開業後すぐに売上を出したいなら楽天市場を選べ(初心者にもおすすめ)

ネットショップをオープンしたからには、すぐにでも売上げを出して事業を軌道に乗せていきたい。これはどの企業でもどの担当者でも考えることではあるが、現実はそんなにも甘くない。多くのEC事業者がぶつかる壁といえば「こんなにも素敵な商品を取り扱っているのに、なぜお客さんが集まってくれないのか?」ということ。

ネット通販を開業した後、最初にぶち当たるのは集客の壁。むしろはなから「開業当初は全然売上げも上がらない」というマインドでいたほうが、精神的ショックも少なくて済むかもしれない。

しかし資金繰りの面もあり、開業当初からバンバン売上げを上げていかないと困ってしまうという人も中にはいるだろう。そうした方は楽天市場でショップオープンさせることをおすすめする。

 

楽天市場は集客力がとびぬけて高い

ネットショップの売上げは「集客数 × 平均客単価 × CV率」の公式で求められるわけだが、いくら客単価やCV率が高かったとしても、集客数がゼロなら売上げもゼロである。

ネットショップの開業時に、なぜ満足に売上げが上がらないのかというと、それは集客力が弱いからだ。ネットショップは実店舗とは違い、立地という概念がないため、ショップをオープンさせても、宣伝しなければ誰も気づいてくれない。だから集客が難しい。

しかし楽天市場に出店すれば、集客力の足りなさに頭を抱えることも少ない。これは実店舗に例えても明白だが、ひと気の少ない田舎にお店をオープンするよりも、都内のショッピングモールのテナントとしてショップをオープンするほうが、より多くのお客様に商品を見てもらえる。

楽天市場に出店するということは、都内の大手ショッピングモールに出店することと同じ意味。そこには既に大勢のお客様がいるため、わざわざ集客に力をかけなくてても、自然とお客様が寄ってくる。

 

楽手市場の規模はEC市場の5分の1を担う

どれほど楽天市場がすごいのかという話だが、経済産業省の報告によると、2015年のB to C向けEC市場の規模は13兆7,746億円。物販だけに限って言えば7兆2,398億円だ。そして2015年の楽天の国内EC流通総額は2兆6,748億円。

もちろん楽天市場内にはB to B向けショップもあるだろうが、数字だけを見ると国内のB to C向けEC市場の、およそ5分の1を楽天が担っていることになる。それに楽天市場の店舗出店数は4万4千店舗ほど。流通総額から店舗数を割ると、1店舗あたりは6,000万円ほどになる。

独自ドメインの店舗で年間6,000万円の売上げを上げようと思えば、とても1年で達成できる数字ではない。しかし楽天市場に出店することで、モール自体の集客力を活かした展開をすれば、オープンした月からどんどん売上げを上げることが可能なのである。

 

楽天市場は女性ユーザーとの相性がよい

男女関係なくネットショッピングを楽しむ時代であるが、性別によってモールの好き嫌いが分かれる。一般的には男性はamazonを好み、女性は楽天市場を好んで利用すると言われている。

女性が楽天市場を好んで利用するのは、楽天ポイントの存在と、楽天スーパーセールや楽天お買い物マラソンなどのセールイベントが大きい。目的のものだけを購入できれば満足する男性とは違い、女性はお買い物自体を楽しむ傾向があり、ポイントやイベントという要素は、より一層お買い物を楽しくさせてくれるスパイス的存在となる。

だからアパレル、美容用品、雑貨などの女性がインターネットで購入することの多い商材を取り扱っているネットショップは、楽天市場と相性がよい。逆にビジネス書籍やPC関係の部品など、男性が購入することが多い商材は、amazonなどのモールに出店するほうが売れる可能性もある。

 

努力が必要ないわけではない

ここで勘違いしてほしくないことは、いくら抜群の集客力を誇る楽天でも、ただ出店しただけでは売れないということ。正確に言えば、少なからず売上げは上がるだろうが、運営を継続していけるほどの売上げを上げるのは難しい。

楽天市場の店舗出店数は先程も説明した通り約4万4千店舗。Yahoo!ショッピングの30万店舗超と比較すれば圧倒的に少ないものの、4万店舗もあれば必ず競合店舗は存在する。つまり楽天市場の中でも楽天ユーザーの奪い合いが存在するのである。お客様を多店舗に取られてしまえば売上げは上がらないし、競合よりも優れたサービスや商品展開ができれば、売上げを伸ばすことができる。

いくら楽天市場に出店すると言っても、努力なくして繁盛店には育たない。楽天市場が最も売りやすいモールであることは確かだが、顧客満足度を高めるサービスを追及して、より良いショップづくりをしていく姿勢が大事。

 

楽天出店のデメリットも理解しておこう

お客様を集める労力を最小限に抑えることができる楽天市場への店舗出店だが、必ずしも良いことばかりではない。本気で出店を考える前に、デメリットがあることも理解しておこう。

 

価格競争に巻き込まれやすい

楽天市場のデメリットと言えば、デザインの自由度が低いということである。

楽天市場のショップシステムはRMS(楽天マーチャントサーバー)と呼ばれるシステムを利用して作っていく。テンプレートのようなものがあり、そこに自店舗に必要な情報を当てはめていくことで、一つのネットショップを作り上げていくようなイメージ。よく楽天っぽいショップと言われることが多いが、それも全てはどのショップもRMSというシステムを利用して構築しているからである。

近年では楽天GOLDという機能が無償化され、トップページは自由に作りこむことができるようになったが、それでも専門的なプログラム知識がないと難しい。(多くは専門の制作会社に委託している)

いずれにしろデザイン面が似通ったサイトばかりになると、ショップとしての個性が表現しにくくなる。そうするとお客様から選ばれるためには、どうしても価格重視になってしまいがちである。

さらに楽天市場内の検索機能により、クリック一つでお目当ての商品を取り扱っている店舗の一覧を確認することができ、それぞれの店舗の販売価格も調べることができる。同じ商品であれば、できるだけ安い価格で買いたいと思うのが自然な消費者心理であるため、価格が安い方が売りやすくなる。

だがこれは当サイトでも何回も言っているが、大企業と比較して資本力の劣る中小規模のEC事業者は、価格競争に足を踏み入れてはいけない。もし同じ土俵で低価格競争をしてしまえば、企業が疲弊するだけで、その後につながらない。

もし自店よりも安売りしている店があったとしても、自店で購入してくれるお客様はゼロではない。中小規模のEC事業者なら、数少ない購入者をリピーターに育て、質の高いユーザーを囲い込むような施策に力を入れていこう。

 

出店費用はモール内で最も高額

楽天市場のもう一つのデメリットを説明しておくと、それは出店費用が高いことである。

まず出店するにあたって、初期費用は60,000円必要になる。これは絶対だ。そして出店プランは4つ用意されており、月額費用が最も安いもので19,500円。最も高いプランは100,000円の月額利用料が発生する。さらに売上げに応じて2~7%程度のシステム利用料が発生し、お客様の楽天ポイントなども店舗負担となる。

他のモールと比較して、ずば抜けて高いシステム利用料が発生するのである。だから売上げが出たとしても、システム利用料を差し引いたら赤字になってしまうことも珍しいことではない。

楽天市場への出店プランについては、こちらの「出店プランと費用」に記載があるので、確認してほしい。

 

おわりに 初心者にも楽天市場はおすすめ

ショップオーナーの頭を悩ませる集客の問題を楽々と乗り越えられる楽天市場への出店は、ネット通販のことをよく知らない初心者の方にもおすすめの出店形態。それなりにショップを形にさえすれば、それなりに売れていく。開店から数時間でお客様が現れるということもよくある話。

ただし楽天市場に出店したからといって、店舗を成長させる努力を怠ってはいけない。同モール内の競合店舗に負けないように、顧客満足度を高めるための施策をどんどん打っていくようにしてほしい。


【著者からの一言】

profile

鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-

当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!

ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!