オウンドメディアをチームで運用する際に注意する3つのこと

これからのEC業界のトレンドとなっていくであろうECサイトのメディア化。自社で運営するメディアはオウンドメディアとも呼ばれ、メディア上ではユーザーを満足させるためのコンテンツを用意しておくことが求められる。

このメディア運用を一人で行っていくのはなかなか大変である。そこでより早くコンテンツを充実させていきたいと考えるなら、社内でメンバーを選別してチームをつくる、もしくは外部業者を利用したり外部ライターを起用するなどして、質の高いコンテンツを数多く用意していく体制を整えなければならない。

そしてチームを組んでオウンドメディアを運用していく際には、いくつかの注意すべきポイントが存在するので、今回はそれについてご説明していく。

 

コンテンツの内容が重複しないようにする

複数名でコンテンツを制作していると、記事の内容が被ってしまうことがある。何でも自由に書いていい個人ブログとは違い、オウンドメディアは会社の売上げにつなげるための商用ブログ。ワインを販売しているECサイトならワインにまつわる豆知識のように、一定のテーマを決めてコンテンツを用意しているだろうから、執筆メンバーから上がってきた記事を確認したら、全く同じことが書いてあるということも珍しくない。

 

検索エンジンはコンテンツの重複を嫌う

検索エンジンはコンテンツの重複を嫌う。特にNGなのは他サイトのコンテンツをまるごとパクッてしまうこと。検索エンジンからはコピーコンテンツとみなされ、その記事が検索順位の圏外に飛ばされてしまうどころか、ドメイン自体の評価も落としてしまうことになる。それに他サイトのコンテンツをコピーする行為は著作権の侵害に当たり、オウンドメディア運営においてはご法度の禁じ手だ。

上記のことには理解あるメンバーが集まっているかもしれないが、実は同じサイト内でも、同じような内容の記事があると、サイト自体の評価を落としてしまうことになりかねない。

例えば先のワインを販売しているネットショップのメディアにて、ワインの歴史を説明するコンテンツを別々の人間が書いたとする。もちろん書いている人が違えば、説明口調も異なるし、それぞれの記事において内容の過不足があるはずだ。しかしそれでもその記事の本質としては、”ワインの歴史を説明すること”に変わりはない。

このような場合が発生したときは、二つの記事を統合して、内容の濃い一本の記事にしてしまった方がよい。もしくは初心者向けと上級者向けのように、切り口を変えることが有効だ。

 

プランニングを徹底する

コンテンツの重複を回避する策はあるものの、やはり記事が出来上がってしまってから対策を考えていると、時間も費用も無駄にしてしまう。そのためオウンドメディア立ち上げ時に、どのようなコンテンツを誰が担当するのかを決めておくことが必要だ。もう一度ワインの例を出すなら、Aさんはワインの豆知識についての記事を書く、Bさんはワインと一緒に食べたいおつまみについて書く、などの切り分けをしておく。

そうしたプランニングさえしっかりしておくと、記事被りや、ブログのネタを探すのにも迷いがなくなり、スムーズに事が運ぶようになる。そしてこのプランニングは具体的であれば具体的なほどよい。できればコンテンツとして用意する記事の内容・タイトルも最初に決めておくのが理想である。

 

マネージメントする立場の人間を用意する

チームでメディア運用をしていくなら、編集長やマネージャーなどの、プロジェクトの進行管理・マネージメントしていく人間の存在は欠かせない。その肩書はどうでもよいのだが、そうした立場の人間を用意することで、以下のような事象でプラスに働く。

 

定期的にコンテンツ配信する

オウンドメディアをいざ始めても、その他の通常業務の多忙さから、記事執筆がおろそかになってしまうことがある。立ち上げ当初は日々新しいコンテンツを配信し、新鮮さを保っていたオウンドメディアも、そのうち1週間に1記事、1ヵ月に1記事となり、いずれは更新すらストップしてしまうのはよくある話。

本気でメディア運用を継続していくなら、コンテンツ作成もその他の仕事と同じような優先順位、もしくはそれ以上の優先順位でやらなければならないが、どうしてもその先にクライアントの存在がないと、後回しにしてしまうもの。

そんなときに編集者がしっかりと締め切り期限について周知させ、記事執筆が遅れがちなメンバーに目を光らせ、サポートする体制をマネージメントしていくことで、一定の間隔で記事を配信することが可能になる。

 

品質を一定に保つ

オウンドメディアで求められるのは「ユーザーにとって有益なコンテンツを配信すること」。もしコンテンツの質が低ければ、ユーザーをファン化させることはできないし、アクセスの集まるメディアに成長させることも難しくなる。

しかし複数名で記事執筆していると、品質の悪い記事が上がってくることがある。そうするとサイトの信用自体を落としてしまうことにもなりかねないので、編集長がしっかりと記事の質を確認し、メディアとしての品質を落とさないようにしなくてはならない。

 

コンセプトを徹底する

商用ブログである以上、テーマについては決めているはずだが、ライターごとに異なる口調やトーンといったコンセプトを統一させることで、よりブランディングがしやすくなる。

All Aboutのように、その道のプロが多数在籍し、ライターの個性を出していくのも悪くはないが、中小規模のオウンドメディアなら、全体としての雰囲気作りをしていく方が、ユーザーもその世界に入り込みやすくなる。特に記事執筆を外注している事業者は、サイトコンセプトを順守したライティングを依頼することを心がけたい。

例えば教授が学生に物事を教えるように、少し上から目線の口調にしたり、気弱なキャラクターを演じるのも良い。コンセプトを徹底しておくと、ユーザーの印象にも残りやすく、再びサイトを訪れてくれる可能性も高くなる。

 

おわりに 複数名で運営することの難しさを理解する

ショップオーナーが一人でメディア運用をしていくのと、複数名のチーム体制でメディア運用をしていくのでは、後者の方がサイトの成長スピードが速まることは間違いないが、複数名で運用することならではの難しさも発生する。

もしこれからオウンドメディアを複数メンバーで立ち上げていこうと考えている方は、コンテンツ内容のプランニング・マネジメントできる立場の人間の用意・コンセプトの徹底という3点を忘れずに、良質のメディアサイトを作っていってほしい。


【著者からの一言】

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鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-

当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!

ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!