どんな商売もそうですが、お客様がいないことには商売は成り立ちません。だから世の中の企業はお客様を集めるために、テレビコマーシャルを流したり、あらゆる場所に看板を設置したり、さまざまな手法を取っています。
そして集客が必要という点は、ネットショップであっても同じこと。ですがその集客の方法は、実店舗や大企業が取る手法とは少し違う部分も出てきます。
ということで、今回はネットショップの集客に効果的な方法を、有料と無料のものに分けてご紹介していきます。ショップのPVが少ないとお悩みのオーナー様は是非参考にしてください。
有料で使えるネットショップ集客方法
リスティング広告
リスティング広告とはクリック課金型の広告のこと。GoogleやYahooで調べ物をするときに検索をかけると、検索結果の上部や右側に広告枠が表示されていますよね。あの部分に出てくるページは検索エンジンが高評価しているわけではなく、広告主がお金を払うことで、目立つ場所に表示されているのです。
検索を意識した、ネットの世界ならではの広告形態ですね。
Googleであれば「GoogleAdWords」。Yahooであれば「Yahoo!プロモーション広告」と呼ばれています。
このリスティング広告、広告を出稿しただけでは費用は発生しません。誰かに広告リンクをクリックされることで、初めて課金が始まります。これは広告出稿主としては嬉しいポイント。
そのため適切に運用していけば、非常に費用対効果の高い集客方法といえます。ですが逆に言うと、関連の薄いキーワードで広告を出してしまったり、効果測定をしっかりと行っていかないと、無駄な出費も多くなってしまいます。
(リスティング広告の出稿委託を専門とした会社もあるぐらいですので…)
リスティング広告の特長としては、効果がすぐに出るというところ。広告出稿のための審査はあるものの、何日もかかるものではありませんので、その日のうちからお客様を集めることができるという即効性は評価できます。
リスティング広告の出稿をお考えなら、こちらの「リスティング広告の基本と効果的な運用方法について」を参考にしてほしい。
バナー広告
バナー広告とは、別サイトの一部に御社のショップへリンクするためのバナー広告を貼ってもらうもの。
Yahooのトップページを開くと、画面右上に広告バナーが掲載されているのを確認することができます。このバナーをクリックすると、広告出稿主のウェブサイトに遷移するという仕組み。
ちなみにYahooトップページへのバナー広告の出稿は2016年2月現在、一週間の掲載で850万円~だそうです。とてもではありませんが、中小レベルの企業に出せる金額ではありません。
しかしYahooとまではいかなくても、数万円~の金額でバナー広告を出稿できる媒体はいくらでもありますのでご安心ください。
そしてバナー広告を出稿する際に気を付けてほしいことが一点あります。それは何を目的としてバナーを掲載してもらうかということ。
これは「商品の購入」という目的と「ブランドの認知」というそれぞれの目的で、バナー広告を出稿するサイトを区別する必要があるからです。
もし商品の販売が目的であれば、ショップで取り扱っている商品のジャンルにより近い媒体への掲載が効果的。
例えば和雑貨を取り扱いしている商店であれば、日本の歴史や伝統を発信しているようなポータルサイトに広告を出すとか、見込み客となる層が集まっていそうなサイトを選ぶようにしましょう。
逆に「ブランドの認知」となれば、先にご紹介したYahoo!JapanやMSNなどのニュースサイトなど、より多くの人が閲覧する媒体で、短期間で大勢の人にアピールするのが効果的。(ブランドの認知となると、ある程度余裕のある大企業に限られてきますが…)
いずれにしろ、しっかりと広告を出す目的を理解した上で、出稿依頼を出してみましょう。バナー広告の出稿をお考えなら、こちらの「クリック率の高くなるバナーを制作するコツやテクニック」を参考にしてほしい。
記事広告(ネイティブ広告)
記事広告とは、一昔前は「ステマ」とも呼ばれる時代がありました。
「ステマ」とは「ステルスマーケティング」の略で、広告のように見せずに商品やサービスを宣伝する手法のこと。
例えばあなたの好きな芸能人がブログにて、「この商品超おすすめ!絶対買わないと損だよ!」と発言したとします。そうするとファンの心理としては、好きな芸能人がおすすめした商品であれば欲しくなってしまうことでしょう。
ですがもし、この芸能人がスポンサーとなる企業からお金をもらって、おすすめ発言を言っていたとしたら、それは本意でなく広告・宣伝ですよね。これがいわゆる「ステマ」の概念です。
商品は売れるかもしれませんが、ファンとしてはお金をもらって発言していることを知れば、がっかりして信用を失うかもしれません。実際過去には食べログや楽天市場なんかで大規模なステマが行われています。
そのため、近年はステマは社会的に良くないということで、かならず広告であれば広告と分かるような表記がされるようになりました。これが現在の記事広告(ネイティブ広告)につながるわけです。
「NAVER まとめ」や「MERY」などの、今話題のキュレーションメディアなどで記事タイトルの上や横に「広告」や「PR」といった文字を見ることはありませんか? 見たことないという方は、今後意識してみてください。それが広告主の意向を汲んで書かれた記事広告です。
記事広告は一見すると広告のように見えないので、ユーザーに商品やサービスを訴求するにはとても効果的。(どうしても広告と分かると、人は身構えてしまうものなので)
記事広告の出稿は、大手キュレーションメディアですと数十万から数百万かかるため、とても手が出せるようなものではないかもしれません。しかしある程度のPVを誇るサイトを運営する有名ブロガーであれば、直接依頼することで、数万円~の記事広告を執筆いただけることもあります。
その際もバナー広告と同様、見込み客となってくれそうなユーザーがいる媒体に依頼するようにしましょう。記事広告の出稿をお考えなら、「記事広告で従来型広告よりも高パフォーマンスの運用を目指せ」を参考にしてほしい。
無料でできるネットショップ集客方法
SNS
やはり今時のネットショップの集客に欠かせないのがSNS運用。もしFacebookやTwitterなどのSNSを利用していないというショップオーナー様がいれば、今すぐに始めてください。
今や個人でも情報発信できる時代ですので、芸能人でもスポーツ選手でもない、名もない個人の一言によって、新しいトレンドがつくられることもしばしばあります。
それに無料でアカウントを取得できますので、ネットショップの集客に使わないわけにはいきません。
SNSはウェブサイトよりもお客様との距離が近いので、ただの商品情報だけでなく、店舗運営の裏側など、フォローしたファンが喜ぶような情報を発信するとよいでしょう。スタッフの熱い想いを投稿してみたり、新商品の入荷情報をいち早く教えてあげたりとか…
もしフォローしていただいているファンに刺さる内容の投稿であれば、SNSの最大の利点である拡散力が爆発して、瞬く間に大勢のユーザーに情報を発信することが可能です。情報をお届けするということは、簡単のようにみえて意外と難しいもの、だからこうしたツールはフル活用したいものです。
またSNSの弱点としては、発信した情報が残っていかないこと。タイムラインという考え方が基本になりますので、情報の鮮度が古くなればなるほど、他者が発信する情報に埋もれていって人の目につかなくなります。
SNSについてこちら「ECサイトの販促には無料で使える6つのSNSをフル活用しよう」の記事にもまとめておりますので、併せてご覧ください。
メディア運用
ECサイトの集客手法として、現在注目を集めているのがメディア運用です。
「石鹸百貨」というウェブメディアをご存知でしょうか? 石鹸百貨とは石鹸にまつわる基礎知識から使い方まで、さまざまな情報を発信している石鹸のためのメディアサイトです。
記事の内容は初歩的なことから専門的な内容まで、石鹸のことを知りたいならこのサイトだけで大丈夫、というほど充実しています。
このサイトはなぜこのようなメディアを運営しているのでしょうか…趣味が高じて…というわけでは決してありません。正解は石鹸をネット通販している自社のショップへ、お客様を流し込むためです。
お客様が石鹸を購入しようとするときに、「どのような石鹸が今売れているのか?」や「肌に優しい石鹸にはどのような成分が含まれているのだろう?」ということを事前に調べる方が多いと思います。
購入を目的とした検索ではないが、石鹸に対して興味・関心があり、購入に前向きな層を、石鹸百貨というメディアサイトで捕まえる。そこで石鹸についてのあらゆる情報を提供した後、自身の運営するショップにて商品を購入してもらう。
これがメディアサイトを運営して集客する手法です。
SNS運用とは違い、メディア運用の場合は半永久的に残る記事を書き起こすことになりますので、その効果はネット環境がある限りずっと続きます。だからより多くの有益な記事をつくり上げることで、ますます集客効果は高まります。
メディア運用についての詳細は「ECサイト(ネットショップ)がメディア化を進める6つの理由」を参考にしてほしい。
キュレーションメディアでの自作自演はNG
いくら集客をしたくても、やってはいけないことがあります。それはキュレーションメディアでの自作自演。
NAVERまとめをはじめ、「MERY」「キナリノ」「iemo」「lohas」などなど…数え出したらキリがないほどのキュレーションメディアが存在します。
そこで、人気のキュレーションメディアに、自社のショップへ流入を促すようなまとめ記事を作成すれば、集客できるじゃん!と考えてしまいますが、これはNGですので、絶対にしてはいけません。
キュレーションメディアの利用規約にも、意図的に特定のサイトへの流入を促すような記事は違反と記載があるはずです。アカウントが停止になるだけならまだいいですが、最悪の場合は損害賠償を請求される可能性もあります。
ではキュレーションメディアで集客するにはどうすればいいか…それは一つ上の項で説明したように、ECサイトをメディア化することで、他者が引用したい、まとめに使いたいと思うような記事をつくることです。
これであればルール違反でもありませんし、極めて健全な方法です。有益な情報を発信する記事であれば、絶対に第三者が発見して、どこかで引用してくれます。 禁止事項を冒すよりも、コツコツと記事制作するのが一番の早道なのかもしれません。
おわりに
ネットショップの集客としては、広告を利用してお金をかければ、あっという間にお客様を集めることが可能です。しかし、なかなか膨大な広告費をかけられる商店様も少ないことかと思います。
だからこそお金をかけずして確実に集客効果がある、SNSやメディア運用という手法に注目が集まるのでしょう。
当サイトのECメディアでは、EC事業者様向けにメディアサイトの構築をしておりますので、もしECサイトをメディア化して集客をしたいとお考えの方は、是非ご相談ください。
【著者からの一言】
鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-
当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!
ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!