フルオーダーでショッピングシステムを構築する方、無料でECサイトを開業できるBASEを利用する方、ASP型のショッピングシステムをレンタルされる方など、ショップの独自性を出すために、独自ドメインを用意することが多いと思う。
そこで必要となるのがドメインの取得作業だ。このドメインの取得にも費用がかかるので、何も考えずに取得するのではなく、しっかりとドメイン名を決める上で意識しておくべきポイントを把握してから取得するようにしよう。本記事ではそのための基本とコツをご説明していく。
ドメインとは
そもそもドメインとは「○○○.com」や「○○○.co.jp」といった形式のURLのことで、インターネット上の住所のようなものである。「○○○」の部分は任意で好きな文字列を設定することができ、「.com」「.co.jp」「.net」といった後に続く文字との組み合わせも自由である。
同じドメインは二つ存在しない
現実社会でも同じ住所が二つと存在しないように、ドメインの世界でも同じものは存在しない。
たとえば「netshop.com」というドメインを取得したい場合、既にほかの誰かが「netshop.com」のドメインを取得していたらあきらめるしかない。(もしくは「netshop.com」の取得者に相談して、費用を支払って譲ってもらうか)
「.com」や「.net」などの種類は豊富
任意の文字列の後ろにくる「.com」や「.net」はトップレベルドメインと呼ばれており、このトップレベルドメインの数は非常に多い。
基本はどんなものを選んでもよいのだが、一応それぞれに意味があることも理解しておこう。
「.com」は商用のCommercialを表すものであり一般的な企業で利用されている。「.org」は団体のorganizationを表しており非営利団体で使われることが多い。また「.co.jp」はJapan(日本)のcompany(企業)を表している。
使用できない文字もある
「○○○.com」の○○○の文字には、基本は好きな文字列を設定できるのだが、一部使えない文字もあることを知っておこう。
ドメイン名に使える文字の基本は半角英数字(A~Z、0~9)と半角のハイフン「-」のみであり、その他の文字(全角英数字や記号)は使えないものと思ってもらえばよい。
ただし日本語ドメインにしたい場合(ネットショップ.comやネットショップ.jpなど)は、全角のひらがな・カタカナ・漢字も使用することができる。
ドメイン取得時に気を付けること
それではドメインを取得する際には、どんなことを意識して決めればよいのかをご説明していこう。
短くて分かりやすいこと
一番大切なのは短くて分かりやすいドメイン名であること。ネットショップであればショップ名、企業のコーポレートサイトであれば企業名を設定するのがベストだろう。
ただし既に他者によって取得されている可能性もある。そうした場合はハイフンを使ったり文字の順番を入れ替えたりすることで、オリジナルのドメインを見つけていく。
当サイトのECメディアのドメインは「media-ec.com」である。本来なら「ec-media.com」としたかったが、既に他で使われていたため「media-ec.com」に決定したという経緯がある。
商品やサービスを連想させる言葉
もしショップ名や企業名をそのままドメインに設定するのが嫌だったり、すでにお目当てのドメインが取得されている場合は、商品やサービスを連想させる言葉でもよいだろう。
例えば乳幼児用の商品を扱っているなら「baby.com」とする。さらに「baby-gift.com」や「baby-happy.com」のように利用シーンや感情を表す言葉を付け加えることで、パッと見の印象も良くなるだろう。
日本語ドメインを選んでもよいか
先の「使用できない文字もある」の項でも説明したが、ドメイン名には日本語も設定することが可能だ。
日本語ドメインにするメリットは、覚えやすさにある。やはり我々日本人は英語よりも日本語の方が瞬時に意味を理解できるため、ネットショップの認知という点では効果的に働くだろう。
また一部では日本語ドメインの方がSEOにも強いとも言われている(定かではないが)。
しかし日本語ドメインを設定する前に、デメリットがあることもしっかりと理解しておくべきだ。
日本語ドメインのデメリット
日本語ドメインを使用する限り、商圏範囲は日本国内に限られてくる。ネットショップの世界は国内だけでなく海外から注文を受けることも可能だ。海外進出という可能性を考えると、日本語ドメインを設定するのは避けたほうがよいだろう。
また日本語ドメインは見た目は日本語だが、コンピュータとしてはアルファベットに変換して記録されている。そのためURLをコピーして貼り付けると、訳の分からない文字列になって表示されてしまう。
トップレベルドメインは無難なものを
「.com」や「.net」といったトップレベルドメイン。その数は豊富にあることはご説明したが、実際にドメインを決める際には無難なものを選ぶようにしよう。
「○○○.help」や「○○○..sexy」といったドメインを取得することも可能だが、何も知らない人から見たら怪しさ満載だろう。不用意にアクセスしてしまえば、詐欺に引っかかるかもしれないと不安になる方は絶対にいる。
そのため「.com」「.net」「.jp」「.co.jp」ぐらいで考えるのがおすすめ。もし地域限定サービスを行っているなら「.tokyo」や「.nagoya」といったドメインでもよいかもしれない。
簡単には変更できないということを意識する
一度決めたドメイン名は後から変更することはできないという気持ちで、後悔することのないように、しっかりと考えてから決めるようにしよう。
正確にはドメインを変更することは簡単なのだが、変更することで今まで他サイトから受けてきたリンクによるSEO効果や、築き上げてきたドメインパワーが0になってしまう。
人間であれば引っ越しをしたら役所に行って手続きを済ませば同一人物であることを証明できるが、コンピューターの世界ではドメインの変更は全くの別人として見なされてしまう。
ドメインの取得場所
では最後に、ドメインを実際に取得できるサービスを提供しているサイトを、少しだけご紹介しておこう。ちなみにどこで取得してもドメインの質などに差が出るものではない。事業者によって変わってくるのは、ドメイン取得費用やサービスの度合いといったところだ。
ムームードメイン
GMOペパボが運営する「ムームードメイン」。トップページにドメイン検索機能がついているため、取得したいドメインが利用できるかを即座に確認できる。管理画面も直感的に使いやすいのでおすすめ。
キャンペーンも頻繁に開催しているので、「.com」のドメインなら年間1000円ちょっとぐらいの利用料となる。
お名前.com
ムームードメインと同じくGMOグループが運営している「お名前.com」。使い勝手も価格も同じぐらい。
サポートが充実しているのは評価できる点である。
おわりに ドメイン決定は慎重に
ドメインについての基本や取得時に意識すべきポイントをご理解いただけただろうか。
ドメインはある意味ネットショップの顔にもなり、末永く付き合っていかなくてはならないものだ。適当に決めると後で後悔するので、しっかりと今後の方向性も考慮しながら決めていくようにしよう。
【著者からの一言】
鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-
当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!
ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!