商品を買ってもらいたいなら買わない理由をつぶせ!FAQの事例

人は何かものやサービスを購入するときには、さまざまな判断材料をもとに決断を下す。よっぽどお金が有り余っている富裕層なら別だが、一般レベルの生活を送っている人なら無駄遣いは避けたいと思うのが普通。労働の対価として受け取ったお金を消費するのだから、商品購入時には慎重になるのも当たり前だ。

ネットショップで商品購入をしてもらうには、画像やテキストで商品の魅力を説明し、お客様の”欲しい”という感情を増幅させてあげることが大切だが、それと同時に”買わない理由”をつぶしてあげることも大事になる。

 

FAQの重要性

FAQにはお客様が抱くであろう疑問を先読みし、ショップ側に問い合わせする手間を省かせる意味があるのだが、その他にもお客様の買わない理由をつぶしていく戦略として、よく利用されている。

FAQとは「Frequently Asked Questions」の略語であるが、その他にもQ&A、よくある質問、一問一答などと呼ばれることがあり、言葉は違えど役割としてはどれも同じ。

お客様が商品ページを閲覧し、商品の魅力について理解したとしても「本当にいいことばかりなのかな」とか「本当にお買い得なのかな」と不安に感じることがある。この不安が購買意欲を鈍化させ、もうちょっと検討期間が欲しいという気持ちになり、結局購入しないという流れを生み出してしまう。

もし商品の魅力を伝えたところで、同時にお客様の不安をFAQ(よくある質問)で解消してあげることができたら、このような機会損失を防ぐことができる。

 

FAQの事例

それではお客様の不安を解消していくためのFAQの事例について、ご紹介していく。

 

ショップシステムについての質問

送料や配送方法などのネットショップのシステムは全国共通ではなく、各ショップごとに独自の方針を採っている。同じ商品であっても、店舗が違えば送料が異なることも多々ある。

独自のショップルールが分かりづらいと、お客様も困惑してしまうので「ショップ概要ページを利用して初訪問ユーザーの不安を解消しよう」でも説明しているように、どこかのページに一覧としてまとめておくとよい。

FAQ上では「送料や配送などのショップ独自のルールについては、こちらのページをご確認ください」としてリンクを張っておくと、スムーズにユーザーを誘導できる。

 

商品のデメリットについて説明

あえて商品のデメリットについて説明するのも一つのテクニックだ。

例えば焦げ付かないフライパンを販売しているショップがあったとして「Q.ずーっと購入時の性能を保ったまま使用できますか」というクエスチョンに対して「A.残念ながら恒久的に性能を保証するわけではございませんので、いつかは買い替え時が訪れます。しかし市販のフライパンと比較して買い替えまでの期間は30%ほど長く、さらに日頃からお手入れをしていただければ、もっと長い間お使いいただけます」とアンサーを返す。

「性能はいつかは落ちてしまう」というデメリットを説明するとともに「他製品と比較して長持ちする」や「メンテナンスをすれば長持ちする」などのデメリットをカバーする要素を含ませることで、より説得力のあるアンサーとなる。

 

両面提示で安心させる

実はこのデメリットもあえて提示するというのは、心理学的には両面提示と呼ばれている技の一つ。「お客様からの信頼を獲得するために気を付ける4つのこと」の記事でも説明しているが、人はメリットばかりを耳にすると、心のどこかで疑ってしまうもの。

そこであえてデメリットを説明することで「デメリットもあるけれど、メリットから受ける恩恵の方が大きいぞ」と納得してお買い物してもらえる。

 

別途費用が発生する場合は説明

商品をカートに入れて、決済を完了させようという直前で、思いもよらぬ追加金額を提示されると、決済をする気持ちにブレーキがかかってしまい、そのまま離脱する可能性が高くなる。

送料や商品代金以外に特別な費用がかかる商品の場合は、FAQを利用して事前に周知させておこう。

弊社でもEC事業者様に対して集客用メディア制作のサービスを提供しているのだが、実際に運用していくには弊社が頂く制作費用だけではなく、サーバー費用やドメイン費用などのコストがかかる。予期しなかった追加コストは、トラブルに発展する可能性もあるので、よくある質問コーナーで説明して事前の理解を得るようにしている。

 

自分にぴったりの商品であることを理解させる

例えば洋服を購入する際に「気に入っているんだけど、自分にも似合うのか心配だ…」と、欲しい気持ちとは裏腹に、どこかで不安な気持ちがよぎってしまうことがある。

ネットショップ側では実店舗のような対面接客とは違うので、お客様の体形を知ることができない。そのため購入しようとしている洋服がお客様に似合うのかどうかは分からない。しかし的確な指摘はできなくても、お客様を安心させてあげることは可能だ。

たとえば「Q.どのような人が購入していくことが多いでしょうか」というクエスチョンに「A.当商品は巷でも話題になっており、20代女性を中心に売れ行きが伸びています。」とアンサーする。こうすることで20代女性の心理は「自分と同じ人が買っているなら、私も買おう」と思うようになる。

ネットショップにおいては上で取り上げたケースのように、共感を呼ぶことが大事なのである。

 

おわりに よくある質問はクローズの要

FAQやよくある質問は、ページの一番最後に掲載されていることが多い。これはなぜかと言うと、商品ページには、商品写真・商品説明・お客様レビュー・FAQなどの要素があるが、商品写真や商品説明が欲求を与える効果を持つのに対し、お客様レビューやFAQは納得を与える効果を持つためである。

商品購入という行為は、欲求と納得のバランスがしっかりとれていることが重要である。欲求ばかりが高くても、疑念の気持ちからブレーキがかかってしまう。だがそこをレビューやFAQを使って納得させてあげることで、心理的にもスムーズにお買い物することができるようになる。

FAQはクローズの要であることを意識し、お客様を安心・納得させられるクエスチョンとアンサーを考えていこう。


【著者からの一言】

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鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-

当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!

ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!