い回しや、ずっと倉庫に保管して薄汚れてしまった段ボールが届いたら、お客様の感動も半減してしまう。
段ボールでなくても、封筒やレターパックでも同じこと。清潔感のあるものを使うようにしてほしい。
段ボールに自社サイト名を印刷
少々費用は高くなってしまうが、段ボールに自社サイト名やショップロゴを印刷できるサービスもある。ネット通販大手のamazonもオリジナル段ボールを使って配送を行っている。
お客様は注文時に決済まで完了すると、どこのショップで注文したかは結構忘れていることが多い。ショップ名入り段ボールを利用することで、ショップの個性を表現することや、お客様にショップ名を覚えてもらうきっかけにもなる。
段ボールへの印刷は「オーダーダンボール」や「ダンボール印刷web」というサイトで外注することが可能。
越境ECなら固めの段ボールを
越境ECをしている事業者なら、発送から到着までににかかる日数が長くなることや、海外では日本の配送業者よりも扱いが雑になることがあるため、固めの段ボールを利用したい。野菜などを梱包するような、柔らかめの段ボールを利用すると、配送途中に段ボールが破れてしまうこともある。
一口に段ボールと言っても、その厚さと強度はいくつか種類がある。厚さは二枚張りになっているものや、紙の強さもC5・C6・K5・K6などの基準がある。
海外配送はトラブルがあったときの再配達もコストがかかるため、丈夫な段ボールを利用することでトラブルを未然に防ぎたい。
納品書を忘れずに
商品と併せて、納品書も同封するようにしよう。「商品をしっかりお届けしているから納品書なんていらないでしょ」とお考えの事業者もいるが、それはショップ側の都合であり、納品書を必要とするお客様がいることを忘れてはいけない。納品書は注文した商品と納品された商品をチェックするための重要な書類なのだ。
納品書なんていちいち作るの面倒だな…という方も、ASP型のネットショップを利用しているなら、標準で納品書の出力機能が付いていることが多いため、プリンタさえあればワンクリックで印刷できる。ネットショップを無料開業できるBASEでも、納品書出力機能が搭載されている。
もし自身で納品書を作成する場合は、Excelを利用してテンプレートを一つ用意しておくと、注文者と商品情報を転記するだけなので、一から作業するよりも効率が良くなる。
宛名は間違いなく
当たり前のことだが、宛名は間違えてはいけない。特にアパートやマンションなどで部屋の号室を間違えてしまうと、別のお宅に配送されてしまうので要注意。番地などは間違えても、だいたいの場合はしっかりと届くことが多いが、それでも間違えないに越したことはない。
名前については間違えてしまうと失礼に値する。お客様のショップへの印象も悪くなるので、特に名前だけは間違えないように気を付けてほしい。
またギフト対応などでは、注文者の住所と発送先住所が異なる場合もあるので、しっかりと発送先住所を宛名に記載するようにしよう。
同梱するアイテムでリピート購入を促そう
人はある対象に対して印象を抱くときに、初めて接点が生まれる瞬間と、最後に接点を持ったときの感情が非常に重要になる。言い換えればその二点を意識することで、意図的に好印象を頂くことができるようになる。
ネットショップの場合なら商品の到着時が、初めてお客様とショップ側との間に物理的な接点が生まれる瞬間である。その瞬間を盛り上げるためにも、商品以外の”ちょっとしたもの”を同梱しておくことで、お客様の印象を良くすることができる。
例えばショップスタッフによる手書きのメッセージカードが入っているだけでも、お客様思いのショップであることを伝えられるし、クーポンコードを入れておくことで、次回のリピート購入を促すことができる。
商品と一緒に同梱しておきたいものについては「リピート購入を狙うための商品発送時に同梱したい7つのもの」を参考にしてほしい。
おわりに 商品到着時はお客様の心をつかむ瞬間
顧客満足度を高めたいなら、商品が届けばよいという問題ではない。商品が届くのは当たり前のことであり、そこにプラスアルファの心配りを感じられることで、ショップへの信頼感や満足度が高くなる。
ついついウェブサイトのレイアウトや商品の見せ方ばかりにこだわってしまうが、商品梱包というアナログな作業にも、そのショップなりの工夫を詰め込んでいきたい。
【著者からの一言】
鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-
当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!
ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!