ネット通販に不安や抵抗のあるお客様を安心させる4つの方法

ネットで物を買うことが当たり前になってきたが、中にはネット通販にまだまだ不安や抵抗を覚えているユーザーがいることも事実。

こうした傾向は年配層に強く見られ、若年層には理解できないかもしれないが、それも仕方のないこと。電子商取引という概念が生まれてまだ20年そこそこ。生まれた時からネット通販があった世代とは違い、インターネットという不安定な基盤上で決済まですることは、年配層にとっては今までの商習慣の常識を覆すようなものだから。

年配層向けのEC事業を展開している企業なら、まずはお客様の不安を取り除いてあげることが大事。今回はネット通販に不安や抵抗を覚えるユーザーに、リラックスしてお買い物ができるような環境にするための方法をご説明していこう。

 

スタッフの顔を出す

ネットショップの何が不安かというと、相手の顔が見えないこと。自動販売機は街中にあふれているが、ネットショップはその感覚とは違う。対面販売が基本の人にしてみれば、顔も分からない相手からモノを買うのは、ちょっと不気味と言うか、何とも言えない気持ち悪さを覚えてしまう。中には「もしかしたら騙されているのでは…」と思う人もいるだろう。

ネットショップであっても画面の向こう側には店長やショップスタッフが必ずいる。少しでもお客様を安心させたいなら、スタッフの顔を見せてあげるとよい。また人の顔が出ていると賑わい感も生まれて、より一層購入につながりやすくなる。

 

商品ページにスタッフの写真を掲載

「画面の向こう側では、こんな人が働いています」ということをお知らせするために、スタッフ紹介ページを設けるのもよい施策だが、中にはそのページに気付かないユーザーもいる。だから確実に商品購入前にお客様が目にする、商品ページにスタッフの写真を掲載するとよい。

見せ方としては「店長からのおすすめの一言」のように、顔写真とスタッフによる生の声を併せて見せるなど、不自然ではない見せ方を心がけてほしい。

 

できれば笑顔の写真を

スタッフの写真を掲載するなら、むすっとした表情よりも笑顔の写真にするとよい。笑顔は人の心を和ませる力がある。ネットショップの利用に懐疑的なお客様の心を、満面の笑顔でほぐしてあげよう。

 

連絡先は目立つところに表記

万が一トラブルが発生したときに、どこに連絡をしてよいのかも分からないサイトは信頼できない。

ネットショップ運営者の連絡先は、特定商取引法に基づく表記ページに記載しなければならないことは法律で決まっている。しかしお客様の立場で言うなら、そんなことは知ったことではない。そのルールを知らなければ連絡先を確認するのも苦労してしまう。

だからサイトのヘッダーなどの目立つ部分に、連絡先を表記しておく。これがあるだけで、いざ問題が発生してもこの連絡先に問い合わせればよいのかと、多少なりとも安心感を与えることができる。

 

メールアドレスではなく電話番号を

連絡先を公開すると言っても、メールアドレスよりも電話番号の方がより安心感を与えられる。誰だって電話番号を公開できないお店でお買い物をするのは不安ではないだろうか。ましてやクレジットカードなんて絶対に利用したくない。

ただし自宅兼事務所でネットショップを開業した方は、プライベートな電話番号を公開したくないという方もいるはず。そうした場合はビジネス用に050から始まるIP電話を取得するか、バーチャルオフィスをレンタルするよいだろう。
※バーチャルオフィスについては「ECサイトで住所公開が嫌ならバーチャルオフィスを利用しよう」を参考にしてほしい。

 

返品対応は手厚く

もしも注文した商品がイメージと違うものだったら…ネット通販をするときには、こんな不安が頭をよぎる。
実店舗でのお買い物では、商品をその目で見て、その手で触ることで、自分が求めているものと合致することを確認できるが、ネット通販はショップ側が用意した商品写真と説明文でしか、その商品の概要を知ることができない。

お客様としては、用意された写真や文章から「きっとこんな感じの商品だろう」と、推測して購入しているに過ぎないのだ。

商品に傷があったなどの店舗側の過失については、EC業者が商品を再発送するなり、返金するなりして保障するべきだが、イメージと違ったから返金してほしいという要求はグレーな部分だ。

本来なら利用規約に「お使いのモニターの色味具合で、実物とは微妙に色が異なる場合があります」などと免責事項を明記しておき、お客様が起因となる返金要求に応じる必要はない。ただしこうしたお客様を突き放すのではなく、最初から「イメージと違った場合は無償返品に応じます」と宣伝しておくことで、お客様も「もし気に入らなければ返品すればいいや」という気持ちから、安心してお買い物ができる。

実際には返品するのも手間であり、ショップの対応が良ければ良いほど、返品を申し出ることにためらいを感じ、返品要求をしてくるのは5%未満だろう。

 

特にファッション関係は返品対応が鍵

返品対応を特に手厚くしたいのは、アパレル関係のネットショップ。身につけるものは色や形だけではなく、サイズの問題がある。色や形なら想像とは違ってもまだ我慢できるが、サイズが違っていては使いようがない。サイズ違いの商品を注文してしまったときに、返品するのに別途費用が掛かるのなら、注文することをためらってしまうだろう。

靴の通販などでは、メーカーによってもサイズ感が違うため、実際に足を通さないとフィットするかどうか分からないことが多い。無償返品の施策をとることで、新規注文が増えることは間違いない。

 

初訪問ユーザーへの接客は手厚く

ショップオーナーは自身のネットショップのことなら隅から隅まで知り尽くしているだろうが、初めてそのショップにアクセスしたユーザーは、右も左も分からない状態だ。実店舗ならすぐに店員に聞けば済む話も、ネットショップの場合はそうはいかない。これもネット通販ならではの不安要素となる。

送料はいくらかかるのか、発送までに何日かかるのか、こうしたことは商品をカートに入れる前に知っておきたい情報だ。そのため初めて利用するユーザーのために、送料やギフト対応などのショップシステムを一覧で確認できるページを設けておくとよいだろう。

とにかく初訪問ユーザーは、ショップに不審な点や分かりずらい点があると、すぐに別のお店へと流れていってしまう。そうした機会損失を防ぐためにも、下記の記事を参考にして、手厚い接客を心がけてほしい。

 

おわりに ユーザーの質を見極めた対策を

今回はネット通販を利用することに不安や抵抗を覚える年配者向けの施策についてご紹介してきたが、若年層のお客様が多いのであれば、必ずしも効果を発揮するものではない。ユーザーの質によって講じる施策は変えていかなければならない。

そのためにもショップのデータ分析は必ず行い、お客様となるユーザー層に響く対策を立てて、ネットショップを繁盛店に育てていこう。


【著者からの一言】

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鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-

当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!

ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!