売れる商品の仕入れが繁盛店の鍵!仕入れ時の目利きポイント

小売店にとって、売れる商品を仕入れることは、店の売上げを大きく左右する重要なポイントである。これはネットショップでも同様で、いかに売れる商品を仕入れていくかでお客様の反応も変わってくる。

売れる商品というのは、世の中の需要があることとイコールであり、ネットショップの仕入れ担当としては、世間の動向やユーザーの質を気にしながら、商品の目利きをしながら仕入れるアイテムを決めていく。

今回は売れる商品を仕入れるための目利きのポイントについてご説明していく。

 

売れる商品を仕入れるためのポイント

それでは商品の仕入れ時に意識しておきたいポイントについて、以下に挙げていく。

 

トレンドに乗っていること

流行りのカラーや流行のテイストといった世の中のトレンドは、商品の売れ行きに直結する情報のため、常にアンテナを張って敏感にキャッチしておきたい。ネットで検索したり、雑誌を読んだり、街をぶらぶらすることでも、世の中の流れをぼんやりとでも掴むことができるだろう。

 

雑貨や家具なら流行のテイストを意識

2010年代前半は北欧テイストがブームになっていたため、北欧関係のアイテムを取り扱うショップが繁盛した。しかし2010年代後半となって北欧ブームにもそろそろ陰りが見えはじめ、この先はどんなテイストが流行するのか、どの商店も探り探りといったところ。

アジアンテイストがくるのか、西海岸テイストがくるのか…いずれにしろ北欧らしいシンプルですっきりとした色合いのアイテムよりも、カラーのはっきりしたアクセントのあるアイテムにブームは移行しつつある。

雑貨や家具などのライフスタイルを提案するネットショップなら、次に流行るテイストを見越した仕入れをしていきたい。

 

アパレル関係は特に流行を意識

特にアパレル関係は流行の移り変わりが激しいので、その年のトレンドを押さえておくことは必須だ。実際その年に流行るカラーは、2年前から決められているそうで、カラートレンドを知るなら「日本流行色協会」のウェブサイトをチェックしておきたい。

またカラーだけでなく、ファッションのトレンドはパリコレなどの世界的なコレクションも影響してくるので、視野は広く持っておきたい。

 

競合他社の売れ筋商品をチェックする

企業の初期段階における成長で大切なことは、独自性を貫くことよりも、繁盛している企業を真似ていくことにある。パクるのではなく参考にするのだ。他の企業を研究・分析し、良いとこは積極的に取り入れていき、悪い部分は取り入れない。そうしてノウハウをつかんでいく。

それは販売する商品についても同じことが言える。他店の売れ筋の商品を分析するということは、世間の需要を調査することと同じだ。全く同じものを仕入れれば繁盛店と同じように売上げが上がるとは限らないが、世間の需要をうまく取り込める可能性はでかい。

 

ユーザー層を把握しておくこと

売れる商品を見つけたいなら、まずは自身の運営するECサイトでお買い物をしてくれるユーザー層を知ろう。
お客様の性別や年齢層は把握できているだろうか? もしお客様について把握していなければ、データ分析をしっかりと行い、お客様について知ることから始めよう。

商売の基本はユーザーの想定から始まる。若年層の女性を相手にするのか、富裕層を相手にするのか、どのような質のユーザーを相手にするかで、立てるべき戦略も変わってくる。

もちろん仕入れる商品だって、ユーザーの求めるものにマッチしなければ、いくらよい商品でも売れない。20代女性のユーザーが多いのに40代女性に好まれるような商品を仕入れていては、ミスマッチが起きてしまう。

 

ユーザーの生活環境をイメージしよう

ユーザーの性別や年齢層の確認ができたら、次はより具体的なユーザーの生活環境をイメージしていこう。

30代女性の利用が多い店だとしても、コンバージョンのタイミングが夜間に集中しているのなら、企業に勤めている人が多いだろうし、コンバージョンが昼間に多いのなら主婦の利用が多いと想定できる。

ある程度予測になる部分は大きいかもしれないが、より緻密なユーザー設定を作り上げていく。マーケティングの専門用語ではこれをペルソナ設定と呼んでいる。性別や年齢層という大ざっぱな設定だけでなく、家族構成や勤め先、趣味やコンプレックスなど細かい部分まで想定していく。

細かい設定をして具体的な人物像を作り上げたら、次はその人物が好みそうな商品を考えていき、仕入れの参考にする。こうすることで根拠のない仕入れではなく、しっかりと仕入れる商品の基準ができる。

明確なユーザーを設定することで、誰が商品の仕入れ担当になろうとも、その基準をもとに仕入れる商品を考えられるメリットも生まれるのだ。

 

過去のデータを活かす

オープンして数年が経過しているネットショップなら、店舗が抱えている過去の売上げデータも参考にしてみよう。スタッフの記憶に頼るのではなく、しっかりとデータから売れ行きを見つめ直すことが大事だ。

すると夏にはこのぐらいの価格帯のこんな商品が売れ筋になるとか、12月にはギフトラッピングの需要が増加するといった、店舗の傾向をつかむことができる。そうしたデータを考慮することで、夏物商戦で活躍するアイテムを仕入れるヒントにもなるし、12月に向けてギフトで喜ばれそうな、少々商品単価の高いアイテムを仕入れようと思うはずだ。

過去の売上げデータは会社にとっての資産である。ただ記録していくだけでなく、仕入れのポイントとして有効に活かしていこう。

 

ユーザーレビューも反映する

過去のデータという点では、ユーザーから頂いたレビューも仕入れ時の参考になる。それも「購入して満足しました」という肯定的な意見ではなく、「使い心地が悪く、この部分がこうだったらもっと良かったです」といった否定的な意見が参考になる。

ユーザーレビューは商品のコンバージョン率を上げる施策となるだけなく、ショップ運営者ではなかなか気づけない落ち度を指摘してくれるため、第三者目線での評価を知る上ではとても有効。

もしユーザーレビューを集めていないのであれば「商品ページに記載したいレビュー・お客様の声の集め方」の記事を参考にしながら、お客様の声を集めていってほしい。

 

仕入れでやってはいけないこと

仕入れ時の目利きのポイントを知るとともに、やってはいけないことも覚えておこう。

 

店主の感性で選ばない

まず大前提に、店主や仕入れ担当者の感性で商品選びをしてはいけない。

売れないECサイトの場合、自分で欲しいものを仕入れの基準にしていることが多い。好きで始めた商売であろうから、その気持ちも分からなくはないが、副業や趣味で商売をしている場合でない限り、「可愛いから」とか「好きだから」といった主観で判断してはいけない。

たしかに日本の人口は1億人以上いるので、自分と同じ感性を持った人がお客様になってくれる可能性はある。だがそれはたまたま売れただけであって、売れる商品を仕入れたとは言えない。

 

近くの人の意見を鵜呑みにしない

売れる商品かどうか不安になり、身内に意見を求めたりすることもあるだろう。すると感想を求められた方は、ちょっとした義務感から「こんな所が素敵」とか「これは良くない」とか、何かしらのアドバイスを言うと思う。

もちろん第三者の意見は貴重だが、身内の意見はあまりあてにしないほうがよい。なぜなら彼らは見込み客でもなんでもないからだ。商品についてどうかと聞かれ、見込み客でもない人間が自分の主観で発言しているだけで、そうした意見は参考にならないことが多い。

第三者の意見はお客様の意見だから意味がある。もともとその商品に対して興味を持っている人と興味のない人では、見るポイントが異なってくる。

完全に無視してもよいわけではないが、アドバイスを鵜呑みにするのは危険なのでやめておこう。周りの人の意見よりも、先にご説明したユーザーレビューを意識することを重要視した方がよい。

 

おわりに 仕入れのポイントはデータから拾う

商品仕入れのポイントとしては、店主やバイヤーの直感ではなく、世の中のトレンドや過去のデータ分析から推測を立てていくようにしよう。

もちろん世の中には直感でヒット商品を見つけてくるカリスマバイヤーと呼ばれる人がいるのも確かだが、多くの仕入れ担当者にはそんな芸当はできない。だからこそ地道にデータを取りながら、売れると判断できる材料を多く集め、商品を仕入れて、推測が誤っていれば修正する。

ネットショップには売る仕組みや工夫も大事だが、商品自体がお客様のニーズとマッチしていかも重要なのである。


【著者からの一言】

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鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-

当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!

ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!