メルマガをHTMLメールにすることで生まれる利点や問題点

リピーターを増やすための施策として、メールマガジンを利用しているEC事業者は多いことだろう。ネットショップの黎明期から、販促ツールとして当たり前のように利用されているメルマガも、効率よくコンバージョンにつなげるために、さまざまなテクニックが研究されている。

そして近年では従来のテキストメールではなく、HTMLメールを利用することが多くなった。メールマガジン配信システムによっては、HTML形式でのメールに対応していないこともあるが、今回はHTMLメールを使うことのメリットやデメリットについて、ご説明していく。

 

HTMLメールのメリット

HTMLメールとは、インターネットで見るウェブサイトのようにプログラムによって作り上げるメールのことで、文章ごとに文字の大きさや色などを変えたり、イメージファイルを任意の場所に挿入することができ、デザインの幅が広がる。

そんなHTMLメールならではの利点は以下に挙げるようなポイントだ。

 

ユーザーの反応が良くなる

まず第一に、HTMLメールの方がテキストメールよりもユーザーの反応が良くなる。ショップのPRのために発行するメルマガは、HTMLメールを利用した方が、より良い結果を得られるだろう。

文字ばかりがズラーっと綴られているメールよりも、ところどころに画像が挿入されて、段落ごとに見出しが設定されたメールの方が、ユーザーも「ちょっと読んでみようかな」と思うはずだ。テキストメールは一見するとシンプルだが、最後まで読むのが面倒だと感じれば、開封した瞬間に閉じられてしまうかもしれない。HTMLメールであれば、ユーザーは自分の興味のある内容が書かれている場所を見つけ、そこだけでも読んでくれるかもしれない。

 

ショップの世界観そのままのメールになる

デザインに融通が利くHTMLメールだから、ショップの世界観そのままのメールをお客様に送付することが可能だ。背景の色を変えたり、背景に独自の画像を設定しておくことも問題ない。メールマガジンと言うだけあって、本物の雑誌のように凝った演出をすることができる。

お客様の心を掴んで、再来店してもらうのがメルマガの役割。細部にまで凝ったデザインで、“好きなショップ”として認知されるようにしよう。コンセプトを徹底して貫けば、本来は嫌われるはずのメールマガジンの到着自体を楽しみにしてくれるユーザーも増えることだろう。

 

開封率を計測できる

メルマガを発行するときには、メール内のリンクのクリック率や、開封率を計測して、メルマガの質を把握する。開封率が悪ければ「ユーザーの興味を誘えるようなタイトルじゃなかったかな…」とか「差出人名の設定が悪かったかな…」ということが推測でき、改善策を立てることができる。

しかしテキストメールでは開封率を計測することができない。これは開封率を調べるための技術的な問題であり、開封率を計測できるのはHTMLメールだけの特権だ。ただし本文に記載のリンクのクリック率なら、テキストメールでも確認することができる。

 

HTMLメールのデメリット

テキストメールと比較して、ユーザーの反応が良くなるHTMLメールだが、決して良いことばかりではない。盲目的にHTMLメールを利用するのではなく、以下に挙げるようなデメリットがあることを頭に入れておこう。

 

手間がかかる

HTMLもプログラムの一つであり、扱いにはちょっとした知識を必要とする。一から覚えるのは面倒なので、多くの場合はテンプレートを利用するのだが、何か修正を加えたいときには、どうしてもHTMLを編集できるスキルがないといけない。

テンプレートをそのまま利用する分には良いが、プログラムに慣れていないと、カスタマイズを加えるときに手間がかかってしまう。

 

HTML対応のメールソフトでしか読めない

慣れないHTMLメールを一生懸命作ったとしても、ユーザーが利用しているメールソフトがHTMLメールに対応していなければ、送信者が想定しているようなレイアウトでは表示されない。

せっかく見栄えよく整えたレイアウトが崩れてしまい、テキストメールの方が読みやすいメールになってしまった…という結果にもなりかねない。

 

ガラケーはHTMLに非対応

ガラケーはHTMLメールには対応していない。そのためガラケーユーザーにいくら凝ったHTMLメールを投げようとも、期待したような効果を得ることは難しいだろう。

高齢者にはまだまだ根強い人気を誇るガラケー。高齢者向けの通販を展開しているEC事業者なら、HTMLメールよりもテキストメールを優先した方がよさそうだ。

 

HTMLメールを拒否しているユーザーもいる

メールマガジンの配信を希望するユーザーの中には、HTMLメールの受信を拒否しているユーザーがいることも忘れてはいけない。その企業が嫌いなわけではなく、セキュリティ上の理由から拒否設定にしているのだ。

HTMLメールはプログラムで作られており、悪意のあるコードを仕込んでおくことが可能。そのためコンピュータウィルスを仕込ませたHTMLメールを送りつけることで、ウィルスに感染させることもできる。

こうした被害を未然に防ぐためにも、HTMLメールを拒否している。メルマガの不着率の数字もしっかりとチェックしておきたい。

 

ファイルサイズが大きくなる

文字だけのテキストメールと比較して、イメージファイルを多用するHTMLメールはファイルサイズが大きくなってしまうのも仕方がない。ファイルサイズが大きくなることで、メールサーバにかかる負荷が大きくなったり、表示スピードが遅くなるという弊害が出る。

ただしユーザーの環境やサーバーの処理能力が飛躍的に向上した現代では、それほど大きな問題ではないかもしれない。知識として頭の片隅に入れておこう。

 

おわりに 基本はHTMLにするべき

メールマガジンを発行するのなら、基本はユーザーの好反応を得やすいHTMLメールにするのがセオリーだ。ただしガラケーユーザーを多く抱えているネットショップなら、ユーザーの環境を優先してテキストメールにすることも検討したい。

メールマガジンの配信を検討していたり、上手なメルマガ運用をお考えなら、下記の記事を参考にしてほしい。

 


【著者からの一言】

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鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-

当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!

ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!