クリック率の高くなるバナーを制作するコツやテクニック

ネットショップを運営していると、特集ページへの誘導や広告のためなど、なにかとバナー画像が必要になる機会がある。バナー画像の制作をいちいちアウトソーシングしていたら費用的にももったいない。小規模で運営しているネットショップなら、できればショップオーナーがちゃちゃっと作ってしまえるようになりたい。

でもせっかく頑張って作っても、誰もクリックしてくれなければ意味がない。バナーを用意するときは特集ページや広告など、その先に見てもらいたいページがあるはずなので、クリック率は高いほうがよい。

今回はよりクリック率が高くなるような、バナー画像を制作する上でのコツやテクニックをご説明していく。

 

文字に関するテクニック

少し傾ける

あまりにも文字を傾けすぎると読みづらくなってしまうが、少しばかり傾けておくと、周りとの違和感から目立つようになる。実際に下図の例を見てほしい。右側の文字を傾けたバナーの方がインパクトがないだろうか。

文字を少し傾けるだけなので、手間もかからない。こうした小技を覚えておくだけでも、バナー画像の訴求力を高めてくれる。

 

詳細な説明をしない

成果に結びつかないダメなバナーとしてよくあるのが、説明を詰め込み過ぎて文章量が多くなってしまうこと。ショップオーナーにとっては自慢の逸品で、その魅力を伝えたい気持ちは分かるが、何もかも詰め込めばよいわけではない。

そもそもバナーの役割は理解ではなくきっかけだ。バナーを見てその商品を理解するのではなく、その商品やサービスを知ろうと思うきっかけを作るためのもの。その商品やサービスの魅力については、遷移先のページにて思う存分語ってもらえばよい。

それにバナーにはスペースに限りがある、オーナーが最も伝えたいこと、ユーザーが最も知りたい情報を考えながら、言葉選びをしていこう。

 

箇条書き

もしお伝えしたいことがいくつもあるのなら、文章調ではなく箇条書きにするとよい。ただ箇条書きも数が多すぎると情報過多になってしまうため、多くても3つまでに抑えておこう。

またユーザーはバナーを見るためにサイトを訪れているわけではない、バナーはパッと見でユーザーの興味をひけるかが勝負なのだ。そのためには一瞬で伝えられるように、すっきりさせておくことも大事。

下に参考例を載せておくが、右側のバナーの方が伝えたいことがしっかりと伝わるだろう。

 

興味をひくコピーをつける

言葉とは単純なようで奥の深いものである。短い言葉でユーザーに刺さるコピーを考えるのは決して簡単な事ではなく、コピーライターという専門の業種があるくらいだ。バナー画像においても秀逸なコピーに切り替えるだけで、クリック率を大幅に改善できることもある。

コピーを考える際には、人の心理学を応用しながら、緻密に文章を組み立てていく必要がある。時にはインパクト重視の言葉を用いたり、体験談風の調子にしたり、その手法は一つではない。あらゆる手法を組み合わせながら、良質のキャッチコピーを仕上げていく。

キャッチコピーの作り方については「ネットショップの売上を増加させるキャッチコピーのつくり方」を参考にしてほしい。

 

デザインに関するテクニック

鋭利な吹き出しにする

人を傷つける刃物が尖っていることから、人間の脳は本能的に鋭利なものに注意が働きやすい構造になっている。これをバナーデザインに活用するなら、吹き出しも鋭利な形状にすることで、ユーザーの視線を誘導できる。

サンプルを作成したので下の図を見てほしい。

右側のバナーの方が、SALEの文字がより際立っていないだろうか。バーゲンや特価情報などインパクトを与えたい情報には効果的に使える手法だ。

 

縁を付ける

絵画を額縁に入れて飾ることで、絵が引き締まって見える。特にウェブサイト上は文字や画像など、さまざまな情報で溢れているので、注目してほしい場所に視線を集めるのも簡単ではない。

そんなときには縁を付けてみよう。そうすることで周りとの境界線が生まれ、くっきり目立つようになる。下図のサンプルをご覧いただきたい。右側の方がくっきりはっきりしているように感じないだろうか。

 

コントラストを付ける

ただ商品写真に宣伝文句を載せましたというだけではなく、色味にコントラストを付けることでも、画像に面白味を出すことができる。下の右図の例では、コントラストがあることによって、肉まんが2倍おいしく見えるというわけではないが、人の目を引きやすい画像になっていることは確かだろう。

 

あえてモザイクを付ける

鶴の恩返しの童話にて、おじいさんがついつい扉を開けてしまったように、何かが隠されていると、その奥に隠れているものを覗きたくなる心理を利用する。テレビでも放送禁止の際に「ピー」と効果音をつけるが、それも視聴者の興味を誘うためにわざとやっている。

またしても中華まんを例にしてしまうが、下図を見てほしい。

ついついモザイクで隠されている肉まんはどんなものだろうかと、クリックしてその先を確認したくならないだろうか。

ただしこれでその正体がただの肉まんだったら、ユーザーはがっかりしてページを閉じてしまうので、他とは違う一風変わった肉まんであることが大事。

 

画像に関するテクニック

人物を登場させる

天井の汚れが人の顔に見えてしまうことがあるように、人は人の顔を認識する能力に長けている。何かを認識するときに、そこに人の顔があれば、無意識的に人の顔に目を向けるようにできているのだ。

バナー広告も人が出てくると注目されやすくなる。また男性をターゲットにしたネットショップの場合は、女性を登場させることでもクリック率は高くなる。「男性向けには女性」だなんて極めて原始的な思考ではあるが、人間は本能に従ってしまうものである。

以下には海産物をアピールするバナーを、人を登場させないパターンと登場させるパターンの2つを用意した。右の例の方が人物に視線がいくだけでなく、どことなく賑やかさや華やかさも伝えることができ、ショップにとってはプラスのイメージが働く。

 

顔のアップも効果的

顔はアップになればなるほど注目を集めやすくなる効果があり、その秘訣は「目」にある。”視線を感じる”という言葉があるように、顔のパーツの中でも特に目には注目が集まりやすい。

モデルが正面を向いていると、こちらを見つめているようで一瞬ドキッとする。また横を向いていれば、自然とその目線の先にあるものを追いかけてしまう。

顔のアップを使うなら、そのモデルがどこを向いているのかも意識してバナー制作を行おう。

 

有名ブランドならロゴを表示

先にも述べたがバナーで大切なことは、パッと見の短い時間で商品の概要を伝え、興味を持ってもらうことである。もし有名ブランドの商材を取り扱っているECサイトなら、ブランドロゴ自体が訴求効果のある要素となる。

極端な話、ブランドロゴを中央に載せて、その下にショップ名を記載するだけでも、そのブランドに対して興味のあるユーザーにとっては十分アピールできる。むしろ余分な補足説明が邪魔する可能性もあるぐらいだ。

ただし認知度の低いローカルブランドでは、この手法は使えないので気を付けてほしい。

 

食材関係は調理後の写真を

食材関係を扱っているECサイトなら、調理後の写真を載せておくとよい。近頃は「飯テロ」という言葉も生まれているように、空腹時のユーザーにとって、おいしそうな料理の写真は最大限の訴求効果をもたらす。

それに調理後という、利用シーンのイメージを示すことはユーザーの興味を誘いやすくなる。下図であれば右の料理後の方が商材の魅力を感じられるだろう。

また無農薬や有機野菜を売りにしているなら、収穫後ではなく畑で育てられているシーンの写真でもよい。普段は見ることができない光景のため、ユーザーが興味や関心を抱きやすくなる。

 

また商材の魅力を引きだすカットを撮影したいなら「ネットショップの商品写真を魅力的に見せるアングルや構図」も参考にしてほしい。

 

効果測定を忘れずに

最後に余談だが、バナーを作成したら効果測定を忘れずに行ってほしい。できれば2種類以上のバナーを用意して、どちらがクリックされやすいのかを計測しながら、より効果の高いバナーを採用していく。

効果を計測する期間も、よほどのアクセスがあるサイトなら1日も掲載すれば結果は分かるかもしれないが、曜日や時間帯が影響することを考えると、最低でも1週間は計測期間を設けたい。

長期間にわたって掲載するバナーであれば、定期的に画像を切り替えていくことでも、サイト自体に新鮮さが生まれ、固定ユーザーを飽きさせない仕組みにもなる。

 

おわりに テクニックは組み合わせて使う

これまでいくつかのコツやテクニックをご紹介してきたが、いかがだっただろう。御社の取扱い商品で使えそうなものはあっただろうか。

実際にバナーを作成するときには、いくつかの技を組み合わせながら、魅力的なバナーに仕上げていくようにしてほしい。最初は上手に作れないかもしれないが、数をこなしていくうちに、センスの良いものができるようになるはずだ。


【著者からの一言】

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鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-

当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!

ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!