ECサイトメディア化戦略の成功のために必要なプロセスとは

ネット通販が当たり前になってきた現代において、通販サイトの集客に有効な手段として、金銭出費が前提の広告出稿から、あらたな段階へと突入するようになりました。それがECサイトのメディア化です。

ECサイトのメディア化についての概要や基本は「ECサイト(ネットショップ)がメディア化を進める6つの理由」の記事を参照。

2014年あたりから「メディア化戦略」や「コンテンツマーケティング」という言葉を、EC業界でもしきりに耳にするようになりましたが、果たして誰でもメディア運用することで、ECサイトの売上げを上げることができるのでしょうか…

その答えは適切な運用を心がければ、誰でもメディア運用を成功させられるです。でも逆を言えば、不適切な方法では失敗することもあるということ。

ということで、今回はECサイトのメディア化を成功させるために必要なプロセスを見ていきましょう。

 

適切なメディア化戦略の流れ

ステップ1 ECサイトの用意

メディア運用と言っても、最終的な目標は物販にあるわけですから、まずは核となるECサイトを用意します。

この際に独自ドメインのショップにするのか、楽天などのモール系のショップにするのかという問題が生まれますが、メディア化戦略という面だけで言えば、どちらでも一緒です。

ただ、楽天やヤフーショッピングなどのモールに出店すれば、もともとの集客力がありますので、独自ドメインのショップよりも人が集まるのは確かです。イメージとしては、モールがもともと持っている集客力に対して、メディア化戦略で行うプラスαの集客力が加わると思ってください。(ただしモール系出店の場合は、楽天やヤフーに支払うロイヤリティが発生しますが…)

ECショップを立ち上げの際にも全くお金をかけたくないという方なら、無料でECサイト運営ができるBASEやSTORES.jpのようなサービスを使いましょう。見た目は簡素ですが、クレジットカード支払いやコンビニ決済などの機能も付いていますので、無料の割には十分すぎる機能が標準でついてます。

BASEでの出店をお考えであれば、こちらの「BASEと独自メディアを連携して集客の仕組みをつくる手順」記事も併せてご覧ください。

 

ステップ2 ECサイトのお客様層を分析

メディアサイトについて考えるのは、ECサイトを立ち上げてからで問題ありません。まず大切なのは、自身のショップでお買い物してくれるお客様の性別や年齢層、趣味・関心事について把握すること。

やみくもにメディア運用を始めて、ただPVを稼ぐだけでショップの購入にはつながらないような、的外れな記事を作成しては時間の無駄に終わってしまいますので、事前にお客様について調査することはとても大切。

ただし実店舗と違いネット通販は顔の見えない商売になります。お客様の年齢層などを調べるにはどうしたらいいのでしょうか…
そんなときにはGoogleアナリティクスなどの、アクセス解析ツールを使用しましょう。

Googleアナリティクスであれば、「ユーザの分布」項目で年齢や性別が分かりますし、「インタレストカテゴリ」項目でユーザーがどんなことに興味・関心があるかを調べることができます。

分析方法については「GoogleアナリティクスでECサイトをデータ分析する基本の4点」の記事を参考にしてほしい。

 

ステップ3 メディアサイトのコンテンツを考える

お客様の層を把握できたら、次はその層に対してどんなコンテンツを配信していけばよいのかを考えます。

例えばタオルを販売するショップで、お客様には20代男性が多いとします。するとお客様は一人暮らしの男性であることが想像できますよね。であれば一人暮らしに最適なタオルのサイズについてや、洗濯したタオルを室内干しでも臭わずに干せる方法などの情報を発信していくのが効果的。

もしお客様に30代女性が多いのであれば、そのお客様は子育て世代ということが予想されますので、赤ちゃんの敏感な肌に使っても大丈夫という情報や、速乾性に優れているから、すぐに乾いて家事の手間も減りますといった情報をお伝えします。

またお客様に50代、60代の年配者が多いのであれば、お客様が求めているのはきっと質の高さだと思います。そうしたときは、販売しているタオルはこんな職人がこんな技術を使って作っているから、質の高いタオルが出来上がるのです、といった情報を知ることができれば、読者としては納得して商品を購入することができます。

ショップオーナーが発信したい情報を発信するのではありません。メディア運用も戦略が大事!上記の例のように、お客様の層に合わせて、発信するコンテンツの内容を練っていきます。

コンテンツ考案については「EC型メディアを運用する上でコンテンツとしたいカテゴリ10選」の記事もご参考ください。

 

ステップ4 メディアサイトの作り込み

メディアサイトのレイアウトを決める上でも、なんとなく流行っているからとか、これが好きだから、という理由で決定してはいけません。しかるべき理由をつけてレイアウトを考えていくようにしましょう。

弊社はEC事業者のための、メディアサイト制作を提供していますが、当サービスでご提供しているデモサイトを例にご説明していきます。

アパレル関係や食品関係など、視覚的にアピールすることに重きをおくのであれば、文字情報ではなく画像を前面に押し出したレイアウトにするべき。画像のインパクトが強いため、ファッション関係のお洒落なスナップや、食品の上手な盛り付けシーンが載っていれば、ファーストビューの段階で「おっ!このサイトいいな」と思ってくれるはず。

もしスタッフブログ風に使いたい場合や、商品の裏の裏までしっかりと文章で伝えたいということであれば、ブログ型のメディアレイアウトにするべき。視覚的な画像情報よりも文章量の豊富さが伝わるため、このサイトは読みごたえのあるサイトだなと感じてくれるでしょう。

また商品の豆知識や新商品情報のお知らせなど、画像も文章も適度に伝えたいといことであれば、ちょうど画像と文章量のバランスのよい総合メディア型がおすすめ。

何でもよいからメディアサイトを作ればよいわけではなく、しっかりと目的意識を持ったうえで、一番伝えたいことが伝わるようなレイアウトを考えていくことも大切です。

 

ステップ5 記事更新

メディアの枠が完成すれば、あとはステップ3で定めた方針に沿って、ガンガン記事を作成していきます。

ここで意識することは、「その記事は読者にとって本当に有益なものになっているか?」ということ。
ネットの向こうのユーザーも時間を持て余しているわけではありません。大切な時間を使って御社のメディア記事を読んでくれるわけですから、読者が時間の無駄だったと思ってしまうような、低品質の記事ではいけません。

低品質な記事を量産すればSEO的にも悪影響ですし、せっかく時間をかけて記事を読んでくれた読者にもがっかりさせてしまい、きっと御社のメディアのファンにはなってくれないでしょう。

だから記事を書くときには読者の立場に立って、読み応え、見ごたえのある記事を作っていくようにしましょう。

でももっと大切なのは継続するということ。「継続は力なり」という言葉があるように、コツコツと続けていけば必ず成果は現れてきます。メディア運用の開始当初は、時間をかけてつくったコンテンツを見てくれるユーザーも少なく、やる気がおちてしまうこともあるかもしれませんが、決してあきらめてはいけません。

モチベーションを高く保つためには「モチベーション高くメディア運用を継続するために必要なこと」の記事を参考にしてほしい。

 

ステップ6 検証・改善

メディア運用が始まり、記事をある程度用意すれば次第にファンも増えてページビューも上がってくるでしょう。
そうしたら最後のステップ、検証・改善フェーズに入ります。

ビジネスの全てはPDCAサイクルです。これはメディア運用も例外ではありません。

必ず実施した施策は効果検証するようにしましょう。メディア運用が始まると次第にPVが増えて、自分の起こした記事が多くの人に読まれるのは嬉しいことかと思います。ですが最終目標である商品を購入してもらうという着地点を、見失ってはいけません。

ページごとの滞在時間や離脱率を計測することで、検索に強いページづくりのコツをつかんだり、ユーザーにとっての興味・関心事の推測など、あらゆる数字を分析してサイト改善のヒントにしていきましょう。

データ分析については「GoogleアナリティクスでECサイトをデータ分析する基本の4点」を参考にしてほしい。

 

おわりに

メディア運用で成功をおさめるには、なによりも基本設計が大事です。どういったユーザーにどういった内容のコンテンツを発信していくか、そのためにはどんなサイトレイアウトが最適なのか…しっかりと戦略を練ることで、多くのファンを抱えるメディアサイトとなるのです。

もしメディア戦略が成功すれば、多くのユーザーを集客できる最強の武器となり、会社としての資産になることは間違いありません。失敗したくないメディア運用をお考えであれば、是非ご相談ください。


【著者からの一言】

profile

鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-

当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!

ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!