サラリーマンを辞めていざネットショップを開業しようと決意したときに、まずは”独自ドメインでのショップオープン”か、”楽天市場のようなモール系に出店するのか”という決断が待ち受けている。
もちろん双方にショップをオープンさせることはリスクヘッジという意味でも賢明だが、初めてのネットショップ立ち上げで、双方に力を分散させている余力はないと思う。だからまずは一つの道を選択して突き進むしかない。
独自ドメインとモール系それぞれで、デメリットやメリットは存在するのだが、独自ドメインの場合は誰にも頼ることができない茨の道になるかもしれない。繁盛店としていくためには、しっかりと成功セオリーを意識した運営をしていくことが必要だ。
今回は独自ドメインでネットショップをオープンするという、孤独の道を選択されたオーナー様のために、繁盛店にしていくためのプロセスをご説明していこう。
ドメインの取得から
独自ドメイン最大の魅力は、ネットショップの住所とも言えるドメイン名を自由に決められることである。
例えば楽天市場への出店なら「http://www.rakuten.co.jp/ショップ名」というように「http://www.rakuten.co.jp/」ドメインの下層に自店を出店することになる。それは楽天市場自体が閉鎖になってしまえば、連動してショップも閉鎖することになり、今まで築き上げてきたものも同時に失ってしまう。
対して独自ドメインでのショップ運営なら、外部環境に左右されることはない。
ドメイン名の決定から戦いは始まっている
独自ドメインでショップをオープンさせるなら、ドメイン名を決める段階から戦いは始まっていると考えておいたほうがよい。ただ何となくとか、オーナーの好きな文字列など、安易に決めてはいけない。
たとえドメイン一つであっても、「.com」にするかや「.jp」にするのかといったトップレベルドメインと呼ばれるコンマ以降の文字列をどうするかや、日本語ドメインにするのか英語ドメインにするのかといったことも、意識して決めていく必要がある。
弊社としてはドメインを決めるときには以下のポイントを推奨している。
- 短くて分かりやすいこと
- 商品やサービスを連想させる言葉
- トップレベルドメインは無難なものを選ぶ
詳細は「独自ドメイン取得時に知っておきたい基本と意識するポイント」で説明しているので、気になる方はこちらをご覧いただきたい。
ショップシステムの選定
独自ドメインといっても、必ずしもショップシステムをイチから構築しなければならない、というわけではない。カラーミーショップやショップサーブなどの大手ASPを利用したり、無料開業サービスのBASEを利用したとしても、独自ドメインを設定して開業することが可能だ。
もちろん一からECサイトを構築することは、確実にショップオーナーのやりたいことや実現したい機能を盛り込むことができる。しかしそれなりに費用が発生する。そのため多くの場合はASPを利用するのだが、現在のASPはサービスや機能も充実しているため、ある程度のことは一通りできてしまう。
大手ASPであればどのショップシステムを選択するかはそれほど重要ではない。ネットショップの開業サービスについては「ネットショップ開業サービスを徹底比較!無料系からモール系まで」を参考にしてほしい。
集客の壁を超える
独自ドメインのネットショップをオープンさせて、必ず最初にぶち当たる壁が「お客様がこない…」ということ。ショップオーナーにとっては、自店で取り扱っている商材に惚れ込んでネットショップを始めたのだろうから「なぜこんなにも素晴らしいものがあるのに見向きもされないのか」と悩むだろう。
だがどれだけ素敵な商品が用意されていたとしても、オープン当初はそんなものである。開業前の意気込みとしては「オープン初月からどんどん売上げを上げていくぞ」ではなく「最初は売れなくて当然」ぐらいの方が、モチベーション低下という問題を回避できるだろう。
ここがモール系との大きな違いで、モール系はモールの集客力を活かして、開業後すぐにお客様を獲得できる。楽天市場を例にするなら、楽天市場を利用しているユーザーは、GoogleやYahoo!でお目当ての商品を探すよりも、楽天内の検索窓から商品を探すことが多い。こうした流れがあるから苦労することなく集客が行える。
だが独自ドメインは違う、そのショップへたどり着くまでのルートが確立されていない。さらにそのお店が存在していることすら誰も知らないのだから、お客様がやって来るはずもない。
集客のためにマンパワーを使う
独自ドメインでのネットショップは、開業後はすぐに「ここにショップがオープンしましたよ!」ということを広くアピールしなければならない。そして集客のための手法は以下に挙げるようにいくつかある。
※こちらの「ネットショップの集客に効果的な方法【有料・無料別に紹介】」も併せてご覧いただきたい。
友人、知人に連絡する
まずは自分の身の回りの人にネットショップをオープンしたことをお知らせしよう。家族や友人、前の職場の同僚まで、一通りつながりがある人には積極的にアピールしていくとよい。開店祝いと称して、何かしらの商品を買ってもらえるはずだ。
それは祝い金に似たようなもので、ショップオーナーとしては不本意かもしれないが、満足に売上げの上がらない開業当初には、貴重な売り上げになることは間違いない。
広告を利用する
すぐにでもユーザーを集めたいのなら、広告を利用するのが一般的。インターネット上にはバナー広告やネイティブアドなど、さまざまなタイプの広告があるが、その中でも最もよく利用されているのは、クリック課金型のリスティング広告。
※リスティング広告の運用は「リスティング広告の基本と効果的な運用方法について」を参考にしてほしい。
プレスリリースを配信
一般ユーザー向けではないが、報道機関向けにプレスリリースを配信するのもよいだろう。もしかすると報道関係者の目にとまり、なにかしらのメディア媒体に取り上げられる可能性もある。
掲載される媒体の質にもよるが、認知度を一気に高めることに成功する。それがもしテレビなら、爆発的に売上げが上がることが想定できる。
メディア運用をする
今やネットショップの集客において、メディア運用はトレンドから必須の手法となりつつある。FacebookやTwitterなどのSNSツールから、オウンドメディアの運用まで、いかに見込み客となりえる質の高いユーザーを取り込んでいけるかが重要だ。
メディア運用についは「ECサイト(ネットショップ)がメディア化を進める6つの理由」を参考にしてほしい。
集客さえ成功すれば独自ドメインはほぼ成功
集客さえ成功させることができれば、独自ドメインでの出店もほぼ成功といえる。あとは独自ドメインだから必要な施策ということではなく、ネットショップに共通して言える施策が必要になってくる。当記事でも簡単だがご紹介していく。
売れる商品を仕入れていく
売れるネットショップにしていくためには、商品が持つポテンシャルも大事だ。店主がいくら魅力的だと思っていても、大衆に受け入れられなければ売れない。とは言っても、一時的に需要が高くなるものや、恒久的に一定の需要が継続するものなど、ポテンシャルの高い商品の定義もさまざま。
例えば一発屋芸人のパロディアイテムなら、一時的にはバカ売れするかもしれないが、長くは続かない。もちろんトレンドを意識した品揃えも必要だが、それだけではブームが去ってしまった後は売れないショップになってしまう。商品を仕入れる際には、現状のトレンドを押さえつつも、自店舗のユーザーにマッチするアイテムを見極めていくようにしてほしい。
売れる商品仕入れのポイントについては「売れる商品の仕入れが繁盛店の鍵!仕入れ時の目利きポイント」を参考にどうぞ。
徹底的に数字を意識する
繁盛店に仕上げていくなら「集客」「平均客単価」「コンバージョン率」の3つの数字は絶対に無視できないと言うか、この3つを高めていくことで売れるショップへと成長させていく。それに加え経営を安定させていきたいなら、得意客となってくれるリピーターの存在も欠かすことができない。
eコマースが誕生して20年程が経過した現在、世の中には売れるショップと売れないショップがごまんとある。それらのショップを分析してくことで、やってはいけない施策や、売上げを伸ばすのに効果的な施策というものが見えてくる。
弊社としても独自の観点から以下の記事でご紹介するようなノウハウを抱えているので、少しでも売上げを上げていきたいという方は、是非参考にしてほしい。
データ分析を怠らない
顧客満足度は肌感覚だけではなく、しっかりとデータ分析をして確認していく。そうすることで自店の弱みとなる部分が見つかり、それをカバーする対策を考えることができる。
例えば初めて利用するユーザーに読んでほしいページの閲覧率が低かったとしたら、そのページへ流入させるボタンやリンクなどを目立たせて導線を確保しなければならないし、決済方法を選択するページでの離脱率が高いと分かれば、利用できる決済方法が足りないのかもしれない。
また緻密にデータ分析を行うことは、打った施策の効果検証にも利用できる。データを分析し、改善策を考え、実施する。これは繁盛店に育てていくための基本だ。
データ分析については「GoogleアナリティクスでECサイトをデータ分析する基本の4点」も参考にしてほしい。
おわりに 独自ドメイン成功の鍵は集客
独自ドメインでネットショップを開業することにおいて、繁盛店とするための鍵となるのは、集客を成功できるかどうかにかかっていると言っても過言ではない。
すでにEC業界は競合他社がひしめき合っている状態であり、その中で後発のネットショップは、いかに質の高いユーザーを集めることができるか、どうしたら他店舗が抱えている固定客を奪うことができるのかを考えていく。開業してすぐは、まずは集客力を上げることだけを意識した店舗運営を行っていこう。
【著者からの一言】
鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-
当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!
ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!