コンテンツマーケティングを内製化している企業は、コンテンツとなる記事制作をアウトソーシングするのではなく、自社の社員やスタッフによってコツコツと掲載記事を用意していることだろう。
ただし「失敗する原因から考えるメディア運営を継続していくコツ」でも説明しているのだが、オウンドメディアを続けていくことの難しさの一つに、社員のモチベーションが低下して、成果を出す前に運用がストップしてしまうことがある。資金的な問題でプロジェクトが頓挫するのならまだ納得がいくが、気持ち的な面で運用を中止するのはあまりにももったいない。
ということで、メディア運用スタッフのモチベーションを高く保つのに必要なことを、ご紹介していく。
2カ月~3ヵ月ごろからモチベーションは低下する
モチベーションを高く保つコツの前に、モチベーションが低下し始める時期から説明していく。
オウンドメディアを立ち上げて最初の1ヵ月は、皆やる気に満ちている。特にプロジェクトの立ち上げメンバーはしっかりとオウンドメディアの力を理解しているだろうから「これから業界No.1となるメディアに成長させよう」と意気込んでいるかもしれない。
ただし2ヵ月目、3ヵ月目となると、徐々にモチベーションが下がってくる。それは初めに大きな目標を掲げ、強い意気込みで挑んだ者ほど、やる気意識の低下は激しいかもしれない。ではなぜモチベーションは低下するのだろうか…
思った以上に成果が出ないから
メディア運用に対する意識が低下する原因としては「思った以上に成果が出ないから」という理由が大多数を占める。「メディア運用の開始3ヵ月はPVも検索順位も上がらないのが普通」でもご説明しているように、オウンドメディアが成果に結びつくまでには時間がかかるのだ。
自社メディアを立ち上げる際には、このことを担当スタッフ一同が肝に銘じておくことで、いたずらにモチベーションが低下することを少しでも防止できる。メディア運用を命じる方も、3ヵ月も経たないうちから成果について報告を求めるのもよくない。
モチベーションを高くする方法
PVを意識する
ECサイトのメディア運用なら、成果としてショップへの送客や購買に結びついていないとしても、少ないながらもPV(ページビュー)は生まれているはずだ。ユーザー数やページ数の確認は、メディアの成長度合いを確認する上でも、担当者は把握しておくことが必要。そうしたデータの分析には、Googleアナリティクスなどのアクセス解析ツールを導入しよう。
※アクセス解析については「GoogleアナリティクスでECサイトをデータ分析する基本の4点」を参考にしてほしい。
そしてPV数は運営歴に比例して伸びていく。それは徐々にGoogleからの評価も高くなり、記事数も増えていくからだ。ただし「メディア運用はPV至上主義ではなく成果を意識しよう」でも説明しているように、メディア運用の目的はPVを稼ぐことではないのだが、モチベーションの低下しやすい運用当初は、PV数を一つの指標とするのもよいだろう。
検索順位を意識する
PV数と同じように、検索順位も徐々に上がっていく。コンテンツを作るときには、きっと特定のキーワードでの上位表示を狙って記事制作しているだろうから、そのキーワードで現在何番目に表示されているのかを知ることで、検索エンジンの評価を知ることができ、やる気を向上させることにもつながる。
検索順位の調査については、実際に検索をかけて順位を追っていくのもよいが、少々手間がかかりすぎてしまう。世の中には便利なツールがあるので以下に挙げる方法を利用してみよう。
Google Search Console(旧ウェブマスターツール)
ウェブサイトの管理者なら、多くの人が利用しているであろうGoogle Search Console。こちらのツールはGoogleが無償で利用できるサービスとして展開しており、検索ロボットのクロール情報やサイトマップの送信などが行える。昔はウェブマスターツールという名前のサービスだった。
検索順位に関しては画面左にあるグローバルメニューから[検索トラフィック]-[検索アナリティクス]の順にクリックしていく。
※下図参照
画面を下にスクロールるすると、下図のようにキーワードごとの検索順位を確認することができる。
キーワードごとの掲載順位だけでなく、表示回数やクリック数、CTR(表示に対してクリックされた率)の確認も可能。毎日チェックしていれば、徐々にこれらの数値が改善してくことが分かるだろう。
またGoogleアナリティクスと連携させることで、アナリティクス上でも同様の内容を確認することができるようになる。
検索順位チェックツールGRC
検索順位を機械的に調査できる「検索順位チェックツールGRC」というソフトが存在する。リアルタイムの検索順位を把握することが可能で、順位データを保存できるため、日々チェックをかけることで、検索順位の推移を把握することが容易となる。Yahoo!、Googleという2大検索エンジンに加え、Bingの検索結果まで取得可能。
ダウンロードして自身のPCにインストールする必要があるが、20キーワードまでの設定なら無料で利用できるので嬉しい。
ダウンロード方法や操作説明については、こちらのSEOツールラボのページを参照してほしい。ちなみにGRCとは「Google Rank Checker」の略だそうだ。
検索順位確認のウェブサービス
その他の方法としては、ウェブ上で検索順位を調査するサービスがあるのでご紹介していく。もちろん無料で利用できるものなので安心してほしい。
まずはこちらの超高機能次世代無料SEOtoolsのページを開いてほしい。
URLを入力する欄があるので、そこに調査対象のウェブサイトのURLをコピペして、すぐ下の「キーワード毎に改行を入力して貼り付けてください」のボックスに、チェックしたいキーワードを入力していく。あとは「CHECK」のボタンを押すだけで、対象キーワードの検索順位を教えてくれる。
複数キーワードでの一括調査も可能だ。毎日調査をするなら、特定のキーワードをメモ帳に貼り付けておいて、コピペで対応すると効率がよくなる。
人の役に立っていることを理解する
検索順位も上がらずに、PVも伸びていないかもしれないが、それでも世界中の誰かには、確実に読まれていることは間違いない。
そして配信しているコンテンツは、ユーザーにとって価値のある内容になっているはずなので、少なからず誰かの役になっているはずだ。一生懸命制作した一つ一つの記事が、誰かの困りごとを解決したり、ユーザーの業務を改善するのにつながったかもしれない。
こう考えると、メディア運用を続けていることは全く無駄なことではなく、価値のあるものであることを理解できるはずだ。特にモチベーションが低下しているときには、担当者は「いったい何のための、誰のための仕事なのか」と自問自答することが多いので、全てのことにしっかりと意味があり価値があることだと気づくことは、気持ちの面で大きな違いがある。
おわりに チームの士気を高めよう
複数名のスタッフでメディア運用しているなら、プロジェクトリーダーとなった者は、今回ご紹介したような観点でチームの士気を高めていこう。
モチベーションが低下してしまうと、コンテンツの質も確実に悪くなり、ユーザーを満足させられない低品質の記事が並ぶことになる。するとせっかくファンになってくれたユーザーも離れていき、どんどん衰退していく。このような悪循環にはまってしまっては救いようがない。
本気でオウンドメディアを成功に導きたいなら、できるだけモチベーションを高く保ち、楽しみながらメディア運用を続けていく努力をしていこう。また1日でも早くメディアを成長させたいなら「オウンドメディアの成長スピードを速めるならSNSを起爆剤に」の記事も参考にしてほしい。
【著者からの一言】
鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-
当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!
ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!