アーティストは自身のブランディングにメディア型ECを始めよう

写真家、画家、彫刻家、書家、工芸家などのアーティストと呼ばれる人たちの仕事は創作活動。たぐいまれな才能を発揮して、時には人の人生観さえも変えてしまうような、価値ある創作物を世に生み出す。

創作活動自体がアーティストの本質ではあるものの、仕事としてやっていくには、どうしても収入が必要になる。そして収入を得るには、自身の創作物に対して、他者から価値を認めてもらわなければならない。今回はアーティストが自身の名を売るために、メディア型ECをブランディングツールとして利用することのメリットについて、ご説明していく。

 

アーティストで難しいのは名を売ること

世の中に芸術家・アーティストを目指す人は大勢いるが、残念ながらその多くは夢半ばに創作活動から遠ざかり、その他の仕事に就いている。それはなぜか? だが、創作活動だけでは満足な収入が得られないからだ。

ではなぜ満足な収入が得られないのかというと、アーティストが生み出した作品を、欲しいと思う人が少ないため。要は作品に対して価値が生まれないのだ。価値というのは、世の中の需要と供給のバランスで決まるもの。極端な話だが、道端の石ころを欲しいと思う人が大勢現れれば、その価値は高くなり、価格が付いて売買の対象となる。だがそうならないのは誰もお金を出してまで欲しいと思わないからだ。

つまりアーティストが収入を増やしていくためには、自身の創作物、または自分自身の価値を高めていかなければならない。もしテレビなどで紹介されれば、一気に人気に火が付くだろうが、無名のアーティストが取り上げられることなんてそうそうない。

もちろん自身の価値を高めるために展覧会や品評会などに参加するなどの活動をしているだろうが、もっと積極的に自身のブランディングをしていってほしい。そしてそのためには自分を発信するためのメディアを持つことが、有効なのである。

 

ブランディングのためのメディアとは

メディアと言うとおおげさに聞こえるかもしれないが、まずは自身の活動や経歴、作品コンセプトなどを紹介するウェブサイトを持つことが大事である。そしてブランディングを推進していくには、ウェブサイトを作って終わりではなくて、ブログなどの機能を加えることで更新型ウェブサイトにしていこう。

更新型ウェブサイトを通して、常々感じていることや、創作活動の根源となるもの、日々作り上げる創作物の紹介などをしていく。もし写真家なら、撮影場所に行くまでの道のりや、撮影している時の状況など、作品からは伝わってこない裏話的な情報を載せておくことで、ファンが見て楽しめるメディアとなる。

このようにどんどん自身の活動にまつわることを発信していくことが、アーティストとしてのブランディングとなり、自身の名を売っていくことにつながる。

 

地道な作業だが継続が大事

自身のメディアをもって、運用を続けていくことは地道な作業だ。「創作活動以外のことには時間を費やしたくない」と思うかもしれないが、創作活動を仕事として捉えるなら、マーケティング活動も仕事の内だと思ってほしい。

そしてメディア運用を始めても、最初のうちは投稿している内容に対して、アクションが返ってくることは少ない。こうした期間は少なくとも1年程は続くだろう。しかしここで諦めてしまってはいけない。創作活動もそうだが、地道に続けていくことこそが、なによりの近道になる。

次第にファンが付いてくると、投稿した記事に対してアクションが返ってきたり、それに返信したりと、コミュニケーションが生まれるようになる。自身のメディアが一方的な情報発信ツールではなく、コミュニケーションツールとしての役割を担うようにもなるのだ。

 

インターネットの力は強力

インターネット無くして、今の社会は成立しないほど、インターネットは私たちの生活に浸透している。だからこそ自身のブランディングツールとしても、インターネットの利用は欠かせない。今やどこかのお店に行くにも、事前にインターネットでどんな店なのかを調べてから行くのは当たり前だし、ウェブサイトのない商店に行くのはどこか気が引ける。

年々スマートフォンの普及率は高くなってきているため、ますますインターネットの重要度は高くなってきている。

 

SNSで口コミも広がりやすい

もう一つ自身のメディアサイトを持つことで得られる効果は、強力な口コミ効果だ。それはSNSツールによってもたらされる。

芸術家やアーティストにとって、知名度を高めていくには口コミも重要だ。しかし従来の口語伝達よりも、SNSツールを利用すれば、爆発的に口コミ効果を得ることが可能になる。

情熱をかけて創作活動をしていれば、想いのこもった作品が生まれるはずだ。そしてその想いが伝われば、多くの人がシェアしてくれるはず。そうした拡散行為が広まれば、より多くの人に作品を知ってもらえるきっかけが生まれる。

ウェブサイトとSNSツールを上手に組み合わせながら運用していくようにしよう。SNSツールの運用については下記の記事を参考にしてほしい。

 

お買い物機能を追加してメディア型ECとする

メディア運用によってブランディングをうまいこと成功させれば、認知度も上がり、ファンも増え、アーティストとしての価値も高くなってくる。そうすると作品を欲しいと思う人が増えてくるのも自然な流れ。自身のメディアにお買い物機能を追加して、メディア型ECとしてはどうだろうか。

 

ECサイトは外部サービスを利用して上手に組み合わせる

メディアサイトにお買い物機能を持たせるには、カートシステムや決済機能を導入する必要があるわけだが、これを同じメディアサイト内で作りこもうとすると、数百万単位の費用が発生する。金銭的に余裕のあるアーティストならば問題ないだろうが、多くはそんなにも高額な予算を捻出するのは難しい。

だから弊社ではECサイトは外部サービスを利用して構築し、それを上手に組み合わせることを推奨している。こうすれば高くても数万円程度の費用でメディア型ECサイトが完成する。

 

BASEを利用するなら

どのようなイメージなのか、いまいち掴みずらいという方のために、ここで一例を挙げてご説明する。

ネットショップを開設するにはいくつかの方法があるのだが、その中でも一番低予算で開設するには、無料開業が可能なBASEと呼ばれるサービスを利用する。BASEについては使い方も簡単で、無料とは思えないほど機能が充実しているので、弊社としても補助的にEC機能を持たす役割として使用するのに、強くおすすめしている。

BASEにて自身の作品をアップロードして、ひとまず作品を購入できる環境を構築する。この作業は1日もあれば完了してしまうだろう。

そしてメディア型サイトの作品紹介ページから、BASE側の商品ページにリンクを張り付ける。これでメディアサイト側でその作品を購入したいと思った人は、ショップ側に難なく遷移してお買い物することが可能になる。

具体的な手順については、こちらの「BASEと独自メディアを連携して集客の仕組みをつくる手順」の記事にて説明しているので、参考にしてほしい。

 

おわりに ブランディングから販売もインターネットで解決

インターネット環境さえあれば、芸術家・アーティストとしてのブランディングから、自身の作品を販売することまで、ネット上のサービスを利用することで解決してしまう。

アーティストは名前が売れるまでの期間は下積み時代とも呼ばれ、生活も苦しい日が続くだろうが、少しでも早く苦しい時代を抜け出すために、インターネットを利用して自身のブランディングをすすめていこう。アーティストと言えども、マーケティングしていくことを忘れずに。


【著者からの一言】

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鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-

当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!

ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!