携帯電話にカメラ機能が設置されてから幾久しく、スマートフォン付属のカメラは年々性能も良くなり、デジカメの売れ行きが悪くなるほど高品質になってきた。
しかし弊社としてはいくらスマートフォンの性能が高くなってきたとは言え、まだまだ機能面ではデジカメや一眼レフには劣るため、ネットショップの商品撮影にはスマートフォンカメラは推奨していない。
だがどうしてもスマートフォンで撮影したいという方のために、スマホカメラで美しい商品写真を撮影するためのポイントについてご説明していく。
事前準備
レンズの汚れはしっかりと拭いてから撮影
まずスマートフォンのカメラレンズは汚れていることを理解してほしい。チリやホコリだけでなく、人の手の油が付いていることが多い。そんな状態で商品撮影を行ってしまえば、油汚れのせいでぼんやりと白っぽくなってしまい、せっかくの商品も汚らしい感じに写ってしまう。
これではお客様の購入欲求も半減してしまう。
撮影前には必ずレンズの汚れを磨いておきたい。レンズを傷付けることがないよう、メガネ拭きのような繊維の細いクロスを使って、ササッときれいにしておこう。
細かい傷は歯磨き粉できれいに
拭いて落ちる汚れならよいのだが、日常で使用するスマホだけに、レンズの表面に細かい傷が付いていることもある。こうしたケースは厄介だ。
細かい傷の対策については、一部の報告では歯磨き粉で磨くことで修復できるとも言われている。歯磨き粉の中には研磨剤が含まれているため、レンズの表面に歯磨き粉を付けてこすることで、表面が研磨されて細かい傷が目立たなくなる仕組み。ごしごしこすっては余計に傷がつくので、優しくこするようにしてほしい。
ただしどこのスマホメーカーもこのような対応は推奨していないので、心配であれば正規の窓口で修復してもらおう。
必要機材はそろっているか
スマートフォンだけあれば撮影はできてしまうが、他の機材も活用することで、より魅力的な写真に仕上がる。たとえスマホでの商品撮影であっても、お客様はその写真を見て購入を決めるわけだから、手を抜いてはいけない。
レフ版や三脚など用意しておくべきものは「ネットショップの商品を美しく撮影するために必要な機材」の記事を参考にしてほしい。
スマホなら外付けカメラも要検討
冒頭でも説明したが、スマートフォン標準のレンズは、デジカメと比較するとどうしても性能が劣ってしまう。そこを解消するためには、外付けのカメラ(レンズ)を利用する手がある。
スマホならではの利便性を保ったまま、質の高い画像にするにはぴったりのアイテム。スマホを使っての商品撮影を行いたいなら、是非一度検討してほしい。
撮影のコツ
スマートフォンは固定する
携帯に便利なスマートフォンだが、必ず固定した状態で撮影に挑もう。いくら手ぶれ補正機能が付いているとは言え、やはり固定した方がピントも合わせやすく、きれいに撮影できる。
三脚やホルダーなどは必須アイテムだと思ってもらいたい。
一定位置からの撮影が可能
毎回撮影する位置を変えてしまうと、それぞれの商品写真で商品との距離感がバラバラになってしまうため、お客様も困惑してしまう。三脚を利用することは、商品の撮影位置をピンポイントで決めておくことにも有効だ。
フラッシュは使わない
商品撮影で光量が十分にとれていることは、商品写真が美しくなるかどうかの重要なポイントとなる。
スマートフォンにはフラッシュ機能が付いているため、少々暗めの場所でもフラッシュをたけば解決すると考えるかもしれないが、フラッシュの光は不自然な感じを与えてしまうのでおすすめはしない。
太陽の光を利用したり照明器具を利用することで、より魅力的な写真に仕上がる。
ズームはしない
とても便利なズーム機能。ちょっと離れた場所にある対象も、ズーム機能を使えば目の前にいるように撮影できる。商品撮影の場合なら柄や仕様などの細かいディテールをお伝えするときにズームして撮影する人がいるが、ちょっと待ってほしい…ズームではなくカメラを近づけて撮影すれば済む話ではないだろうか。
ズームの仕組みは内部でトリミングして引き延ばしているだけなので、ズームすればするほど画質は悪くなる。面倒くさがらずに、しっかりとカメラのポイントをずらしながら撮影してほしい。
魅力的に見える構図を意識する
これは初心者に多く見られる傾向だが、全ての商品をカットの中央に据えて撮影するだけでは面白みのないショップになってしまう。商品の魅力を最大限発揮できる構図を意識して撮影してほしい。
商品撮影の構図については「ネットショップの商品写真を魅力的に見せるアングルや構図」を参考にしてもらうと、見た目にも美しい写真になることだろう。
もしお手持ちのスマホカメラにグリッドを表示する機能が付いているなら、構図を考えやすくなるので是非使ってほしい。
撮影後の処理
大画面で確認
スマホでの撮影が終わったら、PCに画像を移して一枚一枚写真をチェックしていこう。スマホの小さい画面では気づかなかったが、PCの大きいモニタで確認すると、思いもよらぬものが写っていることもある。
そうした場合は撮り直しをするか「商品写真の加工に使える無料画像加工ソフト7選」でご紹介しているようなフリーソフトを利用して画像加工を行おう。
スマホアプリを利用する
いかにもスマホならではのポイントだが、画像を加工できるアプリを利用するのもよいだろう。一眼レフのような仕上がりに加工できたり、色彩調整など、実にさまざまな機能をもったアプリが存在する。
画像加工できるアプリの一覧は下記のページで確認してほしい。
※Android対応アプリ
写真加工・画像編集:Androidアプリおすすめランキング 2015
おわりに スマートフォン撮影でも手間を惜しまない
便利なスマートフォンを使った商品撮影でも、手間を惜しんではいけない。パパッと撮影した商品写真では、商品の外観を伝えることはできても、その魅力までお伝えすることはできない。
ビジネスとしてネット通販に取り組むなら、事前準備から構図の調整や撮影後の加工まで、手を抜くことなく商品撮影を行おう。
【著者からの一言】
鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-
当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!
ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!