ネットショップの集客については、広告費用を必要とするリスティング広告や、無料のSNSを利用した集客などさまざまなタイプがあるが、近年ではコンテンツマーケティングが浸透してきていることから、ECサイトのメディア化対応という手法が取られることも多くなってきた。
ECサイトとは別に、ショップへの送客の役割を果たすメディアサイトを構築する(ネットショップのサブドメインに構築する場合もある)のだが、メディアサイトは更新型ウェブサイトにする必要があるため、CMS(コンテンツ管理システム)を利用することが一般的。
そして数あるCMSの中でも、ワードプレスの利用をおすすめする理由について、ご紹介していく。
ワードプレスをおすすめする理由
まず始めに、ワードプレスをおすすめする理由を、4つの観点からご説明していこう。
システムを無料で使える
ワードプレスはオープンソースと呼ばれるシステムのため、誰でも自由に使うことができ、カスタマイズなどの改変も許されている。そのためコストを最小限に抑えるなら、ワードプレスの導入で費用が掛かるのはドメイン取得費用とレンタルサーバー費用ぐらいで、システム自体の利用料は発生しない。
コンピュータの世界には知識の共有という考え方があり、ワードプレスが無料で利用できるのも、世界中の開発者が知恵を持ち寄って無償で開発し続けているから。バージョンアップも頻繁に行われ、より使いやすく、機能的なシステムに進化している。
豊富なプラグイン
ワードプレスのシステムは、基本的なシステムにプラグインと呼ばれる追加機能を付け加えていくことで、さまざまな機能を実現できるシステムとなる。
例えばお問い合わせフォームを作りたいと思えば専用プラグインを追加することで、簡単にコンタクトフォームの作成ができる。また画像サイズの最適化やキャッシュ情報の管理など、内部的な処理までプラグインの追加をするだけで、複雑なプログラミングをすることなく利用できる。
その数はWordpress公式ディレクトリに登録されているだけでも4万種を超えるという。これだけの情報でも、いかにワードプレスが機能的な面で優れているかが分かる。
プラグインの利用は無料
ワードプレスのシステムだけならまだしも、これらのプラグインを無料で利用できることも、特筆すべき点だろう。ワードプレスというプラットフォームを基盤に、さまざまな開発者がプラグインを開発してくれるおかげで、ユーザーは自分のやりたいことをサイト上で実現できる。
ただし、アップグレードは有料になるものもあるので注意。
プラグインを利用し過ぎるとサイトが重くなる
便利だからと言って、プラグインをインストールし過ぎるとウェブサイトが重たくなってしまう。高機能であることは重要だが、機能性を求めるあまりサイトの表示スピードが遅くなって利便性が損なわれてしまえば本末転倒だ。
本当に必要なプラグインを選定していくことも大事だ。
導入プラグインを決めるのに参考になるサイト
初めてのワードプレスで、どんなプラグインを利用してよいか分からないという方は、便利なプラグインを紹介しているサイトもあるので、そちらを参考にしてみよう。
・MarkeHack
プロが選ぶ!WordPressプラグインおすすめ50選【2016年版】
・creive
はじめに導入したい!WordPressのおすすめプラグイン18選!
豊富なサイトテンプレート
ワードプレスはテーマと呼ばれるサイトテンプレートをインストールすることで、自らサイトレイアウトを組み立てることなく、いとも簡単にプロが作ったようなサイトを構築することができる。
テーマの数も2000種類ほどが登録されているため、絶対にユーザーのお眼鏡にかなうようなものが一つくらいは見つかるはずだ。
国産テーマも多数
ワードプレスは国産ではなくグローバルなシステムのため、テーマの多くも海外製だ。海外製のテーマは英語に不慣れな方には使いにくいかもしれないが、ご安心ください。ちゃんと国産のテーマもいくつか用意されている。
国産のテーマはナビゲーションも日本語で操作しやすく、なにより日本人の感性に合うようなデザインになっている。ECサイトのターゲットを日本国内に設定しているなら、国産テーマを選択するのも一つの手だ。
資金に余裕があるなら有料テーマも
ワードプレステーマについても、無料のテーマが豊富に用意されているので、お金をかけることなく高品質のサイトを構築できる。
しかし資金に余裕があるのなら、有料のテーマを利用することも検討してみよう。無料のテーマと比べると機能的にも自由度が高いことが多く、デザインも洗練されている。
それに無料テーマだと他サイトとデザインが被ってしまうこともあるだろう。より独自性を出したいときにも、有料テーマを選ぶとよい。
もし有料テーマを選択するなら、日本のデザインプラスという企業が開発しているテーマをおすすめする。高品質なテーマを1万円強の価格で販売しており、詳細は下記のURLから確認できる。
TCD: http://design-plus1.com/tcd-w/
テーマ選びにおすすめのサイト
プラグインと同じく、テーマについてもおすすめを紹介しているサイトがいくつかあるので、下記のようなサイトを参考にしてみよう。
・creive
ぜんぶ無料!WordPressのおすすめテーマ8選
・NETAONE
WordPressの無料テンプレート配布サイト22選、無料なのに超使える!
豊富な情報量
ワードプレスは今までの一度作ったら放置のウェブサイトとは違い、コンテンツを更新するためのシステムである。そのため操作ミスやバージョンアップの不具合なので、なにかとトラブルに見舞われる可能性も高くなる。
そんなときに活躍するのがその道のプロである専門家だが、ワードプレスの場合は専門家に修復を依頼しなくても、企業のウェブ担当者でどうにか対応できることも多い。
ワードプレスは世界一利用人数の多いCMSであり、全世界の25%のウェブサイトはワードプレスで構築されているという。利用者が多い分だけ、カスタマイズの方法やトラブル時の対応方法など、さまざまな情報がネット上には転がっているのだ。またワードプレスに関する書籍も多数販売されている。豊富な情報をすぐに入手できるメリットがある。
ワードプレスがSEOに強いかは不明
世間ではワードプレスはSEOに強いと言われていることがあるが、これに関してはワードプレスだからSEOが強いというわけではないとECメディアでは考えている。ワードプレス以外で構築されているサイトが上位表示されていることもあるし、利用するテーマやプラグインによってもある程度の差は発生する。
ワードプレスでSEOの強いサイトをつくるには
ワードプレスでSEOに強いサイトを作っていくなら、利用するテーマにパンくずリストが設定されているかや、見出しタグの最適化がされているかなど、内部SEO対策がしっかりと施されているかをチェックしたい。
一般的には下記に挙げるテーマはSEOに強いと言われている。
またプラグインについては「All in One SEO Pack」を導入することで、検索に強くなると言われている。All in One SEO Packの設定・使い方については、こちらの「[完全保存版!]All in One SEO Packの設定方法と使い方まとめ」のサイトで丁寧に説明されている。
ワードプレスの導入費用
先にも述べているが、ワードプレスはオープンソースのシステムのため、導入自体に費用は発生しない。そのため担当者で全ての作業を行ってしまえば、格安で自社メディア・オウンドメディアを構築できる。
ワードプレス導入に必要な作業
環境構築
ワードプレスを導入するためには、ウェブサイトの住所となるドメインを取得し、システムをのっけるためのサーバーをレンタルする必要がある。
そしてワードプレスを動作するためには、PHPというプログラム言語とMySQLというデータベースの利用が必須となる。つまりPHPとMySQLを動かせるサーバーでないといけない。
サーバーとドメインを用意したら、ワードプレスをインストールすることで、ひとまずの環境はそろう。
カスタマイズ
ワードプレスはカスタマイズも自由に行える。自由に行えるが、カスタマイズの方法を知らないことには何もできないのがもどかしい。PHPやスタイルシートといった専門的な知識を習得している方なら何の問題もないのだが、ほとんどの人はそんな知識を持ち合わせていないだろう。
ただし豊富なプラグインやバリエーション豊かなテーマがそろっているので、カスタマイズを必要としなくても、十分に立派なサイトになる。メディア運用で大事なのはサイトデザインではなくコンテンツの質を上げて成果を上げることなのだ。
導入を外注するという手段も
ドメインやサーバーについてよく分からなかったり、社内に任せられる人間がいない場合は、ワードプレスの導入を外注するという手段もある。何でもかんでも自分たちで対応せずに、ときには外注した方が効率が良い場合だってあるので、自前でワードプレスを構築できないときは、外注することを検討してもよいだろう。
おわりに ワードプレスでコストパフォーマンスの高いメディアを
ワードプレスは非常にコストパフォーマンスの高いシステムである。そのためブログやメディアといった更新型サイトだけでなく、企業のコーポレートサイトもワードプレスで構築することが多くなった。
ワードプレスを利用するだけで、従来なら制作会社に依頼して数十万円が必要になっていたウェブサイト制作も、格安で導入することができる。ECサイトの集客用メディアにも、ワードプレスはおすすめである。
ECサイトのメディア対応については、こちらの「ECサイト(ネットショップ)がメディア化を進める6つの理由」の記事も参考にしてほしい。
【著者からの一言】
鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-
当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!
ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!