メディア化対応が集客に結びつかないNGコンテンツの8例

ECサイトの集客効率化や売上げ増のためにメディア対応を施す。この考えは何も間違っていませんし、むしろ現在のEC業界では正攻法になりつつある手法。しかしせっかくメディア運用を始めても用意するコンテンツの内容次第では、どれだけ労力を費やしても成果に結びつかない…ということにもなりかねない。

コンテンツの例としては「EC型メディアを運用する上でコンテンツとしたいカテゴリ10選」でもご紹介しているが、今回はすこし目線を変えて、成果を上げにくい、NGコンテンツの例をご紹介していく。

 

成果を出せないコンテンツ例

 

日記ブログ

俗にECサイトのメディア化対応と呼ばれるマーケティングにて、一番失敗することが多いのが、コンテンツの内容がただの日記ブログになっていること。

よく「三代目社長の○○ブログ」とか「毎日更新!店長ブログ」といったものを見かけないだろうか? ウェブサイトに来訪したユーザーとしては、そのブログを覗いてみれば、おすすめの商品やその業界にまつわる面白い話が読めるのかなと思い、アクセスもしたくなる。

しかしそのブログに掲載されている内容が「昨日の午後は天気が良かったのでお散歩に行きました」とか「最近はダイエットにはまっていて、減量に成功しました」といった内容であれば、すぐにブラウザを閉じてしまうことだろう。

身内なら話は別だが、全くの赤の他人であるユーザーは、社長や店長の日常に興味なんてない。どれだけ毎日更新を続けたとしても、ショップの集客や売上げには全く貢献してくれないだろう。趣味でやっているなら良いのだが、マーケティングの一環でブログをして日記を綴っているなら、「ただの店長ブログも切り口を変えれば良質コンテンツに変化する」の記事を参考にしながらコンテンツの内容を検討し直そう。

 

業務に絡めた内容にする

社長や店長などその道のプロが綴るブログなら、例えば「アパレル業界に30年身を置いた社長が教える今年のファッションの流行」といったように、業務や業界の裏側を知れるような内容にするとユーザーの反応も良くなる。

社長が今後の業界のトレンドについて説明したり、店主が商品仕入れのポイントについて説明すれば、ユーザーとしてもブログを読むことで商品購入の参考になる。

 

内輪ネタ

御社のメディアはショップ関係者だけが楽しめる内容になっていないだろうか? はっきり言って内輪ネタはNGだ。リピーターを獲得できないどころか、お客様によってはすでに出来上がっているコミュニティーを敬遠して、新規のお客様にすらなってくれないこともあり得る。

ショップスタッフや身内のことばかりをコンテンツにしていては、その人のことを知らない限り何のことだか分からない。もしカリスマバイヤーが在籍するネットショップや、有名人が経営するECサイトなどのように人にフォーカスを当てたショップなら話は別だが、一般の人が運営するなら内輪ネタは止めておこう。

 

ターゲットがバラバラ

誰に向けてのメディアなのか分からないメディアはよろしくない。テレビ番組だって子供向けとか女性向けとか、対象となるユーザーを想定して番組を構成しているように、インターネットメディアでもターゲット設定は重要だ。

全てのユーザーを取り込もうと、ある時は50代男性に向けた話題を書き、ある時は30代女性に向けた話題を書いていていないだろうか。メディアを通してユーザーをファン化させようとしているなら、ターゲットをしっかりと決めて、その対象が満足するような内容を発信し続けることが一番だ。

 

ターゲットはショップの利用者層から見つける

ターゲットをしっかり決めておくのは重要だが、ショップのお客様層と外れていてはいけない。もともとECサイトのメディアはショップの売上げ対策のために行うものであり、ショップの利用者層とメディアの購読者層がマッチしていないと成果に結びつかない。

普段ネットショップを利用してくれるお客様層を調査した上で、その層に響くコンテンツを用意するようにしたい。

 

短すぎる文章量

たまに100文字や200文字で完結する記事を見かけることがあるが、その程度の文字数ならわざわざ記事にすることなく、Twitterで済ましてしまえばよい。

お客様に定期的にアクセスされる、愛されるメディアとしていくためには、ある程度の文字数は必要だ。ECサイト系メディアであれば、最低でも500文字程度は用意するようにしたいところ。

 

SEO的にも悪影響を及ぼす

あまりにも一記事あたりの文字数が少ないと、SEO的にも悪影響を及ぼしてしまうので注意。GoogleやYahoo!の検索エンジンは、よりユーザーにとって有益な情報が含まれているサイトを上位表示させる傾向にある。

もし100文字の記事と1万文字の記事があれば、1万文字の記事の方が内容が濃く、ユーザーの求めている答えが丁寧に解説されているはずだ。そのため検索結果で上位表示されるのは1万文字の記事である。(ただし本題とは関係ないことをダラダラと書いて文字数を増やすのは意味がないので注意)

それにたった100文字や200文字ではお客様の求めるものを満たすのは難しいだろう。辞書であれば別だが、辞書ツールは既に大手企業がウェブ上で展開しているし、ECサイト系メディアとしてはそんな機能は必要ない。

中小企業の運営するメディアサイトなら、より濃密な情報を盛り込むことで、お客様を満足させるとともに、SEOも強くさせよう。

 

疑問や問いかけで終わる

たまに「皆さんはこんな問題どう思いますか?」といったように、疑問や問いかけで締めているコンテンツがあるが、ヒントや答えを探して検索してきたユーザーにとっては不完全燃焼のまま終わってしまう。これではユーザーも最後まで読んだ時間を返してほしいと思ってしまうだろう。

もし問題提起しているような内容のコンテンツであれば、運営者なりの考えや回答を述べて、オチを付けることを心がけてほしい。

 

専門用語を多用する

専門的な内容は全く問題がないどころか、むしろ良質なコンテンツとして非常に良い。その道に精通した人間が記事を書くことで、誰でも真似できるような記事とは違い、時間をかけて読むことに価値がある。

ただしNGなのは専門用語を多用し過ぎること。分かりにくいことを分かりやすく書くことが良質なコンテンツであり、分かりにくいことを分かりづらいまま書いてしまえば、ユーザーの需要を満たしてあげることはできない。

専門家だとついつい専門用語を多用してしまいがちだが、果たしてそれらをどれほどの人間が理解できるのだろうか? もちろんその分野のECサイトならある程度の理解者がお客様となるだろうから、幼稚園児にでも分かるような言葉使いで説明しようとすると逆にまどろっこしい文章になってしまう。だがその道のプロでしか理解できないようでは意味がないので、ユーザーの質をしっかりと考えてから言葉選びを考えよう。

 

炎上を狙う

インターネット上の炎上とは、なにかの不祥事や運営者の不適切な発言をきっかけに、世間から注目され大量にアクセスが集まることを言う。炎上を巻き起こすこと自体は難しいことではない。例えばライバル企業を徹底的に批判する記事を書いたり、何かに対する差別発言をすることで、簡単にアクセスを集めることができる。

しかしECサイトのメディアは企業イメージを認識させる目的も担っているため、もし炎上してしまえば、世間からのイメージが悪くなってしまう可能性が高い。イメージの悪いサイトで誰もお買い物しようとは思わないだろう。

“炎上商法”とも呼ばれ、広告収入狙いのブログでは意図的に炎上を発生させることもあるが、ECサイトのメディアとしては炎上を狙うのはNGだ。

 

PVだけを意識する

アクセスを稼ぐためにPV(ページビュー)だけを意識したコンテンツづくりもいけない。確かにPV数が増加すればショップへの流入数も増えるし売上も増加するが、それはあくまでコンテンツの内容がショップの商品とマッチしていることが前提である。

もしコーヒー豆を販売しているネットショップのメディアで、芸能人のゴシップ情報を配信していては、いつまでたっても成果に結びつかない。「メディア運用はPV至上主義ではなく成果を意識しよう」の記事でも説明しているが、メディア運用の目的はショップ側での商品購入であることを忘れてはいけない。

商品ページを覗きたいと思わせるように、必ず商品やショップの伝えたいことを絡めたコンテンツにしていこう。

 

おわりに コンテンツはユーザーのために

良質なコンテンツは集客や売上げに貢献するが、低品質なコンテンツは投資ではなくただの出費に他ならない。店主の自己満足ではなく、いかにお客様の役に立つかということをポイントに、コンテンツの立案を行ってほしい。

コンテンツ作りの際には「ユーザーに好まれる質の高いコンテンツを作る3つのポイント」の記事も是非参考にどうぞ。


【著者からの一言】

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鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-

当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!

ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!