せっかくお客様が商品をカートに入れ、決済画面に進んだとしても、決済を完了させることなく離脱してしまうことがある。思ったよりも送料が高かったとか、返品についての保証がなかったとか、思いもよらぬ出来事に直面すると、カゴ落ち率も高くなってしまう。
だから決済に進む前に、独自のショップルールについて周知させておくと、お客様も納得してお買い物ができる。今回は決済に進む前に、お客様に知らせておきたいショップルールについて、ご説明していく。
お客様に知らせておきたいショップルール
送料
まず一番お客様が確認したいのは送料だ。なかには送料無料の施策を打ち出しているショップもあるが、無料だったとしてもしっかりとお客様には事前にお伝えするべきである。それに送料無料はコンバージョン率を高くしてくれる効果があるため、伝えなければ損だ。
送料についてお客様にお伝えしておきたいのは以下に挙げる点。
地域によって送料は変わってくるのか
レターパックやクリックポストなどのサービスを利用していれば送料は全国一律だが、ゆうパックを利用して配送を行うなら、お届け地域によって送料が変わってくる。
配送エリアごとに一覧表形式で送料を記載しておくと、分かりやすくてユーザーにも優しい配慮となる。
○○円以上で送料が無料になるのか
○○円以上で送料を無料にする施策は、平均客単価を上げる施策として効果的だ。このような送料設定をしているなら、大々的にアピールしても良いだろう。
離島の場合の追加料金
離島や一部地域で追加の送料が発生する場合は、必ずお伝えしておこう。離島に住んでいる人も追加料金がかかることには慣れているかもしれないが、事前に周知させておくにこしたことはない。
注文個数によって追加される料金
もし注文個数によって送料が追加になるのなら、その旨もしっかり伝えておきたい。ただしあまりにも送料がかかり過ぎると、購入を断念するお客様がいることも事実。たくさんご注文いただく代わりに、追加料金は一切取らないということも検討したい。
配送
そのショップで利用可能な配送手段についても、事前に知ることができればよい。レターパックでのお届けができるものだと思っていたのに、決済直前になってレターパックが不可だと知ったら、がっかりして購入を止めてしまうかもしれない。
店舗にとって不利になることは”黙っておいた方がいい”と考えるかもしれないが、やはりお客様から信頼され、選ばれるショップになるためには、真摯な態度であることが求められる。
ちなみにネットショップで利用できる配送手段については「ネットショップで使える主要配送業社の提供サービスをご紹介」でも説明しているので、参考にしてほしい。
配送業者
お客様によっては配送業者の好き嫌いがある。「ヤマト運輸がいい」と言う人もいれば「日本郵政がいい」と言う方もいる。多くのショップの場合、利用できる配送業者は1社しかないかもしれないが、複数社の業者を利用できるなら、その一覧を記載しておこう。
配送サービス
レターパックが利用できるのか、ゆうパックしか利用できないのかなど、配送サービスについても、事前にお伝えしておきたい。もし食材関係を扱っているなら、クール便の利用ができるのかも重要になる。
各種サービスに併せて、追跡や保証が付くのかも記載しておくと、なおよい。
日時指定が可能か
会社勤めで日中は家を空けているサラリーマンにとって、お届け日時を指定できるサービスは喜ばれる。マイナスポイントだけではなく、こうしたプラスポイントを記載しておくことで、ショップの評価は上がる。
決済
お客様が利用したい決済手段が用意されていないのは、カゴ落ち率を上昇させる大きな要因となる。クレジットカードで支払いができるのかどうか、代金引換が利用できるのかどうか、決済手段についても周知しておくべきである。
ネットショップで利用したい決済については「ネットショップに導入したい決済方法を重要度順にランキング」の記事も参考にしてほしい。
クレジットカードならその種類も大事
クレジットカードでの決済が可能なネットショップなら、利用できるブランドについてもお知らせしておきたい。VISAとMasterCard は使えるけど、JCBは使えませんというショップがよくあり、JCBユーザーにとってはそうした記載がないと、自分のクレジットカードも使えるものだと思ってしまう。
利用できるクレジットカードのブランドについては、テキストよりも各ブランドのロゴ画像を用いたほうが、直感的にも伝わりやすくなる。
ギフトラッピングの有無
近年では友人の誕生日プレゼントをネット通販で購入する流れも多くなった。そうしたカジュアルギフトの需要増加に伴い、ネットショップでもラッピングや”のし”などのサービス提供が必要になってきた。
ラッピングを自分でするのは少々面倒なので、できればラッピングした状態で発送してもらいたいのがお客様の本音。ラッピングに対応しているかどうかは、購入する前に事前に知っておきたい要素である。
ラッピングに使用する小物を紹介
ラッピング対応しているのなら、どういったラッピングペーパーを使うのか、リボンは複数カラーから選択できるのか、メッセージカードを付けることができるのか、などのラッピングにまつわる小物アイテムの紹介も欠かさずにしておきたい。
返品時の対応について
返品時の対応についても、事前にお伝えしておくとよい。たとえお客様の返品要求には一切応じない方針を取っていたとしても、トラブルを避けるためにも、その旨記載しておくよい。
※返品に応じない場合は、その旨を記載しなければならないルールが存在する。
返品に応じる条件について
「商品の到着から数えて7日目までのご連絡なら返品に応じます」や「”やっぱりいらなくなった”などのお客様起因の返品要求には応じられません」などの、条件をしっかりと記載しよう。
思い切って「どんな商品でも無償返品に応じます」としておくと、新規で購入を迷っているお客様にとっては、買うきっかけを与える言葉にもなり、新規顧客の獲得には効果的だ。
返品時の送料負担について
返品時の送料は、ショップ側とお客様側のどちらが負担することになるのか、こうした取り決めも後からだともめるので、事前に決めておく。
ショップルールはまとめて確認できるようにする
ここまで紹介してきたような、独自のショップルールについては、1ページにまとめて確認できるようにしておくとよい。
「ショップ概要ページを利用して初訪問ユーザーの不安を解消しよう」でも説明しているように、初めてそのショップを利用するユーザーにとっては、ショップのルールなど分からないことだらけである。
そのためショップ概要ページを利用して、送料や配送手段などのお買い物をする前に知ってもらいたい要素について、まとめて記載しておくとショップの使い勝手もよくなり、カゴ落ち率を減らすことにもつながる。
おわりに 情報の開示は信頼につながる
ユーザーが知りたいことは、下手に隠すことなく開示することで信頼を獲得することにつながる。”ショップオーナーがすべて把握しているから大丈夫”ではなく、”常にお客様が安心してお買い物ができる”ことや”お金ではなく信頼を勝ち取る”という意識をもって運営をしていけば、おのずと繁盛店になっていくはずである。
【著者からの一言】
鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-
当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!
ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!