高島屋や松坂屋などの百貨店では、必ず催事フロアが用意されているが、何のためにあるのかご存知だろうか…?正解はお客様を飽きさせないためだ。
百貨店といえども、いつ行っても同じような品揃えでは、お客様も飽きてしまい、わざわざお店まで足を運ばなくなってしまう。そこで1週間ごとにさまざまな催し物を開催することで、お客様を楽しませ足を運んでもらうのである。もっと細かいことを言うなら、催事フロアは決まって上位階にある。これは上まで上がってくるまでの間や、下に降りる際に、何かの商品を購入してもらうことを狙ってのことである。
お客様を飽きさせないという意識は何も百貨店だけに限ったことではなく、実店舗であってもネットショップであっても同じこと。今回はマンネリを防ぐための、お客様に進んでリピートしてもらうための策についてご紹介していく。
飽きのこないECサイトにするべき理由
ショップ運営をする上で、お客様に飽きられないことが重要なのは言うまでもないが、なぜ飽きさせないことが大事なのかと言うと、お客様のアクセス頻度を高くするためである。特にネットショップの場合は競合店舗がひしめき合っているので、アクセス数を高くすることは重要な戦略になる。
アクセスする回数が増えるということは、それだけ心理的にそのショップに対する特別感や信頼感が大きくなる。日常生活でも何かを頼みごとをする際には、日ごろから顔を合わせている人の方が相談しやすくないだろうか。心理学的にも接触頻度が高い対象であればあるほど好感を持つことは、ザイアンス効果と呼ばれている。
お客様を飽きさせないショップづくりを進めていくことで、お客様に選ばれやすいショップになるのである。
お客様を飽きさせないための3つの施策
イベントを開催する
冒頭で述べた百貨店の催事もそうだが、やはりイベント開催はお客様を楽しませる要素となる。イベントを考えることはそんなに難しいことではない。一番単純なのは季節に合わせたイベントだ。
お正月には福袋を用意したり、5月には母の日ギフト、10月にはハロウィン関連、12月にはクリスマスなどの大きなイベントが待っている。そうした季節柄のイベントに便乗することで、普段からショップを利用してくれるユーザーを楽しませることができる。季節のイベントについては「ネットショップの集客で使える季節柄のイベントごと12ヵ月分」を参考にしてほしい。
季節に絡めなくても特集企画でもよし
イベントを立案する際には、必ずしも季節に絡める必要はなく、ショップオーナーの観点から特集コーナーを用意してもよい。例えば「店主おすすめの逸品コーナー」というページを用意しても、ユーザーとしては「どれどれ、気になるから覗いてみようかな」という気持ちになるだろう。
近年ではインターネット上の情報をまとめる”キュレーション”という言葉がもてはやされているように、商品カテゴリとは別に、ある視点からショップ内の商品をまとめて見せることで、お客様に新たな気づきを与えることができる。
告知を忘れずに
どんな素敵なイベントも、開催していることを誰も知らなければ意味がないので、開催前の告知を忘れてはいけない。ショップの公式SNSや、固定客へのメールマガジンなどで、イベントの趣旨と期間について、必ず連絡するようにしてほしい。
より多くのユーザーを集めることができれば、そこからさらにSNSでの拡散などの二次的な広がりを見せてくれる可能性もある。
キャンペーンを開催する
イベントと似ているが、キャンペーンを開催するのも、お客様を飽きさせないための策となる。例えば夏のクリアランスセールや年始の初売りセールなど、通常よりもお値打ちにお買い物できるキャンペーンを開催すると、リピート訪問につなげやすくなる。
その他にもキャンペーンの一種には、送料無料キャンペーンや懸賞キャンペーンなどがある。ネットショップで使えるキャンペーンについては「ネットショップの賑わい感を演出するキャンペーン企画9選」を参考にしてほしい。
メディア展開する
お客様に常日頃からアクセスしてもらうためには、メディア展開をするのが最適である。ユーザーも自分の興味があることが配信されているメディアであれば、自分から進んでアクセスしたくなるものだ。
お酒を販売しているショップなら、酒に合うおつまみの作り方や、お酒の美味しい飲み方などをコンテンツとして配信していくことで、徐々に酒好きの集まるメディアが出来上がる。そうすることでお客様を飽きさせないとともに、売上にも貢献してくれるようになる。
ネットショップのメディア展開については「ECサイト(ネットショップ)がメディア化を進める6つの理由」の記事を参考にしてほしい。
コンテンツはお客様が求めているものを
一口にメディア展開と言っても、決して簡単なものではない。コンテンツを用意する上で大切なことは、ショップオーナーが発信したいことでなく、ユーザーが知りたいこと・興味あることを発信するという意識。
いくら頑張ってコンテンツを用意していても、ユーザーの求める情報とマッチしていなければ、継続的にアクセスを稼ぐことはできない。ユーザーから「楽しいな・役に立つな」と思ってもらえるメディアに育てていくことを忘れないでほしい。
良質なコンテンツのつくり方については、以下の記事を参考にしてほしい。
レイアウトを変えすぎるのはNG
実店舗であれば、定期的に店内の商品レイアウトを変えることで、新鮮さが生まれ、新たな商品を探す楽しみが増える。ただしネットショップの場合はレイアウトを変えすぎるのはNGである。
ショップ店員に直接「○○の商品はどこにありますか?」と聞くことのできないネットショップで大事なのは、商品の見つけやすさであり、分かりやすさである。せっかくショップの使い方やカテゴリ分けに慣れてきたにもかかわらず、レイアウトが変更になってしまえば、また一から理解し直さなければならない。新商品にしてもすぐに見つけられるような配慮をするようにしよう。
もしレイアウトを変えるならただ何となく変えるのではなく、しっかりとデータ分析に基づいた数値から、コンバージョン改善のための策として改善するようにしてほしい。
おわりに 定期的に来店してもらうことがリピーターづくりの策にもなる
お客様を飽きさせないためのお店づくりをしていくと、自然とリピーターの数も増えていく。店舗経営において固定客となるリピーターの存在は多ければ多いほどよい。そして飽きられないためには目先の売上だけを優先して考えるのではなく、いかにお客様に楽しんでもらえるかを考えるようにしてほしい。
今回紹介した策だけではなく、お客様に楽しんでもらうには何をすればよいのかを考えながら、さまざまな施策を打っていくようにしよう。
【著者からの一言】
鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-
当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!
ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!