ネットショップでも人の声を利用した接客で購入を後押しせよ

お客様がネットショップでお買い物をするとき、目の前にあるのはショップスタッフの顔ではなく、コンピュータのモニターだ。はたから見れば無機質な取り引きのようだが、それは自動販売機でジュースを購入するのとは違う。画面の向こうにはしっかりとショップスタッフがいるのだ。

そしてネットショップにも接客という概念がある。お客様の思考を予測して、関連商品をおすすめしたり、初めてショップを利用する人のための説明ページを用意したりする。しかしそこにはスタッフとお客様との対話はない。それでも運営の上手なネットショップは、対話とまではいかないが、人の声を感じられるつくりになっている。今回はお客様の購入を後押ししてくれる、人の声についてご説明していく。

 

人の声が大切な理由

商売をする上で、人の声はとても重要になる。

例えば洋服店に足を運び、店内のポップにて商品説明を確認して”いいな”と思い、店員から「これを選ぶ人はセンスいいですよ」なんて声をかけられて購入を決めるなんて経験はないだろうか。その他にも友人から「あそこのお店のパン美味しかったよ」なんて口コミを聞いて、一度食べてみたいと思った経験がないだろうか。

特に購入するかどうか迷っている時には、ショップスタッフや第三者の意見を頼りに購入を決めてしまうことがある。店員の声、第三者の声問わず、人の声にはお客様の購入の決断を後押しする効果がある。

では対面接客のないネットショップでは、どのように人の声を出していくのか。次の項で説明していく。

 

人の声を演出するには

無機質な取り引きになりがちのネットショップでは、人の気配を感じられることが、お客様の安心にもつながる。さらにお客様の購買意欲を増幅させる施策とあっては、取り入れないわけにはいかない。

 

お客様の声を記載する

ネットショップでももはや当たり前の施策になってきているが、商品ページにはお客様の声として、お客様から頂いたレビューを掲載する。するとその商品を購入しようと悩んでいるユーザーにとっては、第三者の「買ってよかった」という声が背中を押してくれ、購入の決断を下しやすくなる。

人が何かの決断を下すときに第三者の意見を重要視することは、心理学的にウィンザー効果と呼ばれている。ネットショップも戦略的に売上げを伸ばしていくなら、こうした心理学的テクニックを存分に活かしていこう。

ただし前提として、レビューを頂戴するにはその商品を使ってくれたお客様が必要になる。お客様から効率よく、たくさんのレビューをいただくには「商品ページに記載したいレビュー・お客様の声の集め方」の記事を参考にしてほしい。

 

ネガティブな意見も隠さずに掲載する

お客様からのレビューを集めていると、全ての人が「良かった」や「大満足」というポジティブな返事をくれることは滅多にない。どんな優れた商品やサービスであれ、一部のユーザーからはネガティブな意見を頂くこともあり、これは人の価値観がそれぞれ違う以上、仕方のないことである。

そして重要なのはそうしたネガティブな意見も、お客様からのレビュー報告として隠さずに掲載すること。

人は何かを購入するときに、メリットばかりを聞くよりも、デメリットも併せて聞くことで、納得してお買い物することができる。これは両面提示というテクニックになるのだが、人は心のどこかで”欠点のない商品・サービス”に対して、どこか疑いの気持ちがある。

だからあえてネガティブな評価も織り交ぜておくことで、商品の特性について納得してもらい、購入の決断をさせやすくするのである。

 

ショップスタッフの一言を添える

商品ページには商品説明をつらつらと書くのも良いが、必ずショップスタッフの気配を演出しよう。例えば店長の写真に吹き出し付きで「当店の商品の中でもおすすめの一品です」と一言あるだけでも、お客様の印象は変わってくる。

お客様の心を動かすのに、人の言葉の力は大きい。

もう少しスタッフの声を前面に出すなら、仕入れ担当者による目利きのポイントだったり、経営者のその商品に対する熱い想いを語ってみよう。きれいに書き直した文章ではなく、あえてその人の言葉で書くことで、その想いは読み手にも伝わる。

 

インタビューコンテンツを用意する

お客様にもっと感情移入してもらうためには、インタビュー記事を載せるとよい。そしてインタビュー記事を有効に使えるのが、自社でものづくりをしている企業だ。

職人へのインタビューだったり、企画開発の中心メンバーだった担当へのインタビューにて、商品が誕生するまでの困難や大切にしていることを聞き出すと、読みごたえのある記事となる。

インタビュー記事も、きれいに文章をまとめることよりも、話し手の口調はそのままに、文章からでもどのような人物なのかが分かるように、生の声を載せるのがポイントである。

 

おわりに 人の声が共感を呼ぶ

無機質なものになりがちなネットショップでの取り引きも、人の声を演出することで人の気配を感じることができ、購入を思いとどまっているお客様の背中を押して、コンバージョン率を高めてくれる。

機械的な文章ではなく、人が発する声には共感を呼ぶ力がある。共感を生むことができれば、それはお客様の心に響いている証拠。ネットショップだからと言って接客を諦めるのではなく、ネットショップだからこそできる接客の仕方を追及していこう。


【著者からの一言】

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鍵谷 隆 -KAGIYA TAKASHI-

当記事は2016年ごろ、私がECサイトのコンサル経営をしていた時期にまとめたノウハウ集だ。そのため外部サイトへのリンクが切れていたり、Googleや各種ASPなどの外部システムの仕様変更などで状況が変わっている可能性があることだけは了承してくれ!

ただ商いの本質は変わることはない。ネットショップ運営でお困りの経営者や担当者なら、当サイトの記事も必ず役に立つはずだ。全てのEC関係者に幸あれ。検討を祈る!