EC事業者がリアルイベントにも積極的に出た方がよい3つの理由

実店舗を運営している事業者は別だが、ネット通販はインターネットを主戦場として、集客も受注も全てネット上で行うのが一般的だ。全ての取引がネット上で完結してしまうことがネットショップの利点でもある。

しかしネット上だけで全てを行わなければならないなんてルールは一切存在しない。販路を拡大していくためには、ネットの世界を飛び出して、現実社会でも積極的に商業活動をしていくとよい。

とは言っても実店舗を構えるほど資金的余裕がないこともある。そうした場合は1回こっきりのイベントに出店する方法がある。今回はネットショップを営むEC事業者が、リアルイベントに出たほうがよい3つの理由について、ご説明していく。

 

EC事業者のイベント出店をすすめる理由

 

リスクなく販路を拡大できる

順調にネットショップが成長して「さぁ次は実店舗をオープンさせよう」と思っても、躊躇して踏み出せないことが多い。それは実店舗を出店することは、多大なリスクを抱える必要があるからだ。

商業用の店舗を借りるのは、一般的な住居用物件の賃貸とは違い、賃料の12カ月分が保証金として必要になることだって珍しくはない。それに店舗の外装や内装に手を加えたり、新たに商品を仕入れるとなれば、初期費用だけで数百万円の資金が必要になる。ネットショップの開業資金とは比べ物にならないほど高く、上手くいかないことを考えると、ついつい及び腰になってしまう。

しかしイベント出店という形を取れば、限りなくリスクを抑えた形で、お店を出すことが可能になる。

 

出店費用は固定もしくは歩率

そこで気になるのが、イベントに出店した場合の費用だが、出店費用は大きく分けて、固定と歩率の2通りがある。

固定費の場合は1日あたり数千円~数万円の出店費用と決められており、売上金額に関係なく発生する。歩率計算の場合は、売上げに対する数十パーセントを出店費用として徴収するタイプで、売上額が少なければ支払う費用も少なくなるし、多ければその分出店料も高くなる。販売個数がゼロなら出店費用を支払う必要もないため、限りなくリスクを抑えることができる。

どちらの方式で出店費用が徴収されるかは、イベントを開催する側が決めているので、出店側はどうすることもできないが、事前に確認だけはしておくようにしよう。

いずれにしろ、実店舗を持つことと比較したら、店舗側にかかる負担は少なくて済む。

 

ショップの認知度を高めることができる

イベントはイベント開催側の企業が必死になってプロモーションをかけるため、店舗側が何もしなくとも、大勢のお客様が会場にやってくる。これも実店舗ではありえない特典。イベントに出店するだけで、多くのお客様にショップのことを認知してもらえるチャンスなのだ。

ただしせっかくイベントに出店したのなら、ショップのDMを用意して、それをお客様に配ることで、さらに認知度を高めてほしい。イベント会場では購入を悩んでいたお客様も、DMさえ渡しておけば、後々ネットショップでお買い物をしてくれることだってある。

だからDMには、最低限以下の項目を忘れずに記載しておくようにしたい。

  • ショップ名
  • ショップのアドレス(QRコードの記載もあるとなおよい)
  • ショップコンセプト
  • 何を販売しているかの簡単な説明

 

作家さんやアーティストの場合は、個人の紹介も忘れずに

もしもクラフト関係の作家さんや、アーティスト関係の方などがイベントに出店される場合には、個人のプロフィールや経歴についても紹介文を忘れることなく記載しておこう。多くの人に自分の名を売るチャンスでもある。そこから新しい仕事に結びつく可能性だってゼロではないのだ。

 

お客様の反応を直接確認できる

イベントに出店することの最大の利点は、お客様の反応を直接確認できること。

ネット通販は対面接客を行わないため、お客様が実際どのような感情を抱いているのかを掴みずらい。そのためページごとの滞在時間や、離脱率、回遊率などのデータを取得して、お客様が満足しているのかどうかを推測するわけだが、非常に面倒な作業だ。さらにお客様の声を頂くには、商品発送時にでもレビューを頂戴する旨のお知らせをしておかなければ、クレームでもない限りお客様から感想を頂くことは稀だ。

それがイベント会場にて、お客様の表情を見ながら、対面接客で感想を直接聞きだせるとなれば、商品のウケの良さを判断するのも、それほど難しいことではない。反応の良い商品はすぐさま追加発注指示などが行えるため、スピーディな展開が可能になる。

 

イベントに出店するには

ではイベントに出店するにはどうすればよいのかだが、まずはどんなイベントが付近で開催されているのか、地道に情報収集していくしかない。

ただインターネットを利用して「地域名 マーケット」や「地域名 イベント出店」などと検索すれば、たいていのイベントを見つけることができる。

食材系を扱っているEC事業者ならマルシェ系のイベントとは相性が良いはずだし、クラフト系の作家さんならハンドメイドマーケットのようなイベントと相性が良い。気になるイベントがあれば、ウェブに記載の連絡先に連絡を入れて、出店条件などを確認してみよう。

 

商業施設で催事契約

ショッピングモールなどの商業施設に、直接イベントの申し込みをする手もある。商業施設としても催し物を開催することで、施設としての賑わいにもなるし、出店条件にもよるが、快く承諾してくれることが多い。インターネットなどで施設の連絡先を確認し、メールなり電話なりでコンタクトを取ってみることをおすすめする。

開催期間や出店費用などは商業施設にもよるが、短期での催事契約として、大規模商業施設での出店が可能になる。

 

おわりに イベントに出て気づきを見つけだそう

ネットショップ運営は、室内にこもりきりになることが多く、顔を合わせるのもチーム内のメンバーだけという環境になってしまいがちで、学びが徐々に薄れていく。だからこそイベント出店という形で、リスクを抑えながらも新しい刺激を受け、さまざまな気づきを得て、学びを増やしていくようにしてほしい。

販路拡大という意味でも効果的なので、積極的にイベントには出店するようにしよう。


【著者からの一言】

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鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-

当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!

ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!