コンテンツマーケティングの波に乗ろうと、集客のためにECサイトをメディア化したり、企業のブランディングとしてオウンドメディアを始める企業が増えているが、一番つらいのはメディア運用を開始して3ヵ月程度の期間。
記事を作れども作れども、一向にPVもあがらず、狙ったキーワードでの上位表示もされずに「このままで大丈夫なのか…?」と不安になってしまうこともあるだろが、安心していただきたい。開始当初はそんなものである。
メディア運用で成果を出すには時間がかかるのだ。立ち上げから数か月はこれといった成果を確認することもできずに、運用を任された担当者としては「何のための仕事だろう…」とモチベーションが低下することはよくあるが、最初はこんなものという気持ちで辛い時期を乗り切ってほしい。
新規サイトはPVが上がらないのは当たり前
新規サイトというよりは、厳密には新規ドメインの話になるが、新しくドメインを取得してサイトを構築しても、すぐには検索エンジンに評価されない仕組みになっている。Googleとしても新しく生まれたサイトの評価が定まっていないため、いくら担当者が検索順位を上げたくても押さえつけられている状態になっている。
どんなに質の高い記事を作ったとしても、サイト開設後すぐには上位表示されないことを理解しておこう。
Googleは広告収入が必要
なぜGoogleは上位表示してくれないのか…それはGoogleの収益モデルに関係がある。
Googleの主な収益は広告収入だ。そして広告収入を得るには、多くの人が利用するプラットフォームを持たなければならない。そしてそのプラットフォームが検索エンジンとなっている。
Google検索を多くの人が利用することで、Googleに広告出稿する意味が生まれ、利用者が多ければ多いほど広告の価値が高くなる。
ユーザーを増やすには精度の高い検索結果が大事
Googleは自前の検索エンジンでの検索利用者数を増やしたいわけだが、そのためには精度の高い検索結果を表示させることが求められる。
例えば肉じゃがのレシピを調べたい人がいたとして「肉じゃが レシピ」と検索窓に入力して検索をかけたとする。それにもかかわらず、検索結果にじゃがいもの育て方を説明するページが上位表示されてしまえば、ユーザーの求めてるものとはかけ離れており、精度の高い検索結果とは言えない。
求めているものとは違う答えが返ってきたら、ユーザーは二度とその検索エンジンを利用しないかもしれない。理想の検索結果としては、おいしい肉じゃがの料理レシピが分かるページを上位表示するべきなのだ。
上記の例のように検索の精度が低いと、ユーザーが離れていってしまう。だからGoogleとしても怪しいサイト・評価できないサイトは上位表示したくないのだ。
検索結果が伸びてくるまでの期間
それでは検索結果が伸びてくるにはどれぐらいの期間が必要になるかだが、検索エンジンからの自然検索での流入を狙うのであれば、3ヵ月から半年程度を見ておいたほうがよい。
真面目にメディア運用を続けていれば、新しく取得したドメインでもだいたい3ヵ月程度で、自然検索での流入が増えてくる。それまではコツコツと記事数を増やすことに専念しよう。
定期的に更新作業
アクセスを上げるコツは、定期的に更新作業を続けることだ。検索エンジンは放置されているサイトを嫌うため、新しい記事を投稿したり、過去記事の古くなった情報を見直したりと、定期的にメンテナンスしていくことが大事。
更新作業を怠ることなく運用を続けていけば、アクセスは段階的に伸びていくはず。
ユーザーにとって有益な情報を発信する
メンテナンスをしていくだけでなく、ユーザーにとって有益な情報を発信することも、アクセスを伸ばしていく要素として重要。検索結果の精度は年々上がっており、数あるサイトの中でも本当にユーザーが知りたいことが記載されているページを上位表示する傾向が強くなっている。
もはや小手先のSEOテクニックは通用しない。
しっかりとユーザーを設定をして、その層が「読んでよかった」と思えるコンテンツを用意していこう。良質なコンテンツの作り方については、下記の記事を参考にしてほしい。
PVだけに意識することもよくない
ここまで質の高いコンテンツを発信し続けることで、次第にアクセスが増加するとご説明したが、PV(ページビュー)数だけを意識するのは危険だ。もちろん最初はメディアの成長を計る一つの指針としてPVを意識することは間違っていないが、企業のメディアとして運用する限り、大事なのは成果を出すことである。
それはECサイトのメディアであればショップへの送客や商品購入だし、企業のオウンドメディアなら資料請求や問い合わせ件数などだろう。「メディア運用はPV至上主義ではなく成果を意識しよう」でもご説明しているが、メディア運用の先にあるコンバージョンを忘れてはいけない。
メディア立ち上げ当初はSNSに頼る
メディア立ち上げ当初は自然検索からの流入も期待できないので、SNSを上手に利用することで、より多くのユーザーにリーチすることができる。場合によっては記事が拡散されて爆発的なアクセスを生み出すかもしれない。
基本はFacebookにTwitter。それぞの利用の仕方は下記の記事を参考にしてほしい。
その他にも若者を中心に利用者を伸ばしているインスタグラムや、グーグルが提供するGoogle+などがあるので、「ECサイトの販促には無料で使える6つのSNSをフル活用しよう」の記事も参考にどうぞ。
広告を利用してファンを集める
以前から運用しているSNSアカウントを利用できるならよいが、メディアの立ち上げと同時にSNSアカウントを取得するなら、まずはフォロワーを集めることからスタートしなくてはならない。フォロワーが0人であれば、いくらSNS上に投稿をしても意味がないからだ。
しかしFacebookページに”いいね”を頂くことも簡単ではないし、時間がかかるもの。ウェブサービスを展開する上で、一番最初に苦労するのは認知である。
そんなときはFacebook広告を利用して、ファンを集める手法もある。資金に余裕があるのならぜひ利用してほしい。Facebook広告の出稿は「SNS運用でファンづくりを加速するFacebook広告の出し方」を参考にしてほしい。
おわりに 最初の3ヵ月が肝
運用開始当初は担当者のモチベーションも高いだろうが、1ヵ月もすると結果が見えないメディア運用にだんだんと嫌気がさしてくる。だが何回も言うが、3ヵ月程度はPVも検索順位も上がらないのが普通なのである。
これを理解して運用を始めるだけでも、だいぶ心の持ちようが変わってくるだろう。メディア運用は長い目で育てていくのが基本だが、もしその成長スピードを速めたいのであれば広告を上手に織り交ぜながら運用していこう。
【著者からの一言】
鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-
当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!
ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!